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第023話 101を超える鬼を狩った岩見家


 ノルン様がやっているゲームを眺めていると、脱衣所の扉が開く音がしたので振り向く。

 すると、白を基調とした服を着ているジュリアさんが恥ずかしそうな表情で立っていた。


「どうですかね?」


 確かに動きやすそうだが、これまでゆったりとした服しか見たことないのでちょっとびっくりだ。

 ジュリアさんって本当にスタイルが良いんだなーと思った。


「すごく似合ってるよ」


 うん、可愛いし、すごく良いと思う。


「そ、そうですかね? なんかコスプレしている気分です」


 まあ、家の中だとね。


「向こうの世界に行けば馴染むと思うよ。俺もだし」

「ハルトさんは似合っていると思います」


 俺もジュリアさんを見て、そう思うよ。


「ありがと。それとノルン様が剣をくれたよ」


 立ち上がり、剣を取ると、ジュリアさんに渡す。


「ノルン様、ありがとうございます」


 ジュリアさんが深々と頭を下げた。


「いえいえ。それと2人はこれをはめなさい」


 ノルン様はそう言うと、テーブルに2つの指輪を置く。


「ん? 何ですか、これ?」


 俺達はテーブルのところまで行き、腰を下ろすと、指輪を手に取った。


「あなた達はまだ結婚していないようですが、私の世界に行く時はそれをはめ、夫婦を名乗りなさい」

「なんでです?」

「ウチの世界は複数の人間と結婚するのも良しとしていますし、国によっては積極的な男性が多い国もあります。余計なちょっかいは嫌でしょう?」


 確かに嫌だ。

 というか、ハーレムOKの世界なんだ……


「それでもちょっかいかける奴はおるじゃろ」


 確かにいそう……


「ウチの宗教では浮気は厳禁です。既婚者に声をかける者はほとんどいません」

「ふーん……まあ、面倒な輩が減るなら良いか。ハルト、ジュリア、そうせい」


 サクヤ様は大丈夫なんだろうか?

 見た目少女だけど、可愛いぞ。


「わかりました」

「そういうことなら……」


 俺達は左手の薬指に指輪をはめた。

 自分の指輪を見た後にジュリアさんの左手を見たらなんか変な気分になる。


「盛り上がっているところをすみません。ウチの世界では右手です」

「「あ、はい……」」


 俺達は左手の薬指から抜き、右手にはめ直した。


「では、行こうかの。次は王都じゃ」

「わかりました」

「お願いします」


 俺とジュリアさんが頷くと、視界が変わった。

 そして、小道から表に出ると、多くの人で賑わっている通りに出る。


「多いですね……それに私の格好も馴染みました」


 確かにジュリアさんを見る人は少ないし、馴染んでいる。


「じゃあ、王都を回ってみようか」

「はい」

「ええのう……誰がどう見てもカップルじゃ」


 いちいち言わなくてもいいですよ。


 俺達は午後から王都を回り、午前と同じようにはしゃいでいるジュリアさんと共にあちこちを見て回る。

 もちろん、写真も撮ったし、やっぱり完全な観光客と化していた。

 そして、2時間くらいかけ、王都を回ると、一息つく。


「さて、大体回ったかのう? ジュリア、どうじゃ?」

「はい。とても楽しかったです」


 ジュリアさんは嬉しそうだし、満足しているように見える。

 これで修学旅行の傷が少しでも癒えてくれたら嬉しい。


「では、冒険者ギルドに向かうか?」

「それなんですけど、先にカーティスさんのところに寄ってもいいです? 本を返さないといけません」

「そういえば、1週間で返すって言っておったな。よいぞ。先にそちらに行こう」


 俺達はカーティスさんの研究室に行くことにし、歩き出した。


「ハルトさん、カーティスさんというのは?」


 歩いていると、ジュリアさんが聞いてくる。


「先週、仕事をくれた貴族の魔法使いさん。本とかも貸してくれるし、良い人なんだよ」

「へー……お知り合いまでいるんですね」

「まあね」


 そのまま話をしながら歩いていると、住宅街に到着し、カーティスさんの研究室にやってきた。


「カーティスさーん、おられますかー?」


 扉をノックしながら声をかける。

 しかし、どんなに待っても出てこなかった。


「留守かな?」

「というか、本邸の方にいるんじゃないか? ここって魔法の研究をするだけのための家じゃろ」


 確かに本来の家にいる可能性が高いか。


「どうしましょう? カーティスさんの家を知りません。魔法ギルドで聞きましょうか?」


 多分、チェスターさんなら知っている。


「別に来週でいいじゃろ。それよりももう3時じゃし、冒険者ギルドに行こう」


 もうそんな時間か。

 土日があっという間に終わるな。


「ジュリアさん、時間は大丈夫?」

「はい。家のことは今朝済ませましたから」

「じゃあ、冒険者ギルドに行こうか」


 俺達はカーティスさんの研究室をあとにすると、冒険者ギルドに向かって歩いていく。

 そして、10分そこらで剣のマークが描かれている看板がある建物の前にやってきた。


「ここですよね?」

「うむ。いかにもじゃな」


 実は何度もこの前を通っている。


「荒くれ者がいそうなイメージなんだけど……」

「絡んできそうなイメージですよね……」

「まあ、そんな感じはするの……」


 ねー?


「悩んでも仕方がないし、行こうか。俺は岩見家80代当主だ」

「私もかつては100を超える鬼を単騎で狩ったという浅井の子です!」

「2人共、偉いぞー」


 浅井さん家、怖いね……

 そんな家と対立していたウチはどうなってんだ?


 ジュリアさんを見ていると全然そんな気がしないなーと思いながらも冒険者ギルドに入った。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
日本人としては、はっちゃけた名前だけど この異世界ではジュリアってすごく普通の名前になりそう そのへん気にしないお嬢様っぽいところもあるけど 普通の名前扱いされることになれてないとかあったりしそう。
徐々に楽しみが増える感じが好き、無理矢理のインフレではないのもいい
タイトルが「101を超える鬼を狩った岩見家」と浅井家じゃないのは伏線かミスか?
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