表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/186

第125話 魚、魚、魚


 今後の相談を終えると、ディーネさんとサラさんは砂浜の方に行き、海を眺めながら歩き出す。

 俺とサクヤ様がそれを眺めていると、ジュリアさんとタマヒメ様が料理を持って、転移してきた。


「お待たせしました」

「めっちゃ美味しそうでしょ」


 ジュリアさんとタマヒメ様がテーブルに料理を並べていく。

 料理は刺身、煮付け、唐揚げに加えて、焼く用の魚だ。


「そうですね。さすがはジュリアさん」

「ありがとうございます……ディーネさーん、サラさーん!」


 ジュリアさんが2人を呼ぶと、こちらに気付き、小走りで戻ってきた。


「おっ! できたかー? 美味そうだなー」

「ジュリアさん、今日はありがとうございます」


 2人が笑顔で席につく。


「いえいえ。どうぞ、いっぱい食べてください。余るくらいにあるので」


 ホントにね。


「悪いなー。刺身食べよ」

「私も。せっかくこっちに来たんですから新鮮なお刺身です」


 ディーネさんとサラさんは刺身を取り、醬油を付けて、食べる。


「うん、うん……変わった調味料だけど、これはこれで美味いな」

「そうですね。美味しいです」


 醤油は異世界でも通じるらしい。

 まあ、似たようなものがあったしな。


「我も食べるかの」

「私が釣ったやつかな?」

「我じゃい」


 どっちもでいいじゃん。


「きっと御二人が釣ったやつですよ。食べましょう」


 2人を諫めると、俺達も刺身を食べてみる。

 前に高級店で食べた刺身も美味かったが、こちらも美味しい。

 慣れ親しんだ醤油が絶妙に合うのだ。


「美味いの」

「うん、コリコリしてて美味しい」


 2人も満足そうだ。


「ねえねえ、この揚げ物は何を付けるんだ?」


 ディーネさんが唐揚げを取って、ジュリアさんに聞く。


「それは味が付いていますからそのまま食べられますよ」


 唐揚げ粉で揚げたのだろう。


「へー……ほー……うん、美味い」

「本当ですね……美味しいです」


 俺も唐揚げを食べてみたのだが、非常に美味しい。


「じゃんじゃん食べてくださいね。あ、ハルトさん、火をお願いします。焼きましょう」

「わかった」


 ジュリアさんに言われた通り、用意していた木炭に魔法で火を点けた。

 そして、網に魚を乗せ、じっくり焼いていく。


「本当にお魚パーティーじゃの」

「煮付けも美味しいわよ」

「我が……いや、それはタマちゃんか」

「そう!」


 一番大きい魚は煮付けになりました。


「こんなに魚を食べるのは火の国では難しいのでありがたいですね」


 そう言うサラさんはどんどんと魚を食べていく。


「ぜひ、たくさん食べてください。ついでに持って帰ってください」


 そうそう。


「あの……そんなにあるんですか?」


 サラさんが大量にある刺身や唐揚げを見ながら聞いてきた。


「我が釣りが上手いのが悪いんじゃな」

「自分の才能が怖いわ」


 サクヤ様とタマヒメ様がドヤ顔になる。


「へー、すごいんですね」

「そういうわけで持って帰ってください。このままだと、捨てるしかないんです」


 ジュリアさんがしみじみと言う。


「いや、ぜひそうさせてもらいます。私は氷魔法を使えるのでいくらでも冷凍保存できます」


 サラさんは本当に良い人だなー。


「火の巫女なのに氷魔法ですか?」


 俺もちょっと思った。


「いや、そこはあまり関係ないです。こちらのディーネさんも火魔法を使えます」

「まあな。というか、巫女って別に属性魔法は関係ないぞ。単純に一番魔力が高い奴がなるだけだし」


 そうなんだ……


 俺達はその後も魚を食べていき、自分でもかなりの量を食べたと思っているのだが、刺身と唐揚げはまだ余裕で余っている。

 煮付けと焼き魚は食べたのだが……


「どうする?」


 余った刺身と唐揚げを見ながらジュリアさんに聞く。


「刺身は汁にでもしましょう。唐揚げは南蛮漬けですね」


 なるほど。

 確かにそれなら持つ。


「まだ魚はあるんだよね?」

「ええ。サラさんに持って帰ってもらいましょう」


 俺達はチラッとサラさんを見た。


「いただきます。知り合いの店で調理してもらいますよ」


 マグマかな?


「お願いします。タマヒメ様、取りに戻るので一回家まで送ってもらえますか?」

「わかった」


 ジュリアさんがタマヒメ様と共に転移で消える。


「じゃあ、私は帰ろうかな。今日はありがとうなー」


 ディーネさんがそう言って立ち上がった。


「いえいえ。こちらこそ色々と教えていただきありがとうございました」

「いいの。いいの。大事な仕事だから。サラもまたなー」


 ディーネさんはサラさんに手を振る。


「はい。ディーネさんもウチの国にいらしてくださいよ」


 それは良いな。

 今度は逆にディーネさんを火の国に連れていってあげようか。


「そうだなー……温泉に入るわー」

「マグマは?」

「めっちゃむせるから嫌」


 辛いのが苦手だったな。


「辛くないぐつぐつを頼みましょう」

「そうしてくれー」


 辛くないやつってあそこにあるのかな?

 ぐつぐつ以外にもメニューはあったが、全部、マグマが頭についてたような……


「あ、ディーネさん、夜にジュリアさんと水中神殿に行こうと思っているんですけど、大丈夫ですかね?」


 一応、ディーネさんに確認しておく。


「良いと思うぞー。もう顔パスだと思うから勝手に管理用通路で降りてくれ」

「ありがとうございます」

「仲良くなー。じゃあ、また」


 ディーネさんはそう言って、帰っていった。

 すると、ジュリアさんとタマヒメ様が戻ってくる。


「お待たせしました。あれ? ディーネさんは?」


 ジュリアさんが空いた席を見ながら聞いてくる。


「先に帰ったよ」

「そうですか……あ、サラさん、これが魚です」


 ジュリアさんがスーパーの白い袋をサラさんに渡した。


「おー……本当にいっぱい釣ったんですね。すごいです」


 サラさんが袋の中身を見ながら驚きの声を上げる。


「じゃろう?」

「漁の神を名乗ろうかしら?」


 浅井が漁師になっちゃうじゃん。


「素晴らしいですね。では、私もそろそろお暇しようと思います」

「うむ。我が送ってやろう」

「ありがとうございます。それでは皆様、今日は本当にありがとうございました。美味しい夕食をご馳走してもらっただけでなく、久しぶりにここでディーネさんと会えて嬉しかったです」


 サラさんが深々と頭を下げる。


「うん、またね。今度はディーネさんを火の国に連れていくよ」

「はい。では、おやすみなさい」


 サラさんは笑顔でそう言い、サクヤ様と共に消えていった。


「片付けしよっか」

「そうしましょう」


 俺達は片付けをすることにし、楽しいお魚パーティーが終わった。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~
週末のんびり異世界冒険譚 2 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua

【次にくるライトノベル大賞2025 エントリー】
https://x.gd/OSPb9
― 新着の感想 ―
ハルト達がこの世界に来て1番喜んでるのはディーネに違いない
タマちゃんのフィギュアヘッドを据えた船で大漁旗を立てるジュリアさん…
魚を食べると~♪ いよいよプロポーズかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ