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第148話 ざざざざざっ


 健診を終え、家に帰った俺達は解散し、家のことをしていく。

 そして、夕食を共にすると、一緒にゲームをした。


「そろそろかのう?」


 サクヤ様がそう言って時計を見たので釣られて俺も見る。

 すると、時刻は9時を回っていた。


「そうですね。タマヒメ様は行かれます?」


 例によって、タマヒメ様もいる。


「行かない。夜は出歩いたらダメなの」


 怖いからね。


「では、留守番をお願いします」

「いってらっしゃい」


 俺達はゲームをやめ、浅井の山にある車庫に転移した。

 そして、車に乗り込むと、またもや転移したのだが、真っ暗で何も見えない。


「ルイナの町の近くですよね?」

「そうじゃ。このまままっすぐ進めばよい」

「じゃあ、行きますね」


 エンジンをかけ、ライトを点けると、アクセルを踏んだ。


「今日は2時間だけ進もうと思う」

「良いと思います。明日から月曜日ですしね」


 ねー……


 若干、テンションが下がりつつも話をしながら暗い道を進んでいく。


「今日、村田さんに東京に行けるかを聞いてみたよ」

「どうでした?」

「多分、大丈夫だってさ。新婚旅行で東京に行こうよ」

「おー、東京です! 私、スカイツリーに行きたいんですよ!」


 まあ、定番か。


「またそういうのも決めようか」

「はい」


 新居や旅行のことを話し合いながら進んでいき、11時には帰宅した。


 翌日の月曜日からは仕事をし、夜になったら車で魔導帝国を目指す日々となる。

 その間も今後のことを話し合っていき、週末の金曜になると、新居における家具などの配置や新たに買うものなんかを決めることができた。


「思ったよりも出費はなさそうだね」

「抑えましたからね」


 結婚式もしないし、新居の家具や家電はほぼお互いの家にあるものだ。


「ジュリア、本当に式をせんでええか?」


 後部座席にいるサクヤ様が顔を出した。


「ええ。それよりも将来のことを見据えたいです。結婚式や披露宴も良いとは思いますけど、ちょっと高すぎます」


 まあ、高いね。

 ネットで調べてみたけど、びっくりした。


「現代っ子じゃのー」

「現代っ子ですよ」


 ジュリアさんが笑う。


「ええ子じゃのー。よく岩見に嫁いできてくれたもんじゃ……さて、魔導帝国もいよいよじゃの」

「そうですね」


 サクヤ様とジュリアさんが前を見る。

 実はかなり前から先に灯りが見えているのだ。


「あれが魔導帝国だよね?」

「だと思います」


 ジュリアさんが頷いた。


「これまでは真っ暗じゃったが、今回はかなりの距離から灯りが見えておった。夜でも明るい町かの?」

「多分、そうだと思います。魔道具が発展している国らしいですし、ネイトさんが別世界って言ってましたしね」


 そういう表現をするってことはこれまでの国とはまったく違うのだろう。


「そういえば、ジェーンさんが馬がいらない馬車があるって言ってました。それって車では?」


 俺もそう思う。


「トロッコ列車を作れる技術があるならそれくらいはできるだろうね」

「現代に近いのかもしれませんね」


 はたしてどういう都市なのか……


「ハルト、どこまで行く? それだけ発展しているとなると、不用意に近づくのは危険じゃぞ」

「倉庫の魔法の鍵のように防犯意識の高そうな魔道具も作ってますもんね」

「ああ。これまでの兵士が監視しているかわからん。警報装置や監視カメラも考えられるぞ」


 確かになー……


「あそこまで距離的にはどれくらいですかね?」

「まだ10キロは離れている気がするのう」


 遠いなー……


「車だと15分くらいなんだけどなー」

「歩けば2時間以上ですね」


 そうなっちゃうね。


「危険を顧みずに行くこともないか」

「私もそう思います。それに2時間くらいなら歩けますよ。それ以上を火の国の山で歩いたじゃないですか」


 確かに歩いたな。

 サラさんの祈りのお手伝いでほぼ1日歩いた。


「この辺で止まるよ」


 ブレーキを踏み、車を停車させた。


「まあ、仕方がないの。健康のために歩け」

「はーい……ジュリアさん、明日は暑くならないうちに出ようか」


 昼間はちょっときつい時期だ。


「それが良いですね。じゃあ、今日は早めにおやすみして、明日に備えましょう。7時出発でいいです?」

「うん、それで。サクヤ様、帰りましょう」

「ほい」


 サクヤ様の転移で山の倉庫に戻ると、車から降り、家に戻る。

 そして、この日は解散し、風呂に入って、就寝した。


 翌日、朝6時には目覚ましが鳴ったので起きる。


「サクヤ様ー、朝ですよー……」

「おぬしも起きとらんじゃろ……」

「今日、土曜なんですけど……」

「朝早いうちから行くって言ったのはおぬしじゃろ……」


 そうだけど、眠いよ。


「2人共、寝たまま不毛な会話をしない。さっさと起きて、出発しなさい」


 いつのまにか現れたノルン様がテレビを点け、ゲーム機の準備をしだした。


「おはようございます……今日もお美しいですね」


 輝いて見える……あ、ゲームのオープニング画面だった。


「そうですね。起きなさい」

「はーい……」

「起きるか……」


 俺とサクヤ様は起きると、準備をしだす。


「眠いですね」

「まだ6時過ぎじゃからな」


 今思ったんだけど、昨日の夜、そのまま歩けば良かったんじゃないかな?


「――おはよー……って、まだ着替えてないの?」


 朝から元気なタマヒメ様がやってきた。

 しかも、可愛い白ローブを着た癒し系ヒーラー(すぐ逃げる)だ。


「なんじゃ? 珍しくおぬしも最初から行くのか?」

「まあね。それよりもジュリアが朝ご飯を作ってくれるらしいから早く着替えなさいよ」


 すごいなー。


「ジュリアは本当にええ子じゃの。ああいうのを大和撫子って言うんじゃろうな」

「呼んだー?」

「自分の子を見捨てて我先に逃げる薄情な神は呼んでおらん」


 まあ、ね……


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