表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~   作者: 出雲大吉
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

195/195

第195話 ワインを買うか……


「ものすごい恐れ多いんですが……」


 俺達にワインを飲みながら絶景を見ろと?

 俺の頭の中ではバスローブだぞ。


「いえいえ、異界の神を招くには不足なくらいです。それにハルトさんは神の眷属にて、歴史ある家の当主様とお聞きしました」


 ノルン様か……


「他には何か言ってました?」

「奥様しか愛せない人」


 いや、それが当たり前なんだから可哀想な人みたいに言うなよ。


「俺達の世界は一夫一妻が普通なんですよ」

「あ、そうなんだ。まあ、そういうこともあるか。とにかく、そういうわけだから使ってちょうだい。掃除なんかはウチの者がするから」


 ここも掃除付きか。

 恐れ多いが、こんな広くて豪華な部屋を掃除しろって言われても仕事がある俺達では厳しいのでありがたい。


「じゃあ、まあ……」

「はい……せっかくのご厚意ですし」


 俺とジュリアさんは顔を見合わせながら頷いた。


「助かるわー。例によって持て余していたのよね」


 観光地なんだし、いっそホテルとして活用すればいいのに。


「おぬしは住まんのか? 先代の巫女が住んでいたならば、次代のおぬしが引き継げば良かろう」


 サクヤ様がノーラさんに聞く。


「私、ドが付くほどの庶民なんですよ。それに巫女の仕事の合間に遺跡の調査や歴史の研究をしてますので本が揃っている教会の方が勝手が良いんです」


 サラさんが資料室に住んでたけど、この人もっぽいな。


「ふーん、おぬし、大丈夫か? 働きすぎでは?」


 俺もそう思う。

 仕事が2つあるようなものだ。


「大丈夫ですよ。巫女の仕事も名誉なことですし、研究は楽しいですから」


 ノーラさんがニッコリと笑う。


「真っ赤な料理や魚でも食うか?」


 サクヤ様は火の国や水の国に行くかと誘っているのだ。


「それは良いですね。ああいう料理はこちらにはないのですごく新鮮でしたし、また食べたいと思っていました。まあ、逆にこちらは肉料理が有名ですのでサラやディーネを呼んであげてください」


 そうするか。


「わかった」

「ありがとうございます。では、私はこの辺りで失礼します。この部屋は好きにしていいですし、階段を昇るのが大変なら転移を使ってください。受付の者には詮索しないように伝えてありますので」


 それはありがたい。

 正直、20階まで昇り降りしたくない。


「そうします」

「では、これで。暑いと思いますが、楽しんでくださいませ」


 ノーラさんはそう言うと、部屋から出ていった。


「やっぱりもらったね」

「そうですね。私達が住んでいる部屋よりも豪華な別荘が3つになりました」


 ジュリアさんと顔を見合わせる。


「ここは豪華すぎるがの」

「何、あの電灯? 私よりもでかいわよ」


 タマヒメ様が天井のシャンデリアを見上げた。

 確かにタマヒメ様やサクヤ様より大きい。


「落ちたら死ぬな」

「あそこの下で寝るのはやめるわ」

「というか、どこで寝る? 広すぎんか?」

「どっかの隅でいいんじゃない? 絨毯が気持ちよさそう」


 この人達、本当に床で寝るのが好きだな。

 というか、タマヒメ様が絨毯で寝てたら猫かと思ってしまう。

 タマちゃんだし。


「ハルトさん、他の部屋も見てみませんか?」


 ジュリアさんが誘ってくる。


「そうだね。ちょっと気になるし」


 俺達は立ち上がると、右の方にある部屋に向かう。

 扉を開けて中を覗いてみると、そこは寝室のようで部屋の真ん中にベッドが置いてあった。

 しかし、そのベッドも天蓋付きのキングサイズはあるようなベッドであり、装飾もすごい。


「置いていったのかな?」

「まあ、運ぶのも大変ですしね。化粧台も棚も何もかも置いていったようですね」


 確かに部屋にはそういった家具が置いてある。

 というか、この部屋、広くない?

 20メートル四方以上はあるぞ。

 もちろん、窓はさっきの居間(?)と同じく、一面のガラスであり、眺めが良い。


「お姫様の部屋だね」

「実際、それに近いんでしょうね」

「ジュリアさんもお姫様になれるよ」


 名前的にもそれっぽいし。


「いや、どちらかというと王妃様では?」


 確かに結婚しているからそっちか。

 その場合、俺は王様だ。

 いやー、王様はないわ。


 俺達はその後も部屋を見て回る。

 寝室の他にも客室にドレッサールームらしき部屋もあった。

 さすがに服は置いていなかったが、3方面から見ることができる姿見はすごいと思った。

 他にも倉庫なんかもあったし、お風呂もかなり広かった。

 俺達は一通り見て回ると、サクヤ様とタマヒメ様が待つソファーに戻る。

 そして、すっかり冷めたお茶を一口飲んだ。


「どうじゃった?」


 サクヤ様が聞いてくる。


「浮世離れもわかります。まさしく上級ですよ」

「ですね。これまでは別荘とか避暑地って感じがしましたが、ここは人生の勝者の部屋って感じですね」


 そうそう。

 人を見下ろす感じ。


「先代の巫女とやらはどんな奴じゃったんじゃろうな……」

「絶対に縦ロールよ。扇子を持ってるわ」


 巫女様なんだけどな……


「ジュリアさんはともかく、俺はノーラさんと同じくド庶民なんで慣れるまでに時間がかかりそうです」

「いや、ウチも平屋の家なんで私もです」


 上級さんだけど、和風の家だもんな。


「まあ、ええじゃろ。下々の者達を見下ろしながら酒を飲もうぞ」

「知ってる! 人がゴミなんでしょ!」


 それはちょっと違うような……

 あと、あなた方はリアルで天上の方です。



お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【予約受付中】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

【販売中】
~書籍~
週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~
週末のんびり異世界冒険譚 2 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua

― 新着の感想 ―
丸まってるタマちゃんみたいな
本物のお金持ちは平屋に住んでるらしいですよね 土地は幾らでもあるから2階3階を作る意味がないとか
誤字かな? “逆にこちらも肉料理も有名ですのでサラやディーネを呼んであげてください」” 逆にこちら“の”肉料理も有名ですのでサラやディーネを呼んであげてください」 又は 逆にこちらも肉料理“が”有…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ