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第149話 コーラの方が美味しいですよ?


 異世界の服に着替え、ジュリアさんの部屋に飛び、朝食を御馳走になる。

 そして、洗い物をし、準備を終えると、異世界に飛んだ。


「あれ? 遠くない?」


 街道の先には何かが見えている。

 ただ、距離が明らかに遠かったため、タマヒメ様が首を傾げた。


「魔導帝国って言うくらいじゃから念のため距離を取ったんじゃ。ここからは歩きじゃな」

「それでねぼすけ共のくせにこんなに朝早いのか……まあ、健康のために歩くことは悪くないわ。さあ、行きましょう」


 俺達はやる気満々のタマヒメ様を先頭に街道を歩きだす。


「あー、暑っ……海で泳ぎたいわ」


 音を上げるの早いなー……

 でも、気持ちはわからないでもない。

 まだ7時だというのに十分に暑い。


「まだ風が気持ちいいだけ良いじゃろ。それに日本よりマシじゃ」

「まあねー。今の日本って死ぬほど暑くなるものね。昔はそこまでだったような気がするのに」

「温暖化じゃろ? 一番はアスファルトやコンクリートのせいだと思うがな。あとエアコンじゃろ」

「涼しくするためにどんどんと便利になったのに結果、外は暑くなるわけね」


 まあ、そこは何とも言えない。


「我らだって、昼間にクーラーが利いている部屋におるじゃろ」

「うん。最近、ノルンがまったく外に誘ってこないのよね」


 ノルン様も暑いのは嫌か。


「ずっとコーラ飲みながらゲームしておるの」

「よくもまあ、ずっと同じ体勢でできるもんよ。あー……海が良いわー。もしくは、山。火の国って涼しいし」


 あそこは標高が高いので夏でもかなり涼しいのだ。


「ハルト、今日の夜はどうする? 魔導帝国で泊まるか?」


 うーん、水の国か火の国の別荘に泊まりたいと思うな。


「一応、魔導帝国に行ってから決めます。あそこでは巫女様もおられませんし、別荘なんかをくれるとは思えませんから泊まるなら宿屋でしょ? どんな感じかを見てからですね。俺、シャワーやお風呂がないのは嫌です」

「それは全員じゃ。こんなに暑いのに風呂も入らずに寝れん」

「私も嫌」


 まあ、お風呂だけは家か別荘で入るっていうこともできるとは思うが、お風呂もないような宿屋は他もお察しだ。


 俺達はその後も歩いていき、グチグチ言いながらもひたすら先に見えている都市を目指す。

 そして、徐々に近づいていくと、都市がはっきりと見えてきたのだが、外壁に覆われているのがわかった。

 さらにはその都市の前に何かの施設があるのが見えてくる。


「国境かな?」

「領土は小さいって言ってましたし、そうだと思います」

「うーむ、あと2キロってところじゃな」


 そこまで来たか……


「タマヒメ様、あと少しですよ」

「そうねー……」


 元気ないなー。


「別に家で待っておれば良かったじゃろ」

「私は自分の子を見捨てないのよー……」


 あー、気にしてらっしゃったか……


 俺達はあと少しと思いながら歩いていくと、ようやく国境にやってきた。

 国境は手前に2階建ての建物があり、奥にも同じような建物があるだけで火の国や水の国のような砦ではない。

 まあ、それは救助とかを想定していないからだろう。

 そして、厳重に見えないところから考えても敵対しているということはなさそうだ。


「すみませーん」


 建物のそばで立っている兵士に声をかける。


「ん? どうしたのかね?」

「通っていいですかね?」

「構わんよ」


 あれー?


「良いんですか?」

「通りたいんだろ? 通りなさい」


 いいの?


「火の国や水の国は厳重でしたけど……」

「あー、そういうことか。それはあそこが入国と出国を兼ねているからだ。基本的に大きな事件でもない限り、出国で我々がとやかく言うことはない。審査をするのは入国時だ」


 あ、それもそうか。


「じゃあ、あっちでは審査がいるってことですか?」


 先にある同じような建物を見ながら聞く。


「そういうことだな。あっちには魔導帝国の国境警備隊がいる。入国審査はそちらで受けてくれ」

「なるほど。では、行ってきます」

「ああ」


 俺達はそのままフロック王国側の国境を抜け、道を歩いていく。

 すると、魔導帝国の国境に近づいた辺りで数人いる兵士の内の1人がこちらにやってきた。


「こんにちはー」


 挨拶が大事。


「ああ、こんにちは。入国かな?」

「はい。観光ですね」

「ふむ……魔法使いか?」


 早速、聞いてきたよ。


「ええ。魔法ギルドに所属しています」

「それは素晴らしい。悪いが、ギルドカードを見せてくれるか?」


 そう言われたのでカードと通行証を取りだす。


「これがギルドカードです。それと通行証もあります」

「ほう。どれどれ……」


 兵士さんがギルドカードと通行証を見だした。


「ハルト、か……こちらの奥様がジュリアさんで間違いないかな?」


 兵士さんがジュリアさんを見る。


「ええ。あ、カード……」


 ジュリアさんもカードを取り出した。


「あ、いや、奥様のは結構。実は上からハルト殿が来たら呼ぶように言われているのだ。審査は不要だし、入国の許可は確実だと思うから少し待ってもらえるだろうか?」


 カーティスさんが言ってくれたやつだな。


「わかりました」

「申し訳ない」


 兵士さんは俺のギルドカードと通行証を持って、走っていった。


「待ちますか」

「そうじゃのー。しっかし、暑いのう……」

「お茶の一つくらい出しなさいよね」


 サクヤ様とタマヒメ様が愚痴ると、奥にいる兵士が顔を見合わせ、1人の兵士が建物に向かおうとした。


「あ、いや、大丈夫ですんで!」

「お気になさらずに!」


 俺とジュリアさんが慌てて止めたが、兵士さんは建物に入っていった。

 そして、お茶を持ってきてくれたのですみませんと謝りながら飲む。

 冷たくて美味しかった。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

7/25(金)に発売される本作ですが、イラストカバーが公開されたのでお知らせします。

イラストレーターはOXさんが務めてくださり、本作にふさわしい楽しそうな絵を描いて頂きました。

ぜひとも見て頂ければと思います。(↓にリンク)


よろしくお願いします!

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