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第166話 バーベキュー!


 皆で待っていると、ジュリアさんとタマヒメ様がやってくる。


「お待たせしました」

「すんごい美味しそうよ」


 ジュリアさんが野菜なんかを並べ、タマヒメ様がワイバーンの肉を置いた。

 ワイバーンの肉は焼肉みたいにスライスされており、色的には鶏肉に近い。

 そして何より、綺麗に切られており、均一に並べられていた。


「すごいねー」

「すげー」

「ジュリアさんはお上手ですねー」


 ホント、ホント。

 最近、明らかに俺が作った時とジュリアさんが作った時でサクヤ様とタマヒメ様のリアクションが違う。


「そんなことないですよー。あ、味付けがよくわからなかったので色々と用意しました」


 ジュリアさんがそう言うと、タマヒメ様が塩コショウや焼肉のタレ、それにポン酢なんかを置く。


「あ、私も特製のタレを用意しましたよ」


 サラさんがそう言うと、小瓶を取り出した。

 ガラスでできた小瓶が真っ赤なことで大体は想像が付く。


「うわっ、出た。火の国人」


 辛いものがダメなディーネさんが引く。


「ちょっとかけるだけでピリッと来るから良いアクセントなんですよ」

「あんたらの国のピリッは信用できない。何度も『これはそんなに辛くないから!』とか『これは辛いのが苦手な人でも大丈夫だから!』って言われた。その度にむせたんだぞ」


 うーん、まあ、好きな人はそう言うかもな。


「まあまあ、塩コショウでも十分に美味しいですよ」

「そうする。あ、私も酒を持ってきてたんだった」


 ディーネさんはそう言うと、別荘の中に入っていく。

 そして、すぐにカバンを持って戻ってくると、中から一升瓶を取り出した。


「魔法のカバンですか?」

「そうそう。容量は全然だけど、冷やせるやつ」


 この人も持っているんだな。


「ええの」


 サクヤ様がそう言って人数分のコップを取り出すと、ディーネさんが注いでくれる。


「じゃあ、こっちも焼いていきますねー。ハルトさん、お願いします」


 ジュリアさんに頼まれたので魔法で木炭に火を点ける。

 すると、ジュリアさんが肉や野菜を乗せていった。


「ほれ、酒じゃ、酒」

「良いやつなんだぞー」


 サクヤ様とディーネさんがコップを配っていく。

 そして、良い匂いがする中で乾杯をし、一口飲んだのが、冷えていて非常に美味しかった。


「本当に美味しいですね」

「飲みやすいです」

「うん、いけるのう」

「美味しいわね」

「この国のお米のお酒は良いですよね」


 全員が絶賛する。


「だろー? それにしてもワイバーンの肉は良い匂いがするな。ウチの国には滅多に出ないし、出ても流通することなんかないから初めて食べるわ」


 そうなのか……


「ウチも最近は獲ってくれる人が極端に減ってますからねー。この前、マグマ亭で食べましたけど……」


 一緒に食べたね。


「もう大丈夫だと思いますよ。どうぞ、どうぞ。いっぱいありますんで」

「よし! 食べよう!」

「私もいただきます」


 ディーネさんは取った肉に塩コショウをかけ、サラさんはマグマソースをかけて食べる。


「うん! 美味いな! 肉の脂がすごい! そして、酒に合う!」

「焼いても美味しいですね! 炭焼きだと香りが倍増しますし、このピリ辛感が最高です!」


 2人が絶賛するので俺達も箸を伸ばした。


「塩コショウにしよ」


 取った肉に少しだけ塩コショウを振りかけ、食べてみる。

 すると、鶏肉にも似ているが、ジューシーで濃厚な味わいが口いっぱいに広がっていった。


「美味いわー」

「本当にのう」


 同じく塩コショウをかけたサクヤ様の満足そうに頷いている。


「焼肉のタレも美味しいですよ」

「うん。美味しい。お酒、お酒」


 ジュリアさんとタマヒメ様は焼肉のタレをかけたようだ。


「次、そっちにしてみよう」


 俺達は様々な味付けを試していく。

 サラさんが持ってきたマグマソースもちょっとだけかけるとピリッとして非常に美味しかった。

 俺達は食べると同時にお酒も飲んでいき、あっという間に一升瓶がなくなったのでウチの冷蔵庫に入っているハイボールや酎ハイも飲んでいった。


「おたくらの世界の酒も美味いなー」

「ホントですよね。私はこっちの方がライトな感じがして好きです」


 ライト(安い)。


「いやー、それにしても良いなー。浜焼きもバーベキューも何回もしたことがあるけど、今日が一番美味しいし、楽しいわ」

「私は初めてですね。こういうのも良いものです」


 2人はしみじみとお酒を飲み、もう暗くなっている海を見た。


「あー、腹いっぱいじゃ」

「食べたわねー」


 サクヤ様とタマヒメ様はもうダメのようだ。

 とはいえ、俺ももうきついし、ジュリアさんも完全に箸が止まっている。


「私ももう満足だわ」

「私もです」

「だなー。さて、私らはこの辺でお暇するわ」


 ん?


「もうお開きです?」


 まだ8時前だ。


「火の国の別荘に泊まらせてくれるんだろ? これからサラと巡ってくる」

「あー、なるほど」


 そんなこと言ってたな。


「そういうわけで送ってくれ。今回は前回行けなかった奥の方に行ってみる」


 いや……いやいや!


「えーっと……」


 チラッとサラさんを見ると、目が合う。

 そして、軽く頷いた。


「ディーネさん、今日は私が案内させてください」


 サラさんが力強く提案する。


「え? そう?」

「はい。おすすめのお店を紹介します」

「じゃあ、そうするか。現地の人のおすすめの方が良い。観光地はぼったくりがこえーし」


 そうそう!


「では、参りましょう。申し訳ございませんが、送ってくださいませんか?」

「我が送ろう」


 3人が立ち上がった。

 すると、ディーネさんが上品な笑みを浮かべる。


「皆様、今日は本当にありがとうございました。このような席を設けていただき、さらにワイバーンという高級食材まで御馳走になりました。そして何より、あなた方やサラといった良き友人と食卓を共にできたことは……ゲップ出そう」


 最後までやれよ。


「……とても嬉しいです。今度はこちらが招きますので今後ともよろしくお願いいたします」


 サラさんが引き継いだ。


「はい。また」

「よろしくお願いします」


 俺とジュリアさんもちゃんと答える。


「じゃあなー」

「では、おやすみなさい」


 2人がそう言うと、サクヤ様と消えてしまった。


「俺達も片付けをしようか」

「そうですね」


 俺達は戻ってきたサクヤ様やタマヒメ様にも手伝ってもらいながら片付けをしていく。

 そして、最後にジュリアさんと火の始末を終えると、別荘の中に入った。


「あー、今日は楽しかったね」

「はい……あの、ハルトさん、水中神殿の方に行きませんか?」


 ジュリアさんがそう言って、手を取ってくる。


「あー、良いね。行こうか」

「はい」


 俺達はそのまま正面の玄関の方から別荘を出ると、2人で手を繋ぎながら海岸線を歩いていった。

 東の大通りを歩き、教会から水の神殿の方に行くと、幻想的な夜の湖を堪能する。


「やっぱり良いね……」

「はい。綺麗です……」


 俺達は心が洗われるような気持になりながら湖の中を見ていくと、いい時間になったので別荘に戻り、楽しい1日を終えた。


お読み頂き、ありがとうございます。

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