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第013話 ご飯のために稼がないと


「チェスターさん、手伝いっていうのは?」

「魔法の研究の手伝いだね。詳しくは行ってみて、話を聞いてよ。別に断ってもいいし。依頼料は歩合だけど、最低金貨5枚は保証するってさ」


 そこそこな額な気がする。


「サクヤ様、どうします? 俺としてはちょっと気になるんですけど……」


 異世界の魔法をまだ見てないのだ。


「構わんぞ。おぬしの好きにせい」


 サクヤ様が快く頷いてくれた。


「チェスターさん、ちょっと行ってみようと思います。カーティスさんの家に行けばいいんです?」

「いや、お屋敷とは別に研究室があるんだよ。ちょっと待ってね。地図を描いてあげるよ」


 チェスターさんが紙に大雑把な地図を描いていく。


「金貨5枚あれば食べ物に困りそうにないですね」

「うむ。チェスターとやら、おぬしのおすすめの飯屋はどこじゃ?」


 サクヤ様が地図を描いているチェスターさんに聞く。


「んー……個人的には繁華街にある青船亭ですかね? 魚介の煮込み料理が中心だけど、美味しいですよ?」


 また煮込み料理だが、今度は魚介か。


「それも地図に描いておけ」

「かしこまりました」


 その後もチェスターさんが地図を描いていくと、すぐに簡単な地図ができあがった。


「はい、これ。ギルドからの紹介って言えばいいからね」

「わかりました。では、行ってきます」


 俺達はギルドを出ると、地図を見ながら住居区の方に歩いていく。


「この世界の貴族ってそこまで偉くないんですかね?」

「どうじゃろ? チェスターも様付けではなかったしのう」


 俺もそれが気になった。

 魔法使い仲間だからそうなのか、カーティスさんの人柄なのか……


「危なくなったら転移をお願いしますよ?」

「わかっておる。まあ、無礼があっても我は広い心を持っておるから許してやる」


 俺は許さんがな。

 とはいえ、ここってノルン様の世界だからあまり無茶はできない。


 俺達が話しながら歩いていると、住宅街にやってきた。

 ギルドや飯屋があるところとは違い、閑静な住宅街と言った感じだが、子供達が遊んでおり、微笑ましくなる。


「どの辺りですかね?」

「えーっと……あの青い屋根っぽいな」


 地図を見ていたサクヤ様が前方の家を指差す。

 家は周りの家と同じような大きさであり、貴族様の家とは思えない。

 まあ、研究室らしいから別邸なんだろう。


「どんな人ですかねー?」

「さあな」


 俺達はさらに歩いていき、家の前までやってくると、扉をノックする。


「すみませーん。魔法ギルドから依頼の件で来たんですけどー」


 そう声をかけると、扉越しにバタバタと音が聞こえてきた。

 そして、扉が開く。

 すると、中から立派な服を着たちょび髭のおじさんが出てきた。


「うむ。よく来てくれた。私はカーティスである。ギルドから何を聞いたが知らんが、普通に接して構わんぞ」


 ちょっと偉そうだけど、普通の人っぽい。


「魔法ギルドに所属しているハルトと言います。ギルドに仕事を紹介されました」

「だろうな。見た限り、素晴らしい魔力を持っておる」


 わかるのか?

 魔力は隠しているんだが……


「ありがとうございます」

「うむ。立ち話は何だし、入りたまえ」


 カーティスさんにそう言われたので家に入る。

 家の中は一部屋しかなく、かなり広い。

 そんな中、本が隙間なく収納された本棚や見たことがない器材がたくさんおいてあった。


「まあ、座りたまえ」


 俺達はカーティスさんに勧められたので部屋の中央にあるテーブルにつく。


「広い部屋ですね」

「研究室だからね。部屋の移動が面倒だし、こういう一部屋で広い家を作ったんだ。何か飲むかね? メイドがいないから下手くそな私が淹れることになるが……」


 メイドさんがいるんだ。

 さすがは貴族。


「大丈夫ですよ。それよりも仕事の話を聞きたいです」

「そうかね? 実はとある研究をしておって、その手伝いを頼みたいわけだ」

「どんな研究です?」

「実は陛下から頼まれた研究でな、魔法を使えない者でも使えるようになる研究だ」


 何それ?


「魔法使いじゃない者が魔法ですか? 魔力がないと厳しいのでは?」

「それはもちろんだ。だから私は魔道具を作ることにした」


 魔道具……

 RPGでもよくある魔法使いじゃなくても道具として使うだけで魔法を放てるあれかな?


「できるんです?」

「理論上はな。その実験のための材料作りを手伝ってほしいんだよ。具体的にはこの特殊な加工をしてある魔石に魔法を込めてほしいんだ」


 カーティスさんにはそう言って、大量の石が入った木箱をテーブルに持ってくる。


「この石ですかね?」


 1つの石を手に取る。


「うむ。魔法としては何でもいい。火魔法でも水魔法でもよい」

「単純で威力の低い魔法がいいです?」

「君はわかっているな。それで頼む」


 それくらいなら余裕だな。


「わかりました。やりましょう」

「頼む。私はやりすぎて魔力が尽きてしまったのだ」


 なるほどね。


「歩合って聞きましたけど、数をこなせばボーナスです?」

「そうなるな」


 見た感じ、30個くらいある。

 余裕だな。


「わかりました。早速やっていきます」


 1つの魔石を手に取ると、火魔法を込めていく。


「うむ。わからないことがあれば聞くがよい。私は報告書をまとめておく」


 カーティスさんは前方にあるデスクにつき、書き物を始めた。


お読み頂き、ありがとうございます。

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>俺は許さんがな。 サクヤ様への不敬絶対許さんマンじゃん
またオレ何かやっちゃいました?
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