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第163話 食材調達


 日曜日になり、準備をしていると、ジュリアさんとタマヒメ様がやってきた。


「お待たせしました」

「おはー」


 ジュリアさんは異世界の服だが、タマヒメ様はいつもの和服姿であり、ワイバーン狩りには行かないという強い意思を感じる。


「昨日はどうだった?」


 ジュリアさんに昨日の集まりについて聞く。


「いつもの集まりですね。あと、結婚のお祝いもしてもらいました」


 うーん、一応、反対はされていないようだな。


「まあ、今さらとやかく言うことはないわよ。それに昨日の集まりはほぼ選挙の話」


 タマヒメ様が布団に寝っ転がりながら教えてくれた。


「選挙ですか……」


 議員さんだもんな。


「最近はほぼその話よ。つまんないわー」


 まあ、面白くはないだろうな。


「大変だね」

「そこは何とも言えませんね……」


 ジュリアさんが苦笑いを浮かべた。


「まあ、ええじゃろ。我らには関係ない話じゃ。大事なのは夜のバーベキュー」

「そうよ。頑張んなさいね。私はここで皆の無事を祈っているから」


 どうも……

 多分、自分の子を見捨てて云々を言えば、ついてくるんだろうけど、さすがに本当に嫌そうだからやめておく。


「ハルトさん、お肉は買いましたか?」


 ジュリアさんが確認してくる。


「うん。一番安い豚肉の切り落としにしたんだけど、大丈夫かな?」


 もちろん、バーベキュー用の肉ではなく、ワイバーンの狩りに使う肉だ。


「良いと思います。ワイバーンの好みがよくわかりませんからね」


 まあね。

 高い牛肉を買って、好みじゃないって無視されたらもったいないし。


「よし、じゃあ、これでいこうか」

「はい。サクヤヒメ様、お願いします」

「ああ。じゃあ、火の国の別荘に飛ぶぞー」


 俺達は転移で別荘に飛ぶと、すぐに出て、駅に向かった。

 そして、トロッコ列車で教区までやってくると、神殿に入る。

 すると、出入り口付近でサラさんが待っていた。


「あ、おはようございます」

「おはようございます。今日はお誘いいただきありがとうございます」


 サラさんが深々と頭を下げてくる。


「いえいえ。ディーネさんも喜んでましたよ」

「あの人はまあ……」


 サラさんが何とも言えない表情を浮かべた。


「別荘の方に泊まるように勧めたらサラさんと夜の町に繰り出すって言ってましたね」

「ディーネさんだなー……まあ、案内しますよ」


 この人が案内すれば奥には行かないだろう。


「自分らは水の国の方に泊まりますのでゆっくりしてくださいよ」


 まあ、そもそもあの別荘も教会のコテージなんだけどね。


「ありがとうございます。せっかくなんでゆっくり話でもしますよ」


 同じ立場で話したいこともあるんだろうけど、遠いからな。


「じゃあ、夕食を確保しに行きましょうか」

「そうですね。こちらです」


 サラさんが先導してくれたので右の方の通路に向かった。

 そして、修験道に出ると、前にワイバーンを狩ったところを目指して歩いていく。


「涼しいねー」


 夏にハイキングだけど、全然厳しくない。


「ホントですね。やっぱり標高が高いからでしょうか」

「多分、そうだろうね」


 水の国の山にはちょっと登るのをためらうが、こちらは快適だ。


「この標高まで来ると、夏でも気温はそこまで上がりませんね。だから避暑地として人気なんですよ。冬は逆に厳しくなりますが、代わりに温泉が人気ですね」


 サラさんが説明してくれる。


「ここは季節で色が変わるって言ってましたもんね。冬が楽しみです」


 ぐつぐつを食べて、温泉に入ろう。


「水の国も冬もそこそこ人気なんですよ?」

「そうなんです? 海は入れませんよね?」

「そういうレジャー的なものはまったくダメになりますが、代わりに食が豊富になるんですよ。冬にしか獲れない魚やカニなんかも出てきますし、鍋料理が非常に人気です」


 おー! 良さそう!


「カニ、良いね」

「ええ。お鍋も良さそうです」


 ジュリアさんと頷き合う。


「土の国とか風の国もそういうのがあるんです?」

「もちろんですよ。ぜひ行ってみてください」


 そうしよ。


 俺達が話をしながら歩いていると、前にワイバーンを狩った開けたところにやってきた。


「えーっと、まずはあの岩に肉を置くんだよね?」

「ええ。それで隠れましょう」

「サクヤ様、冷蔵庫に入れてある豚肉をお願いします」

「はいよ」


 サクヤ様が昨日、スーパーで買った豚肉が入った袋を渡してくれる。


「じゃあ、置いてきます」


 岩まで行くと、袋から豚肉が入ったパックを取り出していき、岩に重ねるように置いていった。

 計5パック買ったので総量は1キロを超えている。


「なんかもったいないな……まあいいか」


 肉を置き終えると、皆が待機している高い岩山に囲まれている道まで戻った。


「準備完了です」

「うむ……しかし、あの山盛りの肉は違和感がすごいの……」


 岩に不自然にこんもりと盛ってあるのだ。


「前も似たような感じでしたし、大丈夫ですよ」

「そうかのー。我かタマちゃんがあそこで寝てた方が良くないか?」

「絵面が最悪です。それこそ生贄じゃないですか」


 神様にそんなことさせられないし、タマヒメ様が泣いちゃうよ。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
肉は生のまんま? 軽く焼いた方が匂いと煙で引き寄せれないかな。
サクヤ様は泣かない?
>絵面が最悪です タマちゃん様をいじめてはいけないw しかし選挙か・・・浅井さんとこと事実上の合併となる以上、岩見票もとりこめ・・・ あるのか岩見票?
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