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第174話 結婚


 新居に戻った俺達は手分けをして、各自の家のものを転移させていった。

 それと同時に使う予定のない家具なんかを王都の倉庫に置いていく。

 そういう作業をひたすらやっていくと、夕方には殺風景だった新居が生活感あふれる部屋に変わった。


「良いねー」

「はい。私達の部屋です」


 リビングはキッチンから見えるテレビがあり、まだ時期じゃないので布団は出していないがコタツ机もある。

 寝室には大きなベッドとウチから持ってきたテレビがあり、ジュリアさんと一緒にゲームもできる。

 当初計画していた通りに家具や家電も設置できたし、もういつでも住める感じだ。


「前の部屋よりもずっと良いわね」

「そうじゃのう……ノルン、お前も何かないのか?」


 サクヤ様がひたすらゲームをしているノルン様に言葉を求める。


「素晴らしい部屋だと思います。明日には引っ越し祝いの新しいゲーム機が届きますので」


 通販か……


「ありがとうございます」

「一緒にやりましょうね」


 というか、ノルン様がやりたいために買ったんだろうしな。


「さて、今日はこの辺にして、火の国の別荘で休むとするか」

「そうしましょう」


 俺達は火の国の別荘に飛ぶと、マグマ亭で夕食を済ませ、ゆっくりと過ごしていった。


 翌日の日曜日はお互いの家の掃除がメインであり、各自で何もなくなった部屋を掃除していく。

 2年以上も住んだ部屋だったのでちょっと寂しくもあったが、さすがに新居への期待の方が大きい。


「ハルト、あまり根詰めてやるなよ。どうせ敷金は返ってこんぞ」

「まあ、いいじゃないですか」

「真面目じゃのー……」


 俺は立つ鳥跡を濁さずの精神で掃除をしていき、そこそこ綺麗になった部屋を見渡す。


「こんなものですかね」

「ええじゃろ。では、行くかの」

「はい」


 すべての片づけを終えたので部屋を出て、車に乗り込む。

 そして、車を走らせて新居に向かうと、すでにジュリアさんの車が見えた。


「ジュリアの方が早いんじゃの」

「ジュリアさんは半年しか住んでませんからね」

「そういやそうじゃの。それで結婚か……おぬしがパッパッと決めれば金が節約できたんじゃないか?」


 卒業と同時に結婚して、一緒に住むの?

 それはそれでどうなんだ?


「言い訳じゃないですけど、1人暮らしを経験するのは良いことだと思いますよ」


 ちょっと短かったけど。


「まあそうか」


 俺達が車から降りると、新居に向かった。

 そして、扉を開け、中に入ると、階段を昇っていく。


「あ、おかえりなさい」


 キッチンで料理をしているジュリアさんが迎えてくれた。


「ただいま……今のはドキッとした」


 すごく良かった。


「ふふっ、言ってみました」


 いやー、可愛いわ。


「そっちは終わった?」

「はい。ハルトさんの方も終わりましたかね?」

「うん。水回りと換気扇が大変だったよ」


 特に換気扇の油がね……

 カバーを付けてたんだけど、油がしみ込んでた。


「長く住んでましたもんね。あ、座って待っててください。簡単なものですけど、もうすぐできますから」

「ありがとー」


 礼を言うと、リビングに行き、コタツ机の前で座る。

 サクヤ様はすでに座っていたし、ノルン様とタマヒメ様は一緒にゲームをしていた。


「自由な神じゃの」

「賑やかで良いじゃないですか」


 タマヒメ様がボコられているけど……


 俺とサクヤ様がそんなゲーム画面を眺めていると、ジュリアさんがパスタを持ってきてくれた。


「できましたよー」

「おー、明太子だ」


 俺達は皆でパスタを食べていき、新居での初めての料理を堪能する。

 そして、ゆっくりと過ごし、綺麗な風呂にも入ると、ジュリアさんと寝室に行き、ゲームを始めた。


「このベッドも良いですね」


 俺達はベッドの上に上がり、ゲームをしている。

 やっているのはカー〇ィーだ。


「そうだね。冷却石も涼しいし、本当に快適だよ」


 金貨1300枚で冷却石や魔法のカバン(冷凍庫)の他にも色々と買った。

 おかげでほぼ使い尽くしてしまったくらいだ。


「ですね。明日はいよいよ役所に提出です」

「そうだね。提出したら組合ね」


 健診があるのだ。

 この日に入れたのは提出したことを証人にもなってくれた村田さんや秋山さん、それに山中さんに報告するためである。


「はい。良い報告ができます」


 ホントにねー。


「じゃあ、明日も早いし、今日は寝ようか」


 最近、土日なのに早く起きてばっかりな気がする。


「そうですね」


 俺達はゲームを消すと、一緒に布団で横になり、電気を消した。


「ジュリアさんさ、結婚するけど、何かある?」


 暗いながらもジュリアさんの方を向きながら聞いてみる。


「んー? 何かとは?」

「これをしたいとかあれをしたいとか」

「そうですねー……まずは東京です」

「良いねー。明日、申請してみよう」


 9月の連休に有休を絡ませていこうという話になっているのだ。


「それと昔、母が言っていたことですけど、おはようとおやすみは絶対に言うっていうのがありましたね」


 へー……


「じゃあ、そうしよっか」

「はい。おやすみなさい」


 ジュリアさんが手を繋いできたので抱き寄せる。


「うん、おやすみ……」


 翌日、朝早く起きた俺達は朝ご飯を食べ、2人で役所に向かった。

 そして、婚姻届を提出し、受理されると役所を出る。


「あっさりでしたね」

「うん。でも、良かった」

「ですね。これで私は岩見樹莉愛です」


 そうなるね。


「よし、組合に行って健診と話をして、新居に戻ろうか」

「そうですね。カー〇ィをクリアしましょう」


 俺達はどちらからともなく、手を握り、駐車場に止めた車まで戻る。

 そして、俺達が進展したきっかけとなった映画を誘った喫茶店がある組合へと向かった。


ここまでが第4章となります。


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