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第048話 職場の人達「(岩見君、彼女できたんだなー……)」


 ある程度進むと、時刻は11時を過ぎた。


「この辺にしようか」


 そう言うと、ゆっくりブレーキを踏み、停車させる。


「そうですね。何キロ進みました?」


 ジュリアさんにそう聞かれたのでメーターを見た。


「70キロくらいかな?」

「となると、この辺ですね……」


 ジュリアさんが地図を見せながら指を差す。


「そこそこ進んだね。このまま予定通りに行けば、明後日には国境に着けそう」


 正直、真っ暗なのでここがどこかはわからない。

 でも、ノルン様の地図は縮尺も含めて完璧だし、ずっと街道を走っているので進んだ距離を考えれば今、どこにいるかはわかる。


「ですね。順調だと思いますし、帰りましょうか」


 俺達はサクヤ様を起こし、車を山の車庫に戻すと、この日は解散した。


 翌日の月曜日はゴールデンウィーク最終日であり、ニュースでは帰省ラッシュで混んでいることばかりが報道されていた。

 当然、こっちは都会の方に戻っていく人ばかりなので逆にすかすかになる。


「私達も同じようにこの後、車に乗りますが、渋滞とは無縁ですよね」


 一緒に夕方のニュースを見ているジュリアさんがつぶやく。

 今日の夕食はウチで一緒に食べることになったので、俺が作ったやきそば(目玉焼き乗せ)を3人で食べているのだ。


「信号もないしね。ゆっくりでも十分に進めるからスピード出しすぎは注意ね」


 今日はジュリアさんが運転するのだ。


「ハルト、ジュリア、今日は早めに行って、早めに帰った方が良いぞ。おぬしら、明日から仕事じゃろ」

「そっすね……」

「わかりました……」


 俺とジュリアさんは思い出したくないことを言われ、若干、テンションが下がった。

 まあ、今週は4日だけだし、すぐに土日と思おう。


 俺達は8時くらいに出発すると、10時には解散し、翌日の仕事に備えることにした。

 そして、ゴールデンウィークが終わり、仕事が始まる。

 10連休を取っていた同僚はどこか暗い感じがするが、そんなのは関係なく、通常業務をこなさないといけない。

 ジュリアさんは大丈夫かなと思いつつ、仕事をしていき、昼となった。


 この日もジュリアさんが朝にくれた弁当を食べながらジュリアさんにメールを送る。


【GW明けだけど、大丈夫?】

【元々、そこまで仕事を任されているわけではありませんし、大丈夫です。先輩は死んだ目をしていますけど……】


 どこもそうだわな。


【それはウチもそう(笑)】

【ですよね。今日も行けますのでハルトさんやサクヤ様の都合がよろしければ行きましょう】

【わかった。じゃあ、8時以降で準備ができたら連絡してよ】

【はい。午後からもお仕事頑張ってください】


 ジュリアさんもだけどね。


 その後も他愛のないメールを送り合いながら昼休みを過ごすと、午後からも仕事をしていく。

 そして、仕事を終えると、定時で家に帰り、夕食を食べた。

 その後、8時半くらいにジュリアさんから連絡が来たので転移で異世界に行き、昨日までと同様に話をしながらドライブをしていく。


「今日で国境まで行くんじゃったか?」


 後部座席にいるサクヤ様が顔を出す。


「はい。今、ここですのでもうすぐで着くと思います」


 ジュリアさんがサクヤ様に地図を見せながら答えた。


「ほーん……国境って夜に越えられるもんか?」

「さすがに無理じゃないですかね?」


 俺もそう思う。

 真っ暗だし、早馬みたいなよほどのことがない限り、無理だろう。


「そうか……ちなみにじゃが、何か聞こえんか?」

「ん?」


 サクヤ様にそう言われたが、エンジン音などの車が走る音で特には聞こえない。

 外かなと思い、窓を開けると、鐘を鳴らす音が聞こえてきた。


「何だろ?」

「さあ? でも、これって――」


 ジュリアさんが何かを言おうとした瞬間、前方が明るくなった。


「あ、国境の砦ですね」

「思ったより近かったんですね」


 距離的には数百メートルといったところだ。

 それに国境はほぼ砦だ。


「のう……明らかに我らのせいじゃないか? 真っ暗な夜中に怪しい光を放つ何かがこのスピードで近づいているわけだし」

「あ、ハイビームだった……」


 ブレーキをゆっくり踏み、停車させると、ライトを切る。


「サクヤ様、転移をお願いします。逃げましょう」


 兵士が来るかもしれないし、矢や魔法が飛んでくるのも否定できない。


「そうじゃの。ここまで来たし、あとは歩きで国境を越えるとするか」


 サクヤ様が頷くと、視界が変わった。

 真っ暗だが、さすがに目も慣れているのでここが車庫だというのはわかる。


 俺はエンジンを切ると、ルームライトを点ける。


「王都みたいに灯りがなかったので気付きませんでしたね」


 休んでいた国境の兵士さん達には悪いことをしたな。


「まあ、仕方がないじゃろ」


 そう思うしかないか。


「明日は歩いて国境を越えるんですよね? 明るいうちの方が良いと思いますが、どうします?」


 どうしよ……

 定時で仕事が終わったとしてもあの時間は混むから家に帰るのは6時くらいか……

 まだ明るいと思うけど、微妙だな……


「明日、有休を取るわ。俺、ゴールデンウィークは使ってないし、余りに余ってる」

「あー……私は厳しいですね」


 だろうね。


「国境を越えるところまで進めておくよ」

「じゃあ、それでお願いします。また夜に連絡しますので」

「うん。そこからまた一緒に進もうか」


 ホント、ゲームみたいだ。


「はい。じゃあ、帰りましょうか」

「そうだね。サクヤ様、お願いします」

「あいよー」


 俺達は車から降りると、解散することにした。


お読み頂き、ありがとうございます。

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