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第061話 色んな人がいるなー


 ギルドを出た後、すぐに裏道に入り、聖都にある別荘に転移した。

 そして、朝食を食べたテーブルに着く。


「予想外じゃったの」

「ですね。まさか連絡手段があるとは……」

「いや、以前、カーティスがそんなことを言ってなかったか? 仕事を頼む時はギルドに連絡するとかなんとか……」


 言ってたね……


「まあ、いいじゃないですか。どうせ今日が終われば次は来週ですし、その時に荷物を渡せばいいと思います」


 優しいジュリアさんがフォローしてくれる。


「そうそう。そのつもりで1週間って言った」

「まあ、焦ることでもないしの。となると、今日の予定はどうする? 冒険者ギルドには行けんぞ?」


 荷物のことがなくても顔を出すのはちょっとマズい。


「魔法ギルドの方に行きましょうか」

「良いと思います」

「そうするかの」


 俺達は予定を変更することにし、別荘を出ると、駅に向かう。


「やっぱり多いですねー」


 駅は多くの人で賑わっていた。


「こればっかりはのう。えーっと、昨日行った住居区の駅に向かうのはどれじゃ?」

「あのトロッコだと思います」


 ジュリアさんが左の方のトロッコを指差す。


「ほうほう。では、行こうか」


 俺達は歩いていき、駅員さんにフリーパスカードを見せ、トロッコに乗り込んだ。

 車内は混んでいたものの何とか席を確保できたので3人で座る。

 当然、窓際はサクヤ様とジュリアさんに譲った。

 そして、そのまましばらく待っていると、トロッコが動き出す。


「おー、眺めが変わるんじゃな」

「各トロッコで通る線路が違うからでしょうね」

「すごいです。これは人気になるわけです」


 俺達は遊園地に来た気分になりながらトロッコに乗り、目的地である住居区に到着した。

 そして、駅を出ると、足を止め、町並みを見渡す。


「段々畑みたいじゃの」

「山に家を作る関係上、こうなるんでしょうね」

「ヨーロッパの方の港町もこういう感じですよね」


 確かにそういうのをテレビの旅行番組で見たことある。


「嫌な言い方をするが、地震は大丈夫なのかの? ここ、火山じゃろ」


 確かに地震で地すべりとかあったらヤバそう。


「あちこちに古い建物も見えますし、大丈夫なんじゃないでしょうか? 異世界ですし、魔法が発展した世界ですから独自の技術があるんだと思います」


 そうかも。


「その辺のこともサラさんに聞きたいね」

「そうですね」

「おぬしら、本当に真面目じゃのー……カップルらしく写真でも撮れ」


 カップルらしくは置いておいても写真は撮りたいな。


「魔法ギルドを探しつつ、ちょっと回ってみようか」

「そうしましょう」


 俺達は完全に観光客と化し、住居区を回りながら写真を撮ったりした。

 住居区はかなり広かったため、半分くらいしか見られなかったが、昼になったのでサクヤ様の提案で屋台の串肉なんかを買って、公園のベンチで食べる。


「美味いの」

「ですねー。こういうのも良いものです」


 昔のお祭りを思い出すな。


「私、何気に屋台のこういうのを食べたのは初めてです」

「そうなの? 夏に花火大会とかお祭りとかあったでしょ」

「行ったことはありますけど、かき氷くらいしか食べてませんね」


 お嬢様だからかな?


「そっかー。まあ、俺も最後に行ったのは中学の時かな?」

「私もそのくらいですね」

「懐かしいねー」

「そうですね」


 若かったなー。


「久しぶりに行きたいのう……」


 サクヤ様がぽつりとつぶやく。


「行きます?」

「そうじゃの」

「ジュリアさんも行こうよ。まだ日程を調べてないから何とも言えないけど」


 多分、土日だったと思うんだけど。


「良いですね。行きましょう」

「うん、せっかくだしね」

「良いことじゃの。さて、そろそろ魔法ギルドに行くか」


 魔法ギルドは回っている時に見つけている。

 ちなみに、冒険者ギルドも見つけたが、足早にスルーした。


「そうですね」

「行きますか」


 俺達はベンチから立ち上がると、魔法ギルドに向かう。


「ここですね」

「魔法ギルドって書いてあるし、王都やルイナの町とまったく同じ看板じゃから間違いないじゃろう」

「入ってみましょうか」


 扉を開け、中を覗く。

 ギルドの中は王都ほど広くなく、ホリーさんが1人で運営していたルイナの町のギルドよりちょっと広いくらいだ。

 そして、中には客はおらず、1人の男性が受付にいた。


 俺はその男性を見て、そっと扉を閉じる。


「間違えましたかね?」

「そんな気が……」

「でも、ここですよね?」


 俺達は同時に上を見上げ、看板を見た。

 どう見ても魔法ギルドと書いてある。


「合ってますね」

「そうじゃの」

「もう一回見てみましょう」


 再び、扉を開け、中を覗いた。

 すると、やはり受付にいる一人の男性しかいない。

 しかし、その男性は身長が2メートルくらいあるうえに腕なんか丸太みたいに太いマッチョマンだった。

 しかも、あちこちに傷痕があり、歴戦の勇士には見えてもとても魔法使いには見えない。


「あ、あのー……ここは魔法ギルドでしょうか?」

「そうだ。よく冒険者ギルドや傭兵ギルドに間違われるが、魔法ギルドだ。そして、よく戦士や荒くれ者に見られるが、俺は魔法使い歴20年の大ベテランだ」


 マジか……

 全然見えない。


「そ、そうでしたか……これは失礼を」


 俺達はギルドに入り、男性のもとに行く。


「構わん。もはやネタになっているくらいだ」

「そ、そうですか……あのー、その傷は?」

「ワイフにやられたって言うと飲みの場ではウケるが、実際は魔物から受けた傷だ。俺は元々、冒険者もしていて、魔物を倒す専門の魔法使いだったんだ」


 それでこんなに強そうなのか。

 杖よりも斧が似合うよ……

 あと、飲みの場でしかウケないのはあんまり面白くないんだと思う。


お読み頂き、ありがとうございます。

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