第215話 旅人(車)
地元に戻ってきた俺達は車に乗り、東京とはまったく違う町並みを運転しながら自宅のアパートに帰ってきた。
「ただいま戻りました」
階段を昇り、リビングに入ると、布団で寝転がっている我が神、ノートパソコンでアニメを見ている浅井の神、そして、ゲームをしている皆の神がいた。
「おー、帰ったか」
「おかえり」
「おかえりなさい。無事で何よりですね」
世界広しと言え、家に神様が3人もいるのはウチだけだろうな。
「良かったですよ」
「すごく楽しかったです。あ、ノルン様、バナナのやつです」
ジュリアさんがノルン様に東京土産を渡す。
「ありがとうございます。別の地に行き、自分達がいるべき場所を再認識できましたか?」
「はい。やはりこの地が良いですし、ハルトさんと共に生きたいと思います」
「よろしい。あなたにはハルトさんが最上です」
「そう思います」
俺が聞いてないところでやってほしいやり取りだな。
「サクヤ様、お土産の煎餅です」
「悪いの。我も何か言おうか?」
「間に合ってます。タマヒメ様、有名店のプリンです」
タマヒメ様にもお土産を渡す。
「ありがと。何か言おうか?」
タマヒメ様がニヤニヤしながら聞いてきた。
「わかっているので結構です」
「あら? そう? じゃあいいわ。プリンを冷蔵庫に入れておいて。日を分けて食べるから」
「わかりました」
プリンを冷蔵庫に入れると、ジュリアさんと手分けをして、洗濯や掃除といった家のことを行っていく。
そして、夕食も食べ終え、お風呂に入ると、この日はゲームもせずにジュリアさんとゆっくりと過ごし、就寝した。
翌日の月曜日からは仕事であり、ちょっと疲れが残っていたので大変だったが、頑張って仕事をこなしていく。
仕事終わりに組合の3人や浅井さんの方にも東京土産を渡したし、なんとなくサラさんとディーネさんにもお土産を渡した。
サラさんには唐辛子たっぷりの煎餅を渡し、ディーネさんにはケーキを渡した。
2人とも喜んでくれたので買って良かったと思った。
そして、1週間を終え、土曜になると、朝早くに起き、朝食を食べる。
「タマヒメ様、今日はピラミッドに行きますけど、一緒に行きませんか?」
「あー、ごめん。今日は浅井の集会があるからダメ。選挙が近いからね」
あー、それか。
お土産を渡した時によろしくって言われたな。
「ジュリアさんは?」
「ジュリアは関係ないわよ。岩見の人間だもん」
それもそうか。
岩見樹莉愛だった。
「夜はどうでしょう? 20階で上級になるつもりですけど」
「そっちには行くと思う。多分、飲み会が始まると思うけど、それには参加しないからね」
政治家の飲み会って聞くと良いイメージがないな。
浅井さん、めっちゃ強かったし。
「では、行ってきますね」
「ミイラには気を付けなさいね」
「多分、そういう文化はないと思いますので大丈夫ですよ」
俺達は朝食を食べ終えると、準備をし、ノーラさんの部屋である教会の資料室に飛ぶ。
すると、ノーラさんがデスクにつき、本を読んでいた。
「おはようございます」
「んー? おはよう……もうそんな時間か」
なんかお疲れっぽいな。
「寝てますか?」
「もちろん寝てるわよ。今日だって……寝たわよ」
あんまり寝てないっぽい。
「身体には気を付けてくださいよ」
「ええ。わかってるわ。皆にも止められたし」
教会の皆さん、頑張ってくれ。
「どんな感じですか?」
「解読はかなり進みそうね。資料としてもかなり歴史的な価値が高いわ」
そりゃ良かった。
「次のお宝に繋がりそうです?」
「その可能性は高いわね。まだ解読が済んでないけど、昔の国の地理なんかがわかればかなり絞られるわ」
この前みたいな豪族の家の当てが付くからか。
「すごい資料ですね」
「そうなるかは今後の頑張り次第ね。いやー、やる気が出てくるわー」
ほどほどにね。
「祈りの方は? 体調は大丈夫ですか?」
「それは問題ないわ。ちゃんとする。行きましょうか」
「わかりました」
俺達は教会を出て、町を歩いていくと、西門にやってきた。
この前と同様に大きな門から砂漠が見えており、今日も暑そうだ。
「車ですか?」
ジュリアさんがノーラさんに確認する。
「もちろんそう」
ノーラさんが頷くと、ジュリアさんと顔を見合わせた。
「ノーラさん、運転は俺がするんで案内してくださいよ」
少しでも休んでもらおう。
「え? いいの?」
「運転はできますし、砂漠でドライブをしてみたいです」
「そう? じゃあ、お願いしようかしら?」
ノーラさんが助手席に乗ったので俺が運転席に乗り、ジュリアさんとサクヤ様が後部座席に乗り込んだ。
「方向は?」
「あっち」
ノーラさんがまっすぐ先にある砂丘を指差した。
「では、行きます」
アクセルを踏み、車を動かす。
車は砂漠の上だというのに特に空回りもせずに進み始めた。
「おー、何か楽しい!」
道なき道を進んでいるのがすごい。
しかも、砂漠だよ。
「私も最初は楽しかったわね。もう飽きたけど」
「我は乗っただけで飽きたぞ」
楽しいのに。
「ジュリアさん、ちょっとしたら交代する? 夜じゃない異世界だよ」
「運転したいです。良いですよね」
ねー?
「楽しそうな夫婦ですね……」
「そういう夫婦じゃ」
良いことじゃん。
俺とジュリアさんは運転を交代しながら進んでいった。
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