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第143話 ハーレム反対委員会会長


 冒険者ギルドを出ると、魔法ギルドにやってきた。

 魔法ギルドは数人しかおらず、空いていたので受付のチェスターさんのところに向かう。


「こんにちはー。お久しぶりです」

「あ、おかえりー。水の国はどうだった? 連れ帰った子はいないようだけど」


 チェスターさんは相変わらず、軽いな。

 ネイトさんとの差よ。

 まあ、話をしやすいっていうのはあるけど。


「そういう旅行じゃないですよ。でも、海は良かったです」

「でしょー。やっぱり今の時期は火の国より水の国だよ」


 火の国も良いけどね。

 まあ、チェスターさんは辛いのがダメだからだろうけど。


「それでですね、妹さんに会いましたよ」

「元気そうだった?」


 チェスターさんとそっくりだったよ。


「元気でやってるっていう伝言を預かってます」

「それは良かった。便りがないのが良い便りって言うけど、他国にいると気になるからね」


 こっちの世界にもウチの国と似たような言葉があるんだな。

 まあ、ノルン様の翻訳か。


「お手紙も預かってますよ。ご両親にだそうです」


 そう言うと、サクヤ様がカウンターに手紙を置く。


「手紙? また珍しいね」

「ほら、『たまには家に帰ってこい』っていう伝言を預かったじゃないですか? あれの返信です。お孫さんからのお爺ちゃんとお婆ちゃんに会いたいなー攻撃ですね」


 会心の一撃。


「あー、そっちが来いってことね」

「そういうことです」

「わかった。ウチの親に渡しておくよ」


 チェスターさんは苦笑いを浮かべながらも手紙をしまった。


「それでですね、次は魔導帝国に行こうかなって思っているんですよ」

「良いね。せっかくこの国に居るんだから一度は行かないと」

「チェスターさんは行ったことあります?」

「そりゃね。何度もあるよ。仕事でも行ったし、プライベートでも行った」


 魔法ギルドの人だし、仕事でも行くのか。


「どうでした?」

「んー? 良かったよ。勉強になったし、楽しかったからね。また時間とお金があれば行くよ」

「そうですか……」


 この人は絶賛だな。


「どうしたの?」

「いや、ジェーンさんは良いことを言ってなかったんで」

「あー、あれね。僕も話には聞いたよ。確かにそういう側面があるのは確かだね。僕は旅行には1人で行くタイプだから問題なかったよ」

「友達とか彼女とかと行かないんです?」


 この人、コミュ力あるし、友達も多そうだし、彼女もいそう。


「この辺だと旅行といったら魔導帝国か火の国、水の国ぐらいだからね。僕は火の国は行かないし、魔導帝国や水の国は1人で行くもんだよ」


 魔導帝国はあれで水の国はナンパか。


「そういう認識なんですね」

「まあねー。ジェーンは当時、まだ若くてその辺がわからなかったんだよ。ジェーンの友達には悪いけど、ジェーンって優秀な魔法使いなんだ」


 そうだったのか……


「ちょっと辛いですね」

「友達の方が辛かったと思うよ。能力の差で差別され、友人まで失っちゃったんだからね。一緒に旅行に行くくらいの仲だったわけだからなおさらだよ」


 確かに。


「その友人さんはどこに?」

「普通に王都にいるよ。もう結婚もして、お子さんもいる。何回か見た」


 一応、幸せに生きてそうだ。


「それは良かったですね」

「まあね。僕もちょっと気になっていたから良かったよ。妹はそれがショックで落ち込んでたしね。それを癒すために水の国にバカンスに行ったんだけど、そのままナンパしてきた相手と結婚しちゃった」


 そこは何とも言えない。

 自分も田舎の古い人間のせいか、ナンパする人もそれについていく人の気持ちもわからない。

 まあ、異世界だし、水の国はそういう文化の国らしいけど。


「まあ、わかりました。それでですね、魔導帝国に行くんですけど、配達の仕事ってあります? さっき冒険者ギルドで聞いたら魔導帝国には冒険者ギルドがなくて、代わりに魔法ギルドの方が仕事を受け持っているって聞いたんですけど」

「確かにそうだね。配達ねー……今はないかな? 実は向こうからこっちは多いけど、こっちから向こうは少ないんだよ。理由は配達の仕事のほとんどが向こうの魔道具や魔法関係の本の輸送だから。カーティスさんなんかもしょっちゅう頼んでるよ」


 そういうことか。


「じゃあ、帰る時に向こうで依頼を受ける感じですかね?」

「そうだね。君らは真面目だし、評判が良いからじゃんじゃん回してくれると思うよ」

「水の国でも魚の輸送をしましたね。さっきそれで冒険者ギルドに行ってたんですよ」

「それはかなりの信頼があるよ。ギルドカードを出して。そういうことも書いておくから」


 そう言われたのでジュリアさんと共にギルドカードをカウンターに置くと、チェスターさんが2枚のカードを手に取った。


「今さらですけど、このカードも魔導帝国で作られたものです?」

「そうそう。色んな情報を書き込めるし、見ることができるんだ」

「俺にはただの赤いカードにしか見えませんけどね」


 退場させられそう。


「利用者に見られたくないことも書いてあるからね。『こいつは信用できない』なんて書いてあったら腹立つでしょ」


 そりゃそうだ。


「そういうことも書いてます?」

「君らは悪いことは書いてないよ。さっきも言ったけど、真面目だし、仕事もちゃんとしてくれるからね。ドラゴンスレイヤーとか書いてる。あと、ちゃんと奥さん一筋とも書いてある」

「それ、いります?」


 恥ずかしいぞ。


「実はかなり重要。冒険者ギルドの方は別にいらないから書いてないと思うけど、魔法ギルドはねー……ほら、優秀な魔法使いは人気だから」


 あー……浅井さんもそれで俺に目を付けたからこその見合いだったな。

 そして、この世界は奥さんが1人とは限らない。


「奥さん以外無理って書いておいてください」

「何? 下ネタ?」


 そういう意味じゃねーよ。


「自分は一夫一妻と心に決めているんです」


 浮気する気もハーレムだぜーって思うこともないが、ノルン様に浮気厳禁って呪いをかけられているしな。


「わかったよ。じゃあ、ちょっと強めに書いておくね」

「あ、それと推薦状とかもらえます? ジェーンさんが書いてもらえって」

「推薦状? いらない、いらない。その代わりがギルドカードなんだから。そういうのが欲しければそれこそカーティスさんに頼みなよ。あの人って貴族のお偉いさんだし、魔導帝国の学会でいくつもの研究を発表しているすごい人だから」


 カーティスさん、すごいなー。


「これからカーティスさんのところに行くんで聞いてみます」

「いいんじゃない? まあ、何にせよ、気を付けてね。それと手紙をありがとうね」


 チェスターさんがそう言って、ギルドカードを返してくれる。


「いえ。じゃあ、カーティスさんのところに行ってきます」

「いってらっしゃい」


 俺達はギルドカードを受け取ると、ギルドをあとにした。


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浅井も岩見もそういう意味でブイブイ言わせてた当主もいたんだろうか…いや、そういうのが居たうえで今魔法使いの血が細ってるとか怖い話になりそうだな。
左遷を機に辺境でハーレムを築いている奴のお耳に入れてやりましょうぜ(根拠はいっぱいあるが風評被害)
ちょっと強めに書いてサブタイかw
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