第191話 いつからか熱射病と言わなくなった
「――起きろー」
耳元で声が聞こえたので目が覚めた。
そして、目を開けると、サクヤ様の顔が見える。
「おはようございます」
「おはよう。夜更かししたのか?」
「夜の砂漠が綺麗だったんですよ。すごかったです」
「それは良かったの。さっき車掌に聞いたが、あと1時間程度で着くそうじゃ。準備せい」
サクヤ様にそう言われて、スマホの時計を見ると、6時を回っていた。
さらには窓の外も明るい。
「ジュリアさん、朝だよ」
「はーい……」
隣で寝ているジュリアさんを揺する。
すると、ジュリアさんも起き上がった。
「あと1時間で着くんだってさ」
「早いですね……おー、砂漠です」
窓の外は朝日で照らされている砂漠が見えている。
「何度も見たじゃろ」
「何度見てもすごいです」
「そうか。まあいい。送ってやるからシャワーでも浴びて目を覚ますといい」
「お願いします」
俺達は順番にシャワーを浴び、朝食を用意した。
そして、作った朝食を列車の部屋で食べる。
「ノルン様、ゲームしてたね」
シャワーを浴びに帰ったのだが、普通に昨日の夕方と同じ光景だった。
「してましたね。いつ寝てるんでしょうか……」
ホントにねー。
「あいつは放っておきなさい。引きこもりゲーマーなのよ」
「引きこもりなのはおぬしもじゃがな」
何とも言えないな。
「私は引きこもりじゃないわよ。ちゃーんと外に出るもん」
「そうじゃったな。ただのビビりじゃった」
「ビビりじゃないから」
いやー……
「ケンカしないでくださいよ。それよりも土の国は暑いらしいから気を付けてください」
「わかっとるわい。おぬしらも遠慮なく言えよ。冷蔵庫からお茶かアイスを取ってきてやる」
転移は本当に便利だわ。
俺達は朝食を食べ終えると、窓から外の風景を眺めていく。
すると、大きな川が見えてきた。
「ナイル川かな?」
「絶対に違いますけど、言いたいことはわかります」
「ナイルって現地では川って意味らしいよ」
川川。
「そういうのはありますよね。日本でも看板を見ると、何とか川riverって書いてあります」
何とか川川。
「そんなもんじゃろ。ワニとかおるかもな」
「帰ろうかな……」
タマヒメ様がちょっと暗くなった。
「俺はスカラベとかがいそうな気がします」
「ああ、あの人の中に侵入して食うやつか」
それそれ。
ピラミッド映画のやつ。
「帰ろ」
「タマヒメ様、大丈夫ですって」
ジュリアさんがビビりの神様を止めた。
「おっ、スピードが落ち始めたぞ」
サクヤ様が言うように徐々に列車のスピードが落ち始める。
そして、そのまま待っていると、建物の中に入り、停車した。
「着いたみたいだね」
「ですね。降りましょうか」
俺達は忘れ物がないかを確認し、列車から降りる。
駅はダルト王国の王都の方の作りとまったく同じであり、駅員と受付の人、それに俺達と同じようにダルト王国からやって来たであろう人が数人いる。
「あまり暑くないわね」
タマヒメ様が言うようにそんなに暑さを感じない。
「まあ、今は夏じゃからな。どこも暑いからそう感じるんじゃろう」
9月になってちょっと暑さも緩くなったような気がするが、暑いといえば暑いからな。
ちょっと感覚が壊れている気がする。
「とりあえず、駅を出ましょう」
俺達は歩いていき、建物を出る。
すると、痛いくらいに感じる日差しを感じた。
「あー、こういうのね」
「暑いの……」
俺達は建物を出たのだが、すぐに建物の木陰に避難する。
「これは肌が焼けますね……」
ジュリアさんが苦笑いを浮かべた。
「そうだね。歩いている人は皆、長袖だよ」
かなりの人が歩いているが、皆、外套を羽織ったり、ゆったり目の服を着ていて、肌を晒していない。
「地球でも砂漠の方ではあんな感じですよね。確か、暑いは暑いけど、日本みたいに湿度が高くないからああいう服って聞いたことがあります」
俺も聞いたことがあるな。
「そういう服を買おうか……」
「ですね」
どこで売っているんだろう?
「ちょっと待っておれ。ノルンに頼んでくる」
サクヤ様はそう言うと、俺の後ろに回り、周りから見えないようにし、転移を使って消えた。
「待ちますか」
「そうだね」
俺達は木陰で町の風景や歩いている人を眺めながら待つ。
「なんか砂が多いわね」
タマヒメ様が言うように通りは石材で舗装された道なのだが、よく見ると薄っすらとだが、砂がかかっている。
さらには道以外は砂が多い。
「ですね……砂漠って作物が実るんですかね?」
「さあ? 日本に砂漠なんてないしね。砂丘くらい?」
あれもなんか怪しかった気がする。
確か、除草していたような……
「その辺のことも知りたいですよね。巫女様に聞くのが一番でしょうか?」
火の国でも水の国でも巫女であるサラさんとディーネさんに聞いたしな。
「ねえ、サクヤが戻ってきたらどうする? 巫女に会いに行く?」
タマヒメ様が聞いてくる。
「どうしましょうか……実は経験上、迎えに来るかなーと思ってたりしました」
これが甘えっていうのはわかっている。
「私も……」
「まあ、私もね」
これまでがそうだったからなー……
俺達がそのまま待っていると、後ろにサクヤ様が現れた。
「あ、おかえりなさい」
「ただいま。ノルンに外套をもらってきたぞ」
サクヤ様がそう言って、俺達に外套を渡してくれたので羽織っていく。
「それでこれからどうしましょうか? 適当に見て回ってみます?」
サクヤ様に聞く。
「それなんじゃが、ノルンが巫女に連絡してくれたぞ。そこで待っとけじゃと」
あ、そうなんだ。
「なんか悪いな……」
「わからんでもないが、この暑さで知らんところを歩きたくない。これでもまだ朝方じゃぞ」
そうなんだよなー。
これから気温が上がっていくのだろう。
「じゃあ、お言葉に甘えて待ちましょうか」
「うむ。アイス食うか?」
「ください」
俺達はアイスを食べながら迎えを待つことにした。
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