表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/185

第037話 厨二病


 ワイバーンは肉目当てで俺が倒すことになると、山に到着した。

 山と言っても木が生えているわけでもないし、そこまで高い山ではない。

 数十メートル程度の岩山だ。


「ハルト殿、ワイバーンはこの山の頂上にいるらしいですので参りましょう」


 岩山の麓で止まり、休憩していると、ロバートさんが声をかけてきた。


「こんな大人数で行くんですか?」

「いえ、兵士達はここで待機です。万が一のこともありますし、ワイバーンが王都に向かった際の迎撃要員ですね。ワイバーンのもとに行くのは私とカーティス殿になります。奥方様はどうされます?」


 ロバートさんがジュリアさんとサクヤ様を見る。


「行きます」

「うむ。ワイバーンとやらを見てみたい」


 2人はやはり前のめりだ。


「そうですか。勇ましい奥様方ですなー」


 あれ? サクヤ様も奥さんになってない?

 そういうのから一番遠い存在なんだけど……

 でも、説明が面倒だから指摘しなくてもいいか。


「ロバート、そろそろ行こうではないか」

「そうですな」


 カーティスさんの一言で休憩は終わり、山を登っていく。

 登山をしたことあるが、非常に辛かった覚えがある。

 だが、この山は石材の採掘場ということあって、道はちゃんと整備されているし、非常に歩きやすい。

 何よりもそこまでの高さがないのであっという間に頂上までやってきた。


「おるの……」

「ワイバーンって思ったより強そうですね……」

「すごい魔力ですね……」


 俺達は岩陰に隠れ、こっそりと覗いている。

 視線の先には羽の生えた赤い竜がおり、スヤスヤと寝ていた。


「カーティス殿、確か魔物の研究をされておられましたな? あれはワイバーンですか? 私には普通のドラゴンに見えるんですが……」

「うむ、飛竜じゃな。赤いところを見るにファイアードラゴンだ」


 え?


「あれ、ドラゴンです?」


 話が違うじゃん。

 まーた、情報ミスか?


「ファイアードラゴンで間違いないな。大きさを見るにまだ若い個体だ。ドラゴンというのは鳥と生態が似ていてな。あれは巣立ったばかりだろう。大きさを見て、ワイバーンと勘違いしたな。まあ、無理もない」


 へー。

 鳥なんだ。


「ハルト殿、いかがします? 飛竜となると、中級クラスのドラゴンです。ワイバーンとは格が違いますよ」


 ロバートさんが聞いてくる。


「皆でやった方が良いんでしょうね。ちなみに、飛竜は美味しいんです?」

「ワイバーンと比べ物にならないくらいと聞いたことがあります」

「そうだな。ワイバーンより美味いぞ」


 カーティスさん、食べたことあるんだ……


「ハルト、行け。ドラゴンなんかおぬしの敵ではなかろう。でも、イグニッションはやめよ」


 爆発させたら肉が残らないからな。


「うーん、ブレインダムドで脳を破壊しますか?」

「肉の鮮度が落ちんかったら何でもいいぞ」


 ただ倒すだけではなく、その辺を考慮すると……


「――殺気です!」


 ジュリアさんが叫ぶと、向こうにいるファイアードラゴンがむくっと起き、口を開ける。

 そして、口の中から火の玉が飛んできた。


「おー! すごい魔力じゃのう!」

「そうです?」


 手を掲げ、結界を作る。

 すると、火の玉が結界に当たり、一気に燃え上がったが、ダメージはもちろん、熱さも一切感じない。

 すぐに火は治まったのだが、ファイアードラゴンは起き上がっており、殺気がこもった目でこちらを見ていた。


「考えている時間はなさそうなので行ってきます」

「ハルトさん、お気を付けて」

「がんばえー」


 岩山から出ると、まっすぐファイアードラゴンのもとへ歩いていく。

 すると、ファイアードラゴンがまたもや口を開け、火の玉を飛ばしてきたので手を掲げた。


「ファイヤー」


 こちらも火魔法を出し、火の玉を飛ばす。

 俺が出した火の玉とファイアードラゴンの火の玉がぶつかったのだが、俺の火の玉が向こうの火の玉を飲み込み、スピードを落とさずに向かっていった。

 このまま当たるかなと思ったのだが、ファイアードラゴンは羽を動かし、上空に逃れた。


「飛ぶのはなー……ファイヤー!」


 もう一度、火魔法を使い、上空にいるファイアードラゴンを狙ったのだが、やっぱり躱されてしまった。

 すると、向こうも火の玉を飛ばしてきたので結界で防ぐ。


 うーん、向こうの火はたいしたことないんだが、こっちの魔法も躱されるな。

 よし!


「ファイヤー…………もういっちょ!」


 ファイアードラゴンを狙い、火魔法を放つと、避けるだろう位置を狙い、時間差でもう一つの火魔法を放った。

 すると、一発目の火魔法を避けたファイアードラゴンだったが、狙い通りにもう一発の火魔法が当たる。

 とはいえ、緊急旋回で避けられたので羽にちょっと当たっただけである。

 だが、ファイアードラゴンの殺気は明らかに上がり、俺を睨んでいた。


「――グゥオー!」


 ファイアードラゴンは叫ぶと、今度は火の玉ではなく、火炎放射器のような火のブレスを吐いてくる。

 俺はそれを結界ではなく、走って躱した。

 すると、ファイアードラゴンが急速に降下し、爪を立ててくる。


「簡単に挑発に乗ってくれるな…………コキュートス!」


 接近してきたファイアードラゴンに向かって氷魔法を使うと、周囲がキラキラと輝きだし、徐々に動きが遅くなっていく。

 そして、完全に停止した時にはファイアードラゴンが氷の彫刻となっていた。


「とこしえの氷で眠りにつくがいい…………いやー、ないわー」


 やっぱり中学生の時に作った魔法は良くない。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~
週末のんびり異世界冒険譚 2 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua

【次にくるライトノベル大賞2025 エントリー】
https://x.gd/OSPb9
― 新着の感想 ―
一番強い魔法はばよえーん!なんですかね?
ふぁいあー、あいすすとーむ、ぶれいんだむど! ハルトくんの前ではゴブリンもドラゴンもぷよと変わらんねw
きっと現地人は( ゜д゜)ポカーンて顔してるなwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ