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第050話 聖都へ


 砦を抜けると、やはり平原が広がっていた。

 遠くには森も見えるが、街道付近は平原だし、特に障害は見えない。


「ちょっと進んで帰りましょうか」

「そうじゃの」


 俺達は街道を歩いていく。


「こうやって歩くのも良いですね。気持ちが良いです」


 田舎は車社会だから実は歩くことがない。

 東京に行って、びっくりしたことの1つがめっちゃ歩くことだった。


「まあの。どうせ来月くらいには暑い、暑いって言うんじゃろうが」


 まあ、それはね。

 夏は暑いし、冬は寒い。

 日本で過ごしやすい時期って実は2、3ヶ月しかない気がする。


「それはしゃーないです。どこまで行きます?」

「もう少し、歩こう。また謎の発光体として見つかるのは迷惑じゃろうしの」

「それもそうですね」


 俺達はその後も歩き続け、1キロくらい歩き、振り向く。

 まだ1キロでは当然、砦は見えているが、かなりの距離がある。


「こんなもんじゃろ」

「帰りましょうか。もう疲れました」

「ほれ見ろ。軟弱ボーイめ」


 ボーイでないかなー……

 軟弱マン……いや、ひどいヒーローみたいだ。


 俺達は転移を使い、家に帰る。


「ノルン様はいませんね」

「どこぞの神と会っておるんじゃろ」

「なるほど」


 ノルン様がいないのでその場で着替えると、ジュリアさんに【無事に国境を越えたよー】というメールを送っておいた。

 そして、ゲームをしながら休みを満喫し、過ごしていく。


「ジュリアさんには言えませんけど、平日に休むって良いですね」

「別に言っても良かろう。先週はジュリアの方が休んでおったのじゃから」

「そのゴールデンウィーク明けで頑張っている人に『平日の休み最高!』なんて言えませんよ」

「ふーん、我は毎日夏休みで最高じゃぞ」


 それはそれでね……


 その後もサクヤ様と話をしながらゲームをしていると、夕方になり、仕事が終わったであろうジュリアさんから【じゃあ、夜に進みましょう】というメールが届いた。

 そして、この日も9時前後にジュリアさんと合流すると、異世界に行き、進んでいった。


 翌日も夜に進み、さらに翌日の金曜もひたすら進んでいく。


「そろそろかな?」


 時刻はすでに10時を回っており、今日は2時間近く走っていた。


「そうですね。もうすぐだと思います」

「今日中には着きたいね。明日から土日だし、火の国に行きたい」


 明日も進むことになると、日曜になってしまう。

 下手をすると、来週になるかもしれない。


「距離的にはそろそろで間違いないと思いますけどね。昼間だったら山が見えるからわかると思うんですが……」


 真っ暗で何も見えないね。


「この時間だし、寝てるかも……」

「王都は明るかったんですけどね……」

「もうちょっと進んでみて、ダメなら明日以降に歩こうか?」

「それがいいかもしれませんね。この前みたいのは迷惑になっちゃいますし」


 だよねー。

 国境の兵士さん達はいまだに調査とかしているんだろうか?


「ハルト、ちょっと止まれ。我が見てやろう」


 サクヤ様がひょこっと顔を出す。


「見れるんです? 真っ暗ですよ?」

「我は神ぞ? 頑張れば見れる」

「じゃあ、止まりますよ」


 ブレーキを踏み、車を止める。

 そして、3人で車から降りた。


「真っ暗だね」

「ですね。でも、星がすごいです」


 ジュリアさんが上を見上げたので俺も空を見る。

 すると、星空が広がっており、とても綺麗だった。


「ホントだ」

「あの星々も地球から見える星じゃないんですよね?」

「異世界だからね。星座も違うんじゃないかな」


 ちなみに、星座をまったく知らないから違いはよくわからない。


「そうですよねー。こうやって見ていると、小学校の夏休みに皆で星を見ようっていうイベントを思い出します。校庭で見ました」


 俺の時もあったな。


「懐かしいね」

「都会の空と田舎の空は違うって聞きますけど、どうなんです?」


 俺も聞いたことがある。

 都会は夜でも明るいから星が見えにくいんだったかな?


「さあ? 東京にいた時は空を見上げる余裕がなかったよ。やっぱり帰ってきて良かったかな」

「そうですか……」


 俺達は空を見上げ続ける。


「……サクヤ様、どうです?」

「あ、やっと我に気付いてくれた。2人の世界に入りすぎて、無視されてると思ったわ」


 ごめんなさい。

 完全に忘れてました。


「そんなことありませんよ」

「そうか?」

「そうですよ。それで何か見えました?」

「先に山があるの。そこまでの距離じゃないし、十分に歩けるじゃろ」


 やはり近いか。


「地図は合ってましたね。どうします? これ以上近づかない方がいいですかね?」

「それが良いじゃろ。明日、歩いて聖都に行こう」

「そうしますか」


 俺達は車に乗り込むと、サクヤ様の転移で山の車庫に飛んだ。


「ふう……やっと聖都の前まで来れましたね」

「そうじゃの。明日だが、午後からにした方がええぞ」

「なんでです?」

「さすがにおぬしらも疲れておるじゃろ。ずっと運転しておったし、午前中はゆっくり休め」


 そうした方がいいかもな。

 俺は水曜休んだけど、ジュリアさんは仕事だった。


「じゃあ、そうします。ジュリアさんもいい?」

「ええ。じゃあ、昼にウチに来てください。ご飯を食べてから行きましょう」


 御馳走してくれるのか。


「ありがと」

「すまんのう。ハルトのやきそばみたいな簡単なものでいいからの」


 好きなくせに。


「はい。でも、やきそばも美味しかったです。目玉焼きと合うんですね」


 いい子だわー。

 今度、サクヤ様が美味しいと絶賛していた野菜炒めを作ってあげよ。

 味が安定しないのが欠点だけど……


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
もはや若年夫婦やん
星ではなく世界まるごとノルン様の管理なのかな。 数多ある星には知性体がいてもおかしくないけど それを管理してるノルン様ってすごくすごいのでは。
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