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第182話 すっかり配達員になってしまった


「砂漠に線路を通したんですか?」

「ああ。魔導帝国が主導し、周辺国が援助したわけだ。もちろん、ウチの国も出した」


 ノルン様の威光のおかげだな。


「ダルト王国から行けるんですか?」

「王都に駅があり、そこから行ける。ただ夜の便だな」


 夜?

 夜行列車か?


「動力の問題らしい。砂漠は暑いから熱を持って故障しやすいのだ。だから夜に出発し、朝には土の国の聖都に着く感じだな」


 それは良いな。


「寝るところはあるのか?」


 サクヤ様が聞く。


「そういう席もある。VIP席だな。確か料金は……一般席が金貨1枚でVIP席が金貨10枚だったか?」


 十分に払える。

 寝台列車の方が良いな。

 最悪は転移で家に帰れるし。


「ダルト王国まではいつも通りですよね?」

「そうだな。馬車で15日ってところだ」


 遠いな。

 来週末に着くためにはちょっと頑張らないといけない。


「気を付けることってありますか?」

「何と言っても暑さだな。日差しがきついから昼間に出歩く際は布かなんかで頭を覆った方が良いぞ」


 ターバン的なものかな?


「わかりました」

「それくらいか? すまないが、土の国はあまり詳しくないのだ。ダルト王国は中継する国として商業が盛んなくらいで特に見るところはなかったと思う」


 ふむふむ。

 やはりダルト王国は寄るだけで良さそうだな。


「なるほど」

「まあ、行くなら気を付けて行くと良い」

「はい。いつもありがとうございます」


 俺達はカーティスさんから話を聞き終えると、忙しそうなので長居せずに研究室を出て、魔法ギルドに向かう。


「やっぱり砂漠って暑いんだね」

「そういうイメージはありますね。あと、寝台列車がすごく気になります」


 ジュリアさんは好きそうだなって思ったよ。


「そっちにしてみようか」

「はい」


 話をしながら歩いていると、魔法ギルドに到着したので中に入り、チェスターさんのところに向かった。


「こんにちは」

「やあ。魔導帝国はどうだった?」


 今日もいつものチェスターさんだ。


「色々と買えましたよ」

「儲けてるね」

「おかげさまでね。あ、またお金をください」


 そう言うと、サクヤ様がカウンターにカバンを置く。


「はいはい。聞いてるよ。確認してくるからちょっと待ってね」


 チェスターさんはカバンを持って奥に行ったのだが、すぐにカバンを持ったまま戻ってきた。


「あれ? 不備でもありました?」

「違う、違う。まずは料金ね。ボーナスがついて金貨80枚」


 チェスターさんがカウンターに小袋を置いたので受け取る。


「ありがとうございます」

「こちらこそね。それでさー、君ら、どうせ次は土の国に行くんでしょ?」

「よくわかりますね?」

「君らの観光ルートを考えればわかるよ」


 ついに観光って言われちゃった。

 冒険(旅行)なのに。


「まあ、その予定です。さっきもカーティスさんに話を聞いてきました」

「うんうん。そういうわけでウチからの指名依頼。これを土の国の聖都にある魔法ギルドに持っていって」


 チェスターさんが持っているカバンをカウンターに置いた。

 というか、俺達がここまで運んだカバンに見える。


「中身は同じなんですか?」

「いや、違うよ。ちょっと大事な書類が入っている。料金は金貨30枚に列車代の金貨1枚ね」

「寝台列車に乗るんですけど」

「じゃあ、金貨35枚にするよ。いつ頃着くの?」


 やった。

 金貨が4枚増えた。


「来週くらいですかね?」


 来週は3連休だし、その辺りで寝台列車を楽しみたいからちょっと頑張ろうと思っている。


「20日以内ならボーナスで金貨40枚にするよ。それで寝台列車代をカバーして」


 なるほど。

 まあ、どうせついでだ。

 それでお金をもらえるんだから楽な仕事だろう。


「わかりました。チェスターさんは土の国に行ったことがありますか?」


 カバンを受け取り、サクヤ様に渡しながら聞く。


「ないね。ちょっと遠いし、暑いのは嫌だもん」

「何か知ってます?」

「うーん……巫女様がおられる、川が綺麗、夜の星空が綺麗、肉料理が美味しい……これくらいかな? 詳しい情報が知りたいなら冒険者ギルドのネイトさんに聞きなよ。あの人はあっち方面でも活躍していた元冒険者だし」


 あ、そうなんだ。


「配達依頼の仕事がないか聞きに行くついでだったのでちょうどいいですね」

「そうだね。でも、多分、配達依頼はないと思うよ」

「そうなんです?」

「うん。今朝、国が運営する定期便が出たばかりだもん。ウチも頼んだ」


 あ、そうなのか。


「そういうのもあるんですね」

「まあね。ただ頻度が月一くらいだから急ぎの場合はこうやってお仕事として人に頼むんだよ。定期便もダルト王国までだしね。君達が来てくれてちょうど良かったよ」


 タイミングが良かったのか。

 もし、来なかったら別の人に頼んだわけだな。


「こっちも行くついででお金儲けできてラッキーですよ」

「持ちつ持たれつのためのギルドだからね。気を付けて行っておいで。お土産と言って砂漠の砂とか持って帰らなくていいからねー」


 甲子園じゃないんだから。


「わかってますよ。では……」


 俺達は魔法ギルドをあとにすると、今度は冒険者ギルドに向かった。


書籍を購入してくださった方、ありがとうございます。

まだの方は是非ともご購入頂けると幸いです。


本作はこれからも続いていきますし、色々と書いていきますが、これからもよろしくお願いします。

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