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第181話 旅行


 楽しい週末が終わり、またしても1週間が始まった。

 ノルン様が言うように俺とジュリアさんは相性が良いのか、もう2人で住んでいることに違和感はないし、仕事以外は楽しいことが多い日常を送っている。


 仕事を終えると、帰宅し、ジュリアさんがおかえりなさいと言ってくれることもあるし、逆に俺がおかえりと言うこともある。

 夜は一緒にご飯を食べ、アニメを見たり、ゲームをしたりする。

 実に楽しいし、その時間があるから好きではない仕事も頑張ろうと思える。


 なんで俺は半年間も無駄に過ごしたんだろう?


「浅草とかも行くー?」

「良いですね。テレビで見たことがあります」


 俺達は1週間の仕事を終えた金曜の夜、ベッドで並んで寝ころびながらスマホを見ながら東京旅行の話をしていた。


「他はどこだろ? いっそツアーで申し込む?」

「あー、それが良いかもしれませんね。もう1日あるわけですし、そっちで自由に動けます」

「じゃあ、そうしよう。ちょっと調べてみるね。ちなみにだけど、行きたいお店とかある?」

「あ、前にテレビで見たスイーツ店に行きたいです」


 スイーツか。


「良いね。ちなみに、ファミレスは?」

「ファミレス? 行きたいんですか?」

「いや、この前、村田さんと田舎者あるあるを話していてね。都会の方にしかないチェーン店に行きがちだけど、別にありがたみはないねって話」


 だいたいこんな話。


「なるほど……大手チェーンのコンビニができた時に友達と遠いのにわざわざ行ったことがある私は何とも言えませんね」


 行ったんだ……


「行く?」

「いや、さすがに行きませんよ。時間がないとか手軽に済ませたいならわかりますが、わざわざ予定を立ててまで行きません」


 ジュリアさんが苦笑いを浮かべる。


「まあねー」

「それよりもちょっと気になっているのは土の国の砂漠ですね」

「砂漠?」

「車で行けますかね?」


 あー、確かに。

 というか、馬車もダメじゃないかな?


「ラクダ?」

「いますかね? それに距離的に時間がかかりそうですし、ラクダさんを置いてウチに帰るわけにはいきません」


 当然、ウチでも飼えない。


「輸出入もあるだろうし、どうしてるんだろうね?」

「船とか?」


 確かに土の国の南には海がある。

 土の国をまたぐような大きな川はそこに流れているのだ。


「どれくらいの時間がかかるかわからないけど、平日の昼間に仕事がある俺達は船も微妙かなー。まあ、カーティスさんに確認してみよう」

「そうですね。じゃあ、明日は朝からですので寝ましょうか」


 明日の午後は水の国の海で遊ぶことになっている。

 もう9月に入ったし、今年最後の海になるだろう。


「そうだね。おやすみー」

「おやすみなさい」


 電気を消し、就寝した。

 翌日は朝早くから起き、準備をする。

 そして、サクヤ様とジュリアさんの3人でフロック王国の王都にある倉庫に飛んだ。


「カバンがありますね」


 倉庫の隅っこには魔導帝国のギルドで受け取った魔法のカバンが置いてある。


「そりゃの。どうする? 先にギルドに行くか?」

「いえ、カーティスさんのところに行きましょう。近いですし」


 ここから数分歩けばカーティスさんの研究室だ。


「では、そうするか」


 俺達は倉庫を出ると、カーティスさんの研究室に向かった。

 そして、扉をノックする。


「こんにちはー。カーティスさーん、おられますー?」

『いるぞ。勝手に入ってくれ。ちょっと手が離せない』


 そう言われたので扉を開け、中に入る。

 すると、カーティスさんはデスクにつき、書き物をしていた。


「お久しぶりです。お忙しかったですか?」

「いや、大丈夫だ。それよりもマージェリーから魔石が高値で売れたって聞いたぞ。良かったではないか」


 連絡したのか。


「ええ、そのお金で色々買えましたし、ホクホクですよ」


 やっぱり冷凍庫(袋)と冷却石が良い。


「うむ。魔導帝国はどうだった?」

「いやー、図書館は良いんですけど、あの差別的なところがちょっと馴染みそうにないです」

「まあな……私も思うところがないわけではないが、他国だから干渉はできん。それに優遇される側としては何とも言えん」


 姉や姪っ子がいるわけだしねー。


「あとなんか議員さんに絡まれましたよ」

「それも聞いたな……利権というのはそういう腐敗も生むものなのだ。あまり人のことは言えんがな」


 貴族だもんな。

 しかも、かなりお偉いさん。


「カーティスさんは立派ですよ」

「ははっ、そんなことないさ。それよりも戻ってきたということはまた別のところに行くのか?」


 わかるらしい。

 まあ、パターン化してるもんな。


「ええ。土の国に行きたいな、と」

「まあ、そこになるか……」

「カーティスさんは行ったことがありますか?」

「一度だけな。綺麗だし、良いところではある」


 やっぱりあるのか。

 とはいえ、一度だけ。

 まあ、外交官とはいえ、貴族だし、あまり遠出はできないのだろう。


「聖都以外は行かない方が良いって聞きましたけど?」

「うむ。絶対に行かない方が良いだろうな。そもそも砂漠は異常なくらいに暑いし、毒を持っている魔物も多いから危険だ」


 サソリのイメージがあるな。


「それなんですけど、どうやって行くんですか? 砂漠なんて歩いたら干からびちゃいません?」

「そうだな。まあ、そういう不便というか、人が住みにくいところにあるのが聖都だ」


 そう聞いたな。

 火山に水害。

 風の国は竜巻でも起きるんだろうか?


「でも、観光地なんですよね?」

「ああ。昔は行き来するのも大変だったらしい。でも今はちゃんとしたルートがある」


 道でも作ったのかな?


「何です?」

「列車だ」


 あー、なるほど。



書籍を購入してくださった方、ありがとうございます。

まだの方は是非ともご購入頂けると幸いです。


よろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
異世界列車旅とか最高じゃない。珍しく正規の手段で移動出来そうだ。ただ列車に乗ってとなると車内に居る時間が問題か。あまり長時間だと連休確保しないといけないかも。途中で抜け出して同じ車内にまた戻れるなら別…
そりゃそうか、火の国にトロッコ列車があるんだから普通の鉄道列車もあるよなw
後悔してるみたいだけど、半年のインターバルがよかったのだと思うぞ がっつくのは、良くない。 特に年の差あるのだからね、ジュリアさんは良い娘だけど、不安になる だからよかったのよ、これで。
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