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第012話 違うと思うんだけどなー


 昼食に大満足した俺達は店を出ると、王都を巡っていく。


「広いですね。迷子になりそうです」


 ここ、どこよ。


「地図が欲しいのう……」

「ノルン様に頼んでくださいよ……あれ?」


 サクヤ様と話をしながら歩いていると、前方の地面に紙が現れる。

 何だろうと思って、拾ってみると、可愛い丸文字で【フロック王国王都の歩き方】と書いてある王都全域の地図だった。


「多分じゃが、帰ったらおぬしの本がなくなっておるかもしれんぞ」

「そうかもしれませんね」


 まあ、別にいいよ。

 でも、そのうち、ウチから漫画やラノベがなくなりそうだな。

 補充しておくか。


「今おるところはここかの?」


 サクヤ様がこれまた可愛らしい文字で居住区と書かれた場所を指差す。


「ですね。今日は地図を見ながら王都を見て回り、仕事は明日からにしましょう」

「そうじゃのう」


 俺達はその後も王都内を巡っていく。

 居住区、お店が多い商業街に飲み屋が並んでいる歓楽街、さらには奥にあるお城まで見た。

 城はかつての旅番組でみたヨーロッパの古城に近く、非常に興奮した。

 そうやって町を回りつつ、魔法ギルドなんかの位置も確認すると、日が落ち始めたので夕食を食べ、家に戻る。

 すると、やはり本棚から本がなくなっていた。


「ノルン様、ハマっちゃったんですかね?」

「そうかもな。さて、我は先に風呂に入るぞ」

「どうぞ」


 サクヤ様がタンスをごそごそしだしたのでテレビを付け、ゲームを起動する。

 やるのはこの前からやっている昔のRPGだ。


「おー……」


 【つづきから】を押したら思わず声が出てしまった。


「どうした?」

「いや、これ……」


 【ハルト Lv21】【ハルト Lv21】【のるん Lv3】


「ゲームしとるの……」

「まあ、いいですけどね。自分らもノルン様の世界で好き勝手やってるわけですし」

「それもそうじゃの」


 サクヤ様がそう言って、風呂場に行ったので自分のセーブデータを開き、ゲームをする。

 しばらくゲームをしていると、サクヤ様が風呂から上がってきたので髪を乾かしてあげ、自分も風呂に入った。

 そして、ゲームをし、いい時間となったので就寝した。


 翌日、朝食を食べ、準備を終えると、王都にやってくる。

 時刻は9時を過ぎた辺りだが、すでに多くの人が歩いていた。


「魔法ギルドに行って、仕事を聞く感じで良いですかね?」

「うむ。冒険者ギルドも気になるが、まずは魔法ギルドじゃ」


 俺達は昨日見つけておいた魔法ギルドに向かう。

 そして、ギルドに入ると、ルイナの町のとは異なり、多くの魔法使いっぽい格好をした人達がいた。

 さらには受付にも5人の職員がいる。


「人が多いですね」

「さすがは王都じゃの。一番左の受付が良いと思うぞ」


 一番左の受付は可愛らしい女性が座っていた。


「俺、週末に見合い相手とデートするんですけど……」

「そうじゃったの。おぬしは器用じゃないし、一人に絞った方が良さそうじゃ。一番右のにせい」


 一番右は男性だ。

 歳は俺よりも上に見える。

 村田さんくらいかな?


「そうします」


 俺達は一番右の受付に向かう。


「おはようございます」

「うん、おはよう。初めて見るけど、外の人?」


 軽い感じの人だな。


「ええ。ルイナの町から来たハルトです」

「へぇ……僕はチェスターと言う。ルイナというとホリーの婆さんがいた?」


 ホリーさんを知っているのか。


「ええ。ホリーさんにギルドカードを作ってもらいました」


 そう言って、真っ赤なギルドカードをカウンターに置いた。


「どれどれ……」


 チェスターさんがじーっとギルドカードを見る。


「なるほど……ホリーに勧められて王都に来たわけか」

「わかるんです?」

「このギルドカードは特殊でね、ギルド職員以外には見えないけど、色んな情報が書いてあるんだよ」


 へー……すごいな。


「何て書いてあるんです?」

「色々だけど、優秀な魔法使いと書いてあるよ」


 優秀だって。


「ハルトに並ぶ者などおらんわ」


 サクヤ様がドヤ顔を浮かべる。

 非常に可愛い。


「そうかもしれませんね……何にせよ、魔法使いなら歓迎だよ。仕事をしたいって感じかい?」


 チェスターはサクヤ様に同意すると、用件を聞いてくる。


「そうですね。旅をしているんですが、お金は大事でしょう?」

「もちろんだよ。えーっと、今ある仕事は……まずだけど、魔石ね。これはいつでもどこでも取り扱っているから持ってくるといいよ」

「魔石ってどこでも売れるんですよね?」

「そうだね。基本的にはどこで売っても値段は変わらないよ。ただ、魔石に関しては他の魔法使いが緊急で大量に必要になることもあって、依頼が出ていることもあるんだ。その時はチャンスだよ。まあ、滅多にないし、今もないけどね」


 どこでも価格は同じ、しかも、ボーナスが付く可能性がわずかにでもあるなら魔法ギルドで売った方が良いわけだ。


「皆、ここで売るんですか?」

「いや、魔法ギルドに所属している者だけだよ。魔法使いならではの目や技量もあるし、依頼を出す側も魔法使いに頼みたいんだ。魔石とは違うケースだけど、薬草を採取してって頼んだのに全然、違う草を持ってきたり、処理が甘かったりすることがよくあるんだ。だから頼む方も最初から魔法使いに限定している」


 そういうこともあるか。

 俺も薬草採取はできないけど。


「へー……じゃあ、基本的には所属しているギルドに売ればいいわけですね?」

「そうだね。でも、冒険者ギルドにも入っている人も多いし、その辺は自分で見極めた方が良いよ。ほら、僕らもさー、自分のところの方が良いとは言えるし、そう勧めるけど、冒険者ギルドの方が良いよとは言いにくいわけ……まあ、魔法関係ならウチって思っておけばいいと思うよ」


 やっぱり冒険者ギルドにも入った方が良いかもな。

 その辺も考えておこう。


「わかりました。他に仕事はあります?」

「うーん、家庭教師なんてしないよね?」


 高卒やぞ。


「旅をしてますからちょっと……」

「じゃあ、ちょっとお手伝いの話があるんだけど、どう?」

「お手伝いと言いますと?」

「実はこの国の貴族に魔法オタクの研究者がいてね。手伝いを頼まれているんだよ」


 貴族……


「大丈夫ですか、それ?」

「何が?」

「不敬を働いたーとかで死刑とかないです?」


 それこそ創作物だと悪者のことが多い。


「ここ、王都だよ? 国王陛下の元でそんなことしたら家が潰れちゃうよ。それにカーティスさんはウチのギルドにも所属している立派な魔法使いだから大丈夫。ちょっとオタク気質で研究に熱中してしまうこともあるけど、他人に害をなすような人じゃないから」

「おぬしと一緒じゃな」


 サクヤ様がチクリ。


「俺はオタクではないです。他にも優れた魔法を使う人やたくさん勉強している魔法使いはいっぱいいますよ」

「否定する時に自分より上がいるから違うと言う奴はオタクじゃ」


 そうっすか……


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