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第135話 新居は?


 浅井さんとその場で別れると、車に乗り込み、家に戻る。

 家にはジュリアさんとタマヒメ様はいなかったが、サクヤ様といつものようにこちらに背を向けてゲームをするノルン様がいた。


「おっ! 帰ったか。どうじゃった?」


 サクヤ様が聞いてくる。


「堂々と言ってやりましたよ」

「ええの。それでこそ当主じゃ」


 ここは絶対に下手に出てはいけないところだ。

 俺が恐れているのは子供を奪われること。


「これからジュリアさんと色々と話し合っていきますが、サクヤ様の方は何かありますか?」

「我は特にない。おぬしらが決めよ」

「私もテレビとゲームがあればいいですよ」


 ノルン様、ゲームばっかりだな。


「では、2人で話し合います。それとそろそろ別のところにも行ってみようと思いまして、魔導帝国はどうだろうかって話しています」

「いいんじゃないか? そういう息抜きも大事じゃ。まあ、何にせよ、一度、王都に戻るべきじゃな。倉庫のことやバカでかい魔石のことがある」


 となると、水の国のギルドにも行かないとな。


「そうしましょう」


 その後、掃除や洗濯をし、日曜日を終えた。

 翌日からは仕事の日々だが、毎日のようにジュリアさんがウチに来てくれたので今後のことを話し合う。


「結構、あるねー」


 俺達はスマホを見せ合いながら一緒に住む新居を探していた。


「そうですね。私も1人暮らしを始める時に探しましたが、1人暮らし用じゃない部屋もかなりの数があります」


 今思ったらジュリアさんは1人暮らしを始めて、半年足らずで部屋を出るのか。


「決め手になるのは家賃、広さ、お互いの職場からの距離って感じかな?」

「そんな感じでしょうね。広さってどうします?」

「前にサクヤ様が言ってたように異世界の別荘もあるんだよね」


 最悪は一部屋あればいいって良い話。


「確かにそうですよね……現実的に考えて2DKや1LDKってところですかね?」

「そうなると、この辺か……安いね」


 5万円くらいだ。

 高くて良いところでも7万円くらい。

 なお、ウチのアパートは3万5千円。

 東京にいた時は考えられない値段だが、これが地方である。


「ええ。ウチのアパートにちょっとプラスするだけです」


 これがジュリアさんが言っていた金銭的な意味で早めに一緒に住んだ方が良いってやつだ。

 家賃や光熱費がかなり浮く。


「距離的な話は?」

「まあ、正直、車ですからね」


 どうとでもなるんだよなー。


「あ、駐車場が2台いるね」

「確かにそうですね。その辺を踏まえると……この辺りですかね?」


 ジュリアさんが絞り込み検索した結果を見せてくる。

 50件くらいあった。


「多いね……」

「もうちょっとわがままを言って、会社の近くにしてみますね……」

「ジュリアさんは希望とかないの?」


 こういうのは嫁の方に合わせよ。

 1000年以上もウチの先祖の夫婦を見てきたサクヤ様のありがたいお言葉だ。


「あー、キッチンが広いと良いですね」

「じゃあ、その辺も考慮してみてよ」

「わかりました。ちょっと見てみますね」


 ジュリアさんは部屋の内装や間取りを1件、1件見ていった。


「サクヤ様、タマヒメ様、引っ越しを手伝ってもらえませんか?」


 仲良くアニメを見ている2人にお願いする。


「いいぞ。転移で運べばラクチンじゃ」

「さすがにそこまでは組合もわからないでしょうしね」


 これで引っ越し代と手間が浮くな。

 俺も経験しているけど、引っ越しってマジで大変だもん。


「助かります」

「ありがとうございます」


 ジュリアさんも礼を言う。


「どんな感じ?」

「いくつか絞ってみました。まずはここです」


 ジュリアさんのスマホを覗き込んだ。


「1LDKで5万2千円か」


 値段的にはまあまあ。


「良いところは会社に近いところです。どっちも10分くらいだと思います」


 今よりちょっと近いな。


「悪くないね」

「ええ。次はこれですかね?」

「2DKで4万4千円……安くない?」

「ちょっと古いからですね。でも、広さは一番です」


 へー……

 まあ、それも魅力か。


「距離的にも悪くないね」

「ええ。しかも、徒歩圏内にスーパーがあります」


 そういうメリットもあるわけか。


「それは助かるね」

「ええ。最後がこれです。2LDKで6万8千円ですね」


 最後に聞くと高く感じるな。

 冷静に考えればそんなもんだなって思えるけど。


「新築だね」

「ええ。そういう面もリストアップしてみました」

「方向性的にはこの3つかな?」

「ですね。あと、やはりこの時期は埋まっている時期でしょう」


 シーズンは転勤や卒業なんかの年度末だからな。

 とはいえ、半年も待つつもりはない。


「どうしようかねー?」


 正直、この3つなら最初の1LDKかなって思う。

 というか、多分……


「ハルトさんはどう思います?」

「最初かな……値段も抑えられているし、そこまで古くない。あと対面式のキッチンが良いね。憧れる」

「ですよね。私もそう思います」


 そんな気はした。

 というか、この3つならそうなる。


「一度、内見に行こうか。実際に見ないとわからないこともあるし」

「確かにそうですね。いつ行きます?」

「今週末って3連休だよね?」

「ええ。月曜が海の日ですね。久しぶりの祝日です」


 ゴールデンウィークから長かったなー……

 まあ、俺はちょくちょく有休を使ってたけど。


「土曜に行こうよ。それで夜はあっちに泊まろう」

「わかりました。では、予約しておきます」


 ジュリアさんがスマホでweb予約をする。


「ありがとう」

「いえいえ。それでハルトさんは籍を入れたいと言っていましたが、具体的にいつにします? 日曜の夜に実家に帰って、両親と兄には話をしましたので私もすぐにでも構いません」


 あれからすぐに実家に行ったのか……

 あー、だからいつもゲームをしに来るのに日曜の夜はウチに来なかったんだ。



お読み頂き、ありがとうございます。

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あんまり安い所でもそれはそれで舐められそうな
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