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第177話 すれ違い夫婦


 翌朝、この日は火曜であり、1日遅れて1週間が始まる。

 とはいえ、以前のように辛くないし、すっきり起きることができた。


「おはよー……朝ご飯、ありがとー……」


 目をこすりながらリビングに出ると、キッチンにいるジュリアさんに声をかける。


「おはようございます。いえいえ、お弁当もここに置いておきますので」


 おかしいな?

 一緒に寝ていたはずなのに……


「わかったー……サクヤ様、朝ですよ」


 くかーっと寝ているサクヤ様を揺する。


「おー……朝か、ええ匂いがするのう……」


 サクヤ様が目をこすりながら上半身を起こした。


「できた嫁が作ってくれました。ダメな旦那ですみません……」

「悲しいのう……」


 俺達はコタツ机でジュリアさんが作ってくれた朝食を食べる。


「美味いのう……これがSランク嫁か」

「Dランク旦那ですんません」

「ふふっ、ハルトさんもSですよ」


 すごい……ホントにSランク嫁だ……


「ありがと。サクヤ様、昨日は何時に寝たんです?」


 風呂から上がると、俺とジュリアさんは寝室でゲームをして、11時くらいには就寝したのだが、リビングでは3神がなんか盛り上がって宴会していた。


「2時くらいかの? おぬしらの結婚を祝って、飲んでおったのじゃ」

「それはどうも」


 神様に祝ってもらえるなんてありがたいことだ。


「うるさかったか?」

「いえ、ノルン様に教えていただいた音を消す魔法っていうのを使ってみました。すごいんですよ」


 本当に隣の部屋の音が消えた。


「ほう……そうか、そうか。上手に使えよ」


 上手って言われてもトイレの乙姫代わりくらいしか思いつかんぞ。


「俺達に気にせずに騒いでも良いですけど、隣の人に迷惑にならないようにしてくださいね」

「わかっとるわい。我らとて、わきまえておる」


 まあ、どちらかというと物静かな神様達か。


 俺達はその後も朝食を食べていき、最後のお茶も飲み終えた。


「ごちそうさまです」

「ごちそうさま。美味しかったよ」

「ありがとうございます。さて、仕事ですね」


 うん……仕事ね。


「あ、洗い物はしておくから先に準備しなよ」


 女性は時間がかかる。


「ありがとうございます。では、お願いします」


 ジュリアさんが笑顔で微笑み、洗面所に向かったので空いた皿をキッチンに持っていき、洗い物をする。

 そして、俺も準備をすると、出社した。


 この週は生活が変わり始めて最初の週だが、すぐに生活リズムを掴んでいき、家の仕事の分担もすぐにできあがった。

 まあ、これまでサクヤ様やタマヒメ様の転移のおかげで頻繁に行き来していたということも大きいと思うが、ジュリアさんと一緒に暮らしていてストレスがないというのも大きかった。


 そんなこんなで1週間を終えた金曜日。

 夕食も食べ、風呂にも入った俺とジュリアさんは寝室にいる。

 ジュリアさんはベッドの上に座り、ゲームをしており、俺は寝転がってジュリアさんに勧められたアニメを見ていた。


「本当に面白いね、これ」


 やっぱり異世界は良いなー。

 剣と魔法のファンタジーこそ王道だ。


「ですよね? OPがかっこいいんですよ」

「へー……」


 まだ1話なのでOPは流れていない。


「ハルトさん、金髪の子と青髪の子はどっちが好きです?」


 え? 黒髪の子……あー、ゲームか。


「俺、金髪の子としか結婚したことない」

「うーん……まあ、そうですよね……」

「ちなみにだけど、ノルン様は金目当てで青髪の子と結婚してたよ」


 あの神様はそういうプレイをする神様だ。

 私の嫁はピエー〇って言ってたけど。


「私も金髪の子かな……」


 良いと思う。


「おー、OP良いね。かっこいい」


 最後にOPが流れたが、確かにかっこいいし、良い曲だ。


「良いですよね。好きなんですよ。車で聞いてます」

「カラオケ行く?」


 ジュリアさん、結構好きだし。


「行きたいです」

「じゃあ、仕事終わりにでも行こうよ」

「はい。明日は魔導帝国ですよね? 図書館に行きません?」

「いいよ。俺もあっちの世界のUMAの本を読みたかったし」


 館長さんが言ってたやつ。


「ハルトさん、そういうのが好きですよね」

「そう?」

「一昨日もそんな動画を見てました」


 見てたね。


「男の子は好きなんだよ。ジュリアさんは何を読むの?」

「やっぱり実技系の魔法ですかね? 色んな魔法を使ってみたいです」


 まあ、わからないでもない。


「良いねー。明日は読書の日にしようか。図書館で読んで、さらに借りて読もう」

「良いですね。火の国にします?」

「ぐつぐつ?」

「ぐつぐつです」


 美味しいもんね。


「そうしよっか」

「はい。となると、明日は朝からですね。そろそろ寝ましょうか」


 ジュリアさんがセーブをし、ゲームを切る。


「ちょっと待って。今、2話の良いところだから」

「早く寝ないと、寝坊しちゃいますよー?」


 ジュリアさんが上に乗ってきた。

 重くはないし、辛くもない。

 むしろ、なんか柔らかいし、良い匂いがする。


「いや、ホント、良いところ。これ、すごく面白いわ」


 ジュリアさんのおすすめは本当に外れんな。


「ハルトさんのおすすめとかないんですか?」

「俺の? ちょっと古くなるよ?」


 最近はアニメまでチェックしてない。


「多少、古くても名作は名作ですよ」


 確かにそうだ。


「えーっとね、10年くらい前だけど……」

「ほうほう」


 ジュリアさんに昔見たアニメを教えると、ジュリアさんも隣に寝ころび、スマホでアニメを見始めた。

 俺も2話を続けて見ていくが、当然、俺の方が早く終わる。


「ジュリアさん、明日は朝からだよ。寝ないと寝坊しちゃうよ」


 そう言ってスマホをガン見しているジュリアさんを抱き寄せる。


「いや、ちょっと待ってください。これ、面白いです……」

「じゃあ、俺も3話見よ」


 俺達はこの噛み合うことのないやり取りを何回か繰り返し、就寝した。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

今週の木曜日に本作の2巻が発売となります。(すでに発売しているところもあるようですが)

ぜひとも手に取って読んでいただければと思います。


また、2巻の発売を記念しまして、土曜まで毎日更新いたします。


よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
OP?ED?
どう考えてもノルン様が音消し魔法を贈ったのはアレのためでしょうに… 乙姫なんかに使わないでちゃんと夫婦生活のために使いなさいよ あとサクヤ様ももう少し直接的に煽らないと。。
サクヤ様もっとちゃんと焚き付けないと世継ぎはいつになるか分かりませんよ... 良く考えると金の子って言うほど幼馴染じゃないんよねぇ
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