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第120話 ヌルゲー


 健診も終わり、組合を出ると、近くにあるショッピングモールに向かう。

 日曜日の昼過ぎということもあって、人が多かったが、なんとか水着と浮き輪を購入すると家に帰った。


「おや? あなた一人ですか?」


 家にはサクヤ様はおらず、ノルン様が1人でゲームをしていた。


「ええ。別々で買い物なんですよ。サクヤ様はまだ戻っていませんよね?」

「そうですね。タマちゃんとジュリアと買い物に行きました。てっきり一緒だと思ったんですけど、違うのですか……」

「来週、海で遊ぶんですよ。それで水着を買いに行ったんです。男子と女子は別れました」


 男子は俺しかおらんが。


「なるほど。そういうことですか」

「ノルン様もどうです?」

「よくありませんねー。あなたはジュリアだけを見なさい」

「そういう意味で言ったんじゃないですけど……」


 ノルン様、スタイルも良いし、水着姿もすごそうだけど、人間味がないから芸術にしか見えないと思うんだよな。

 多分、拝むもん。

 それに比べて、ウチの神様達の庶民感よ。

 まあ、可愛いだけだからなんだけど。


「どちらにせよ、私はやることがあります。メテ〇を止めるのです」


 もうそこまでいったか。


「死にました?」

「死にました」


 そっかー。


「世界を救ってください」

「そうします……まあ、せっかくなのであなた達も夏を楽しむことです。あ、昨日の焼きおにぎりは美味しかったです」


 ホントねー。


「ジュリアさんに伝えておきます……ノルン様、あのリヴァイアサンのことなんですけど……」


 気になっていたことを聞くことにした。


「リヴァイアサン……ああ、あの海竜ですか」

「本当にノルン様が遣わした竜神です?」

「ふむ……そう伝わっているのですね」


 ……と言うことは違うのか?


「あれ、何です? 害はなさそうでしたけど」

「確かに害はないでしょうね。あれは神でもなければ私の眷属でもありません。分類で言えば体内に魔石を持つ魔物です」


 え?


「魔物? ってことはただのドラゴンですか?」

「まあ、そうですね。竜種というのは様々な種がいますが、その数は多く、さらには個によって、まったく違う習性なのです」

「へー……」

「サクヤに渡したマニュアルに書いてあるんですけどね」


 いやー、最近はまったく見てません。

 巫女様が教えてくれるんだもん。


「それであのリヴァイアサンは?」

「海を優雅に泳いでいるだけの無害の竜ですね。非常に賢い種ですし、温厚ですので人に危害を加えるようなものではありません」

「そうなんですか?」

「魔物に限った話ではないですが、野生の動物が人を襲う主な原因は食べるためか身の危険を感じたからの2つです。リヴァイアサンにとっては人間なんて不味いだけでしょうし、強い種なので人間を脅威に感じていません。だから襲うことなんてないのです」


 なるほど。

 すごく納得できる。

 要は神レベルのとんでもない上位種なんだな。


「なんかリヴァイアサンが来てから津波が来ないって聞きましたけど」

「それは自分の巣を荒らされたくないからでしょうね。津波くらいなら魔法を使って相殺することも可能でしょう」


 すげーな。


「じゃあ、あながち守護神っていうのも間違っていないわけですね」

「あそこに住む人々からしたらそうでしょうね。津波だけでなく、とんでもない魔物が襲ってきても自分の巣を守るために撃退してくれるでしょう」


 人は襲わないけど、津波や魔物なんかの脅威からは救ってくれる。

 しかも、観光名所にもなってくれ、サービスまでしてくれる。

 良い奴すぎんか?


「すごいですね。ノルン様が遣わした神ってことでいいんじゃないです?」

「違いますけどね。でも、否定するほどのことでもないでしょう。住民がそれで納得し、幸せに生きているのなら私はそれで構いません」


 なんて立派な女神様だろう! 素敵だ!

 若干、良いとこどりをしているような気もするが……


「帰ったぞー」

「ただいまー」

「ただいま帰りました」


 ノルン様と話をしていると、3人が帰ってきた。


「おかえりー。買えた?」

「はい。ハルトさんはどうです?」

「買えた、買えた。ショッピングモールに行ったけど、人が多かったね」

「あ、私達もそこに行きましたね。確かに多かったです」


 一緒のところに行っていたのか。

 まあ、あそこくらいだしな。


「ノルンと何を話していたんじゃ?」


 サクヤ様が聞いてくる。


「リヴァイアサンのことですよ。あれって、魔物らしいです」

「そうなのか?」

「ええ。実は……」


 俺はお茶を用意しながら先程聞いた話を3人にも伝えた。


「ほーん……」

「良い竜じゃないの」

「ビビっておったくせに」

「うるさいわねー」


 今日も仲良し姉妹だ。


「神ということではないけど、結果的に守っているってことですよね? じゃあ、良いんじゃないでしょうか」


 ジュリアさんが頷く。


「そうだね。でもさ、なんか漫画やアニメだと洗脳とかされて町を襲いそうじゃない?」

「あー……確かにそのパターンですね……いや、良くないですよ」


 まあね。

 ちょっと不謹慎。


「安心なさい。その時は天誅の雷を落としましょう。というか、あんな海竜を洗脳できる者なんていませんし、それをしようとする者もいません。ウチは平和な世界なんです。サクヤがそういう世界を選んだのですよ」


 そういやそうだな。

 いまだに魔王も悪の組織も出てこないんだもん。

 まあ、出てきても勇者のるん(lv99)がフルボッコにしそうだけど。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
勇者のるん・・・ジワル~
実は猫さんご指摘の後からサブタイでジワるとこ、ほんと見事ですね
勇者のるんって、ノルン様は本名プレイ派なのか…
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