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第139話 魚屋さんも良いね


 家に帰ると、サクヤ様とタマヒメ様と共に火の国の方の別荘に飛んだ。

 そして、マグマ亭でぐつぐつを食べ、お風呂に入ると、リビングのソファーでゆっくり過ごしていく。


「今日はどうじゃった?」


 好きなハイボールを飲んでいるサクヤ様が確認してくる。


「部屋を見に行ったんですけど、サクヤ様とタマヒメ様が見に行ってくださった1LDKのアパートに決めました。8月から入居できますが、準備もありますので8月下旬から住もうと思ってます。籍を入れるのもその辺りです」

「そうか。良い部屋が見つかって良かったのう」

「ええ。今のあの部屋よりはずっと住みやすいと思います。タマヒメ様もぜひ遊びに来てください」


 ノルン様は勝手に来るが、タマヒメ様はこう言わないと来ない。


「そう? じゃあ、たまに顔を出すわ」


 たまに……まあ、いいけど。


「ええ。それでこれから片付けや掃除なんかをしつつ、計画を練っていきますので引っ越しの際はお願いします」

「わかった」

「それくらいはやりましょう。まあ、サクヤがあんたの荷物で私がジュリアの荷物を担当するのが妥当ね」


 それが良いだろうな。


「ありがとうございます」

「お願いします」


 俺とジュリアさんが頭を下げる。


「よい。それで明日は水の国のギルドか?」

「はい。配達の依頼とジェーンさんから手紙をもらいます。その後は海の日なんで海で遊ぼうかなと」


 海の日は明後日だけど。


「ええの。浮き輪でサーフィンをやるから波を起こしてくれ」

「神のバランス能力を見せてあげるわ」


 夏をエンジョイしている神様達だわ。


「わかりました。タイダルウェーブを見せてあげますよ」

「楽しみじゃの」


 俺達はその後もまったりと過ごし、就寝した。

 そして翌日、準備をし、北の大通りにあるギルドに向かう。

 なお、タマヒメ様はお留守番だ。


「どっちから行きます?」


 ジュリアさんが聞いてくる。


「最初はキャプテンのところかな」

「海賊さんですね」


 俺達は右にある冒険者ギルドに入った。

 来たのは2度目だが、数人の冒険者がおり、話をしている。

 そして、今日も3つの受付の中で空いているのは海賊みたいに眼帯をしている髭面の男性のところだけだ。

 もちろん、ムック船長である。

 この人の説明をしたからタマヒメ様はビビって来てないのだ。


「こんにちはー」

「おう! 元気そうだな!」


 相変わらず、顔は怖いが、明るくて気持ちのいい人だ。


「この国を満喫してました」

「みたいだな。ぜーんぜん、仕事に来ねーし」


 うん。

 この国ではまったく仕事をしていない。

 遊び惚けてた。


「楽しい国ですよ」

「まあ、そういうところだからな。そういや、なんか巫女様とリヴァイアサンに乗ったんだって?」

「なんで知ってるんです?」

「巫女様が自慢げに飲み屋で言いふらしているぞ」


 あー、それで売っていくって言ってたしな。


「まあ、色々あって乗りましたね」

「すげーな。あれに乗るっていう意味すらわからんわ」


 それは俺もわからない。


「ちょっとした事故だったんですよ。それでですね、一度、フロック王国の王都に戻ろうと思っているんですよ」

「もう帰るのか? 夏はこれからだぜ?」

「一回帰るだけでまた来ますよ」


 こう言っておかないとね。


「ふーん。なるほどな。ということは配達の仕事をしたいわけだ。山登りは嫌か?」

「そういうわけじゃないんですけどね。海の方が楽しいんですよ」

「まあ、山のシーズンは秋だからな。もうちょい先だ」


 紅葉とか見られるのかな?

 秋になったら行ってみるか。


「その時にします。そういうわけで王都に運ぶものってないです?」

「前にも言ったが、魚だな」


 マジックアイテムに入れて持っていくやつか。


「10日以内ですっけ?」

「そうだ。やる気と責任があるなら回してやる」

「あります。来週には持っていきましょう」


 今日中でもできるけどね。


「そうか。じゃあ、回してやる。でも、用意がいるから出発は明日になる」


 この場に魚があるわけないしね。


「ええ。明日の朝ですかね?」

「そうなる。朝獲った魚を処理して冷凍する。その後、特殊な加工がしてある魔法のカバンに入れ、渡す」

「わかりました。ギルドに取りに来ればいいです?」

「お前らが泊まっている宿でもいいぞ。持っていってやる」


 そっちが楽で良いな。


「えーっと、海辺にあるコテージですね。教会から借りました」

「あー、あそこか。すげーVIPだな。さすがはドラゴンスレイヤー」


 やっぱり知っているらしい。

 まあ、元船乗りさんだし、プライベートビーチがあるコテージならわかるか。


「巫女様と一緒にリヴァイアサンに乗ったんでドラゴンライダーです」

「そっちの方がすげーな。まあ、わかった。明日の午前中にでも持っていくように手配する。期日は10日だが、来週に持っていくんだな?」

「ええ。来週には王都に戻ります」

「よし、依頼料は10日で金貨10枚だ。だが、1日早いごとに金貨2枚をボーナスとして支払おう」


 7日だから金貨16枚か。

 良いね。


「それでお願いします」

「わかった。じゃあ、ギルドカードを出してくれ」


 そう言われたので財布から冒険者ギルドのギルドカードを取り出し、カウンターに置く。


「ちょっと待ってろ」


 キャプテンはカードを持って、奥に行った。


「今日届ければ金貨30枚にならんか?」


 サクヤ様がニヤニヤしながら提案してくる。


「そこまでしなくていいでしょ。儲けたいなら釣り名人の御二人に釣ってもらって、王都で売った方が儲かると思いますよ」

「魚屋じゃな」

「ウチは岩見家ですよ」


 一応、魔法使いの名家だ。

 ジュリアさんが嫁いできてくれるし、そう名乗ろう。


「まあの」


 俺とサクヤ様が話をしていると、キャプテンが戻ってくる。


「ほらよ。じゃあ、頼むぞ」


 キャプテンがギルドカードを返してくれた。


「ええ。また秋くらいに来ます。それまでは海で遊んでますね」

「VIPは良いねー」


 俺達は用件が済んだのでギルドを出た。


お読み頂き、ありがとうございます。

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たまに(日をおかず)ですねわかります
ずっと独りだった岩見家の人間が増えて嬉しいんやなぁ
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