表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/186

第057話 異世界温泉


「おー、綺麗だ!」

「絶景じゃの」

「サラさんがこの辺りが一番眺めが良いっておっしゃっていた意味がよくわかりますね」


 別荘のリビングでは窓一面に夕日が差し込んでおり、外の景色はものすごく綺麗だった。


「よし! 一度家に戻り、お泊まり準備じゃ! 風呂は今がチャンスぞ!」


 確かにこの夕日を見ながらのお風呂は最高だろうな。


「お願いします」

「うむ!」


 俺達はサクヤ様の転移で一度、俺の部屋に飛ぶ。


「ハルト、我はこのままジュリアの部屋に飛ぶ。準備は頼んだぞ」

「わかりました」


 頷くと、サクヤ様はすぐにジュリアさんと共に消えていったのでテレビの前に座っているノルン様を見る。

 ノルン様はまだゲームをしていた。


「まだおられたんですね?」


 タンスを開け、サクヤ様の着替えを用意しながら聞く。


「今日はあちらに泊まるのでしょう? ですので、私もゲームを延長です」


 そういうことか。


「別に俺達がいる時に来てもいいんですよ?」

「それは遠慮しておきます。あなた達だってテレビは見るでしょうし、ジュリアさんもゲームをします」


 まあね。


「なんか別荘をもらっちゃいましたよ」


 しかも、掃除なんかの管理付き。


「良いことではありませんか。サクヤも含めて、家族で楽しんでください……あの、この洞窟、行き止まりなんですけど」


 あー、それか。


「下の茂みを調べてください」

「下……あ、階段……」


 そこは俺も友達に聞くまでわからんかった。


「サラさんに何を言ったんです?」

「特には……まあ、詮索するなとは言いました。転移とか理解できないでしょうしね。ウチの巫女達は素直なので大丈夫でしょう」

「ありがとうございます」

「いえいえ。せいぜい楽しみなさい。人の人生は短いですから」


 神様からしたらそうだろうな。


「本当に感謝しています。ノルン様の世界に行けてから人生が変わりました」

「そうですか。自分の人生を……そして、ジュリアさんの人生を大切にしなさい」

「はい。そうします」


 サクヤ様のお泊まり準備を終えると、自分の準備をする。


「祝福がいりますか?」


 ん?


「何のです?」

「2人の愛のです」


 あー、そういうのか。

 ジュリアさんのことを時間の問題の奥様って言ってたしな。


「今はいいです。でも、近いうちに頂ければと思います」

「なら結構。この期に及んでまだわからないとほざいたらどこぞの神が怒りますよ?」


 サクヤ様……か?


「気を付けます」


 自分の準備を終えたのでカーティスさんに借りた本を持って行こうと思い、本を紙袋に詰めていると、サクヤ様とジュリアさんが現れた。

 ジュリアさんは荷物が多いようでコロコロのキャリーバッグを持っている。


「お待たせしました」

「ハルト、準備はできたか?」

「ええ。行きましょう」


 頷くと視界が夕日が差し込む別荘のリビングに変わった。


「サクヤ様、こちらが着替えですのでお先にどうぞ」


 サクヤ様に着替えとお風呂セットが入った手提げバッグを渡す。


「うむ。ジュリア、行くぞ」

「あ、ちょっと待ってください」


 ジュリアさんはその場でキャリーバッグを開ける。

 中には着替えなんかもあったが、それよりも漫画やラノベなんかが半分以上を占めていた。

 荷物が多いなーと思っていたが、これのためらしい。


「ハルトさん、良かったら読んでください」


 ジュリアさんはそう言って、漫画やラノベをローテーブルに置く。


「うん、ありがとうね。俺もカーティスさんに借りた本を持ってきたから」


 俺も本をローテーブルに置いた。


「ありがとうございます。では、サクヤ様、参りましょう」

「うむ」


 ジュリアさんも着替えなどを持つと、サクヤ様と共に階段を降りていったのでジュリアさんが持ってきてくれた漫画を読みながら待つ。

 ジュリアさんが持ってきた漫画はやはり面白く、スイスイと読めた。


「ジュリアさん、やっぱりファンタジー系が好きなんだな……」


 持ってきてある漫画もラノベもファンタジー系だ。

 例のお気に入りばっかりの本棚もほとんどがファンタジーであり、恋愛系なんかはなかった。

 俺も色々なジャンルを読むが、やはり好きなのはファンタジーだ。

 それも旅をして、色々なところに行くような冒険もの。

 ジュリアさんもだが、そういう願望が強かったからだろう。


 漫画の1巻を読み終え、2巻に手を伸ばしたところでサクヤ様とジュリアさんが上がってきた。

 サクヤ様はいつもの浴衣だし、ジュリアさんは薄そうで涼しそうな生地だが、ゆったり目のルームウェアだ。


「あれ? 早いね」

「日が沈む前にハルトさんにも入ってもらいたかったですからちょっと早めに上がりました」


 良い子だなー。


「そう? なんかごめんね」

「いえいえ。また、明日の朝にでも入ろうかと思っています」


 確かに朝風呂も良さそうだな。


「ええ湯じゃったぞ。おぬしも入れ」


 サクヤ様がソファーに座りながら薦めてきた。


「サクヤ様の髪を乾かしてから……あれ? ドライヤーがないな。一度帰ります?」

「あ、コードレスのドライヤーを持ってきています。私がやりますのでハルトさんはお風呂にどうぞ」


 ジュリアさんがそう言って、キャリーバッグからコードが付いていないドライヤーを取り出した。


「そういうのがあるんだね……じゃあ、お願いね」


 着替えを持つと、サクヤ様のことはジュリアさんに任せ、階段を降りていく。

 そして、服を脱ぎ、風呂場に行くと、入り込んでくる外気が気持ち良かった。


「ホント、綺麗だな……」


 茜色に染まった広大な平野は目を引くものがある。

 絶対に日本では見られない光景だし、人生でこういうものを見られる機会があるとは思っていなかった。


 俺は身体を流し、湯船に浸かると、落ち行く夕日を眺めながら何気にジュリアさんと初の外泊だなと今さらながらに思った。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~
週末のんびり異世界冒険譚 2 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua

【次にくるライトノベル大賞2025 エントリー】
https://x.gd/OSPb9
― 新着の感想 ―
魔法で制限のかからない生活はあこがれだったでしょうね。 魔法つかったらあかん程度ならともかく、旅行もできないって言うのはちょっと窮屈すぎる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ