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第124話 巫女様集合


 俺達はディーネさんに魚の種類や調理法を聞きながら釣りをしていく。


「ハルトさん、ちょっと多くないですかね?」


 ジュリアさんとクーラーボックスを覗いているが、魚が想像以上に釣れたため、かなり多い。


「うん……ウチの冷蔵庫、一人暮らし用だから狭いよ?」


 しかも、すでにアイスやら冷凍したご飯やらが入っている。


「ウチもそんなに入りませんね……」


 ジュリアさんの家にある冷蔵庫はウチよりも大きい。

 でも、サイズ的にはそこまでだし、どう考えてもこの量の魚は入らない。


「今日さ、お魚パーティーをしない?」

「そうですね。お客様を招きましょうか」


 俺とジュリアさんは同時にディーネさんを見る。


「何、何ー? 晩御飯をご馳走してくれるのかー?」

「前にも言いましたけど、ウチも島国で魚料理が豊富なんですよ」

「食べましょうよ。ウチの国にも色んな調理方法や調味料があるんですよ」


 醤油ね。


「おー、そっかー! じゃあ、御馳走になろうかなー」


 ディーネさんは乗り気だ。


「サクヤ様、タマヒメ様、いいですよね?」

「いいぞー」


 サクヤ様が頷く。


「どうせならサラも呼んであげたら? 転移ですぐでしょ」

「ふむ。なら我が呼んでやろうかの」


 サラさんも連れてくるらしい。

 まあ、巫女様達は俺らが異世界人なことも転移を使っていることも知っているしな。


「お願いします。ディーネさん、サラさんも呼ぶことになりました」

「おー! 久しぶりだなー!」

「いっぱい食べてください」


 余ったら持って帰ってもらおう。


「ハルトさん、そういうことですのでそろそろ準備をしようと思います」

「それもそうだね。サクヤ様、タマヒメ様、そろそろお開きにしましょう。これ以上釣られても困ります」


 楽しいのはわかるが釣りすぎ。


「それもそうじゃの。この辺にしておくか」

「私の勝ちね」


 結局、一番大きかったのはタマヒメ様の28センチだったのだ。


「数は我が釣ったのう」

「大きさって言ったのはあんたじゃん!」


 すーぐ争うな。

 仲良し姉妹め。


「まあまあ。御自分で釣った魚は美味しいですから帰りますよ」

「そうするかの」

「楽しみねー」


 俺達は片付けをし、クーラーボックスを持って、別荘まで戻る。


「ディーネさん、これから準備をしますのでまた夕方にでも来てください」

「わかったー」


 ディーネさんが帰っていったので俺達も転移で家に戻ると、ジュリアさんとそれぞれの家で手分けして準備をすることにした。

 お互いのキッチンは1人用なので俺が内臓や鱗を取る作業をし、それをタマヒメ様がジュリアさんの部屋に持っていって調理をしてくれる。

 その間にサクヤ様がサラさんを誘いに火の国に行っていた。


「ノルン様も来ますー?」


 ゲームをしているノルン様に声をかける。


「やめておきましょう。私が行くと、巫女達は楽しめません」


 あー、そうかも。

 ノルン様はウチらの神様と違って気軽に出てこないし。

 多分、2人がガチガチになりそう。


「じゃあ、また送りますよ」

「お願いします」


 俺はその後も慣れない魚に苦労しながらも下処理をしていった。


「これが最後です」


 タマヒメ様に最後の魚を渡す。


「りょーかい。これをジュリアのところに送ったらあんたをあっちの別荘に送るからバーベキューの準備をして待ってなさい。焼き魚はやっぱり炭で焼きたてだってさ」


 確かに。


「わかりました。お願いします」


 頷くと、タマヒメ様が消えたのだが、すぐに戻ってきて、水の国の別荘まで送ってくれる。

 すると、ソファーに腰かけるサクヤ様と共にサラさんもいた。


「サラさん、こんにちは」

「こんにちは、ハルトさん。お招きいただき、大変嬉しく思います」


 サラさんが丁寧に頭を下げる。


「いえいえ。魚を釣りすぎちゃったんですよ。外で魚も焼きますから準備しますのでちょっと待ってくださいね」

「手伝いましょう」

「すみません」


 俺とサラさんは倉庫に行き、バーベキューセットをテラスに持っていくと、設置していった。

 そして、準備を終えると、外の風を感じながら海を見る。


「良いですねー、ウチにはない景色です」


 山だもんね。


「火の国は火の国で良いですけどね。お風呂から見る夕焼けは絶景です」

「ありがとうございます」

「――おー! サラじゃん!」


 声がしたと思ったらディーネさんがやってきた。


「ご無沙汰しております。ディーネさんは相変わらず、楽しそうですね」

「いやー、勉強がめんどいわー。うぜー、うぜー」


 ディーネさんはテラスにやってくると、サラさんの隣に座る。


「勉強は大事ですよ」

「出たー。真面目ちゃん」

「皆、そうですよ」


 2人は仲が良いようで楽しそうに話を続けていく。


「それにしてもこんなに簡単に水の国に来られるのは良いですね。ハルトさん、次はどこに行くんですか? 旅をしているんですよね?」


 サラさんが聞いてくる。


「そこを悩み中なんですよね。巫女様がおられる土の国や風の国にも行きたいと思っているんですけど、遠いんでしょ?」


 カーティスさんからそう聞いている。


「ちょっと遠いですね……」

「普通に遠いな」


 やっぱり遠いのか。


「どちらかを目指しながら地道に国を回っていきますかねー? 世界中を回ろうと思っていますし」

「良いと思います。でも、まずは魔導帝国じゃないですかね?」

「私もそう思う。フロック王国を拠点にしているんだろ? だったら魔導帝国には一度行った方が良いと思う。あそこは魔法使いじゃないと嫌な目に遭うけど、ハルトさんもジュリアさんも魔法使いだから問題ないと思う」


 魔導帝国か。

 魔法ギルドのチェスターさんも勧めていたところだ。


「御二方は行ったことがあるんですか?」

「定期的に行ってますよ。ウチのトロッコや結界は魔導帝国産なのですが、無償提供してくださっているのです。だからお礼を兼ねて訪ねてます」

「ウチもだな。湖の神殿や魔力で動く船のメンテナンスなんかをしてくれるんだ」


 魔導帝国って本当にすごいんだな。


「サクヤ様、どう思います?」


 すでにビールを飲んでいるサクヤ様に聞く。


「これまでとは毛色が違うように思えるの。それもまた楽しみではないか? 便利なマジックアイテムとやらが売っておるかもしれんし、おぬしは絶対に優遇されると思うぞ」

「絶対にされると思いますね。あそこは魔力ですべてが決まりますから」

「ジュリアさんもすごいと思うけど、ハルトさんは群を抜いているからなー。一度は行っても良いと思うぞ。歴史が好きなら魔導帝国の図書館とかすごいし」


 ほうほう。

 ちょっとジュリアさんと相談してみるか。


お読み頂き、ありがとうございます。

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