第197話 最近、仕事をしてないな……
そのまま待っていると、ドリスさんが戻ってくる。
「確かに書類を受け取ったよ。これが報酬ね」
ドリスさんがカウンターに金貨40枚を置いたので財布に入れた。
「ありがとうございます。それでちょっと聞きたいんですけど、仕事ってありますか?」
「仕事ね。いっぱいあるよ。ここは探検家が集まる町でもあるからね」
遺跡発掘だっけ?
「と言いますと?」
「遺跡を発掘するんだけど、遺跡は砂漠にあるんだ。当然、魔物も出るし、盗賊も出るから護衛の仕事をウチや隣の冒険者ギルドで募集しているよ。それに加えて、魔法使いなら遺跡発掘の手伝いがある。もっと言えば、水魔法を使えるなら特に重宝されるね。砂漠では水の確保が死活問題だから」
俺のイメージでは砂漠での死因第1位は水が飲めずに干からびることだ。
まあ、漫画やアニメのイメージだけど。
「水魔法は使えますけど……」
「やめときな。あんたらは観光目当てのお気楽旅だろ? 血生臭くて汚い仕事なんかしない方が良いよ」
そんな気はする。
大変そうだもん。
「じゃあ、やめときます。でも、遺跡って興味があるんですよねー」
「まあ、それも観光だしね。昔はそういうツアーもあったんだけど、危ないからなくなったね。盗賊共のいい獲物さ」
だろうね。
狙ってくれって言っているようなものだ。
「じゃあ、遺跡は見に行かない方がいいですかね?」
「一つ良いのがあるよ。教会主催の発掘の仕事を受けることだ」
教会主催……あ、ノーラさん。
「ノーラさんが遺跡の調査や歴史の研究の仕事をしているって言ってましたね」
「本人から話を聞いたのかい? じゃあ、話は早いよ。それに同行させてもらえばいい。盗賊共が絶対に狙わないのが教会関係者だからね。特に巫女様なら安心安全どこか、逆に盗賊共が魔物から守ってくれるよ」
教会ってすごいな。
「盗賊なのに?」
「盗賊って呼んでるけど、この辺に住む普通の部族だからね。女神様を信仰している村人だよ。たまにこの聖都に来て、お祈りをしたりもしてるね」
あ、そうなんだ。
捕まえないのかな?
「また話を聞きに行こうと思っているのでその際にちょっと聞いてきます」
「そうしな。ちなみにだけど、冒険者ギルドでも似たような仕事が多いよ」
まあ、そうだろうな。
むしろ、冒険者の方がメインだろう。
「仕事はそんなものですかね?」
「またフロック王国に戻る時は声をかけておくれよ。配達の仕事があればお願いしたいから」
「わかりました」
俺達は用件が済んだので魔法ギルドを出る。
「うーん、やっぱり危ない仕事がメインっぽいね」
「ですね。まあ、ゲームやアニメ、それに映画でも砂漠のフィールドは危ないですもんね。絶対にミイラとか出てきますよ」
うーん、ゲーム脳。
でも、俺もそう思う。
「とりあえず、冒険者ギルドの方でも聞いてみよう」
俺達は隣にある冒険者ギルドに入る。
すると、魔法ギルドと同じような広さで似たような作りだったが、強そうな冒険者が何人もいて賑わっていた。
「冒険者ギルドって感じだね」
「本当ですね。皆さん、強そうです」
うーん、ちょっと怖い。
「安心せい。おぬしらの方が強い」
まあ、魔法があるしね。
「岩見と浅井ですからね。えーっと、女性が良いんでしたっけ?」
「ネイトがそう言っておったの。あれで良かろう」
サクヤ様が受付の右端の人を見た。
茶髪の若い女性であり、可愛らしい顔立ちをしている。
「わかりました」
俺達は右の女性に近づく。
「こんにちは」
「こんにちはー。ご依頼ですか?」
女性がにっこりと微笑んだ。
「えーっと、実は今日、ここに来たんでちょっとお話を聞きたいなって思っているんですよ」
「どういったことでしょう?」
「自分達も冒険者なんですけど、ここって遺跡発掘系の危ない仕事ばっかりなんですか?」
「そうですねー……確かにそれがほとんどです。他にも魔物退治や護衛、それに各村々への配達の仕事なんかもあります……ごめんなさい。危ない仕事しかありませんね」
はっきりと言われた。
「あ、そうですか」
「ここはハイリスクハイリターンの町なんですよ。だからこそ、不便な砂漠に人が集まり、発展したんです。安全な仕事がいいなら北にあるダルト王国をおすすめします」
それならフロック王国でいいな。
「わかりました。それと繁華街があるじゃないですか。そこのことは地元の冒険者ギルドに聞けってフロック王国の冒険者ギルドで聞いたんですけど……」
「あー、はいはい……」
女性がジュリアさんとサクヤ様を見て、納得する。
「観光目的で健全な感じで楽しみたいんですけど、どうでしょうか?」
「繁華街はかなり広く、多くの店があります。基本的にそういった観光のお客様は奥に行かずに大通りのお店で楽しめばいいと思いますよ。裏路地の店はぼったくりなんかの怪しい店もありますしね。一番わかりやすいのは客層を見ることです」
客層?
「お客さんを見るんですか?」
「はい。あの繁華街の特徴なんですが、店の中ではなく、テラス席で食べるのが主流です。ですので、お客さんが見えやすいんですよ。そこであなた方と同じような女性が多い、もしくは、地元のお客さんが多い店を選べば間違いないです。逆にお客さんがお金持ちっぽい観光客ばかりだと要注意ですね。それと冒険者や探検家の男性客が多い店も要注意です。エロい店か騒がしいお店で確定ですので」
なるほどね。
「おすすめってあります?」
「一番の人気店は砂の城っていうお店ですね。ちょっとお高いですが、安全安心の老舗ですし、ガイドブックにも載っています。美味しい肉料理と豊富なお酒が人気です」
へー……
「わかりました。ありがとうございます」
「お金が足りなくなったらぜひ、仕事をしてくださいね。お兄さん達、魔法使いでしょ? 引く手あまただから」
さっき金貨40枚もらったから懐に余裕はあるから大丈夫。
「ええ。その時はお願いします」
「これは来ないな……」
うん。
魔物はともかく、盗賊相手は嫌だよ。
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