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第118話 それぞれのカップル


 バーベキューを終え、片付けをすると、別荘の中に戻り、順番にお風呂に入った。

 そして、ソファーで漫画やライトノベルを読みながらゆっくりと夜を過ごしていく。

 すると、かすかに雨音が聞こえてきた。


「雨ですね」


 隣にいるジュリアさんが顔を上げる。


「そうだね。ただの雨音なんだけど、なんか良いね」

「私も同じことを思いました。何故か、こっちの世界では雨音でも風情があります」


 なんでだろうね?


「ディーネさんの予報が当たったね」

「お天気お姉さんですから」

「能天気お姉さんってどう思った?」

「若干、脳裏に浮かんでいました」


 やっぱりか。

 あの反応はそうだ。


「俺も思ってた」

「すごく良い人なんですけどね。サラさんも言ってましたが、私も好きですよ」

「俺もそう。あの人、裏表がないというか、あの外向けモードがあまり意味をなしてないよね?」

「この町の皆さんも全部わかっているって感じですもんね」


 絶対に皆、本性を知っているだろう。


「ですよね。あ、そうだ……ハルトさん、来週は海で遊びませんか?」


 まさかのジュリアさんの方から提案してきた。


「良いかもね。ディーネさんの予報では晴れだし」

「ええ。それに明日、水着を買いに行きますし……あ、組合にご一緒できなくて残念でしたね」


 ジュリアさんが組合に電話してくれたのだが、明日は村田さんが実家の用事で休みらしい。

 そのため、組合には診れる人が秋山さんしかいないのでジュリアさん、俺の順番で健診をすることになった。

 とはいえ、一緒に行けるのだが、ジュリアさんも俺も水着を買いに行く予定だったので別々に行くことにしたのだ。


「仕方がないよ。夜にはまた来るでしょ?」

「はい。というか、今日の残りを使わないといけませんし、夕食をご一緒しましょう」


 野菜はともかく、魚介類は足が早いからな。


「そうしよっか。サクヤ様とタマヒメ様もそれでいいですか?」


 漫画を読んでいる2人に確認する。


「ええぞ」

「そうね。というか、予定はあなた達で決めなさい。私達は暇なニートだし、働いているあなた達が予定を決めた方が良いわ」


 ニートって言われると、否定したくなるが、そういうことならそうしよう。


「わかりました。そうします」


 俺達はその後も本を読み、いい時間になったので就寝した。

 そして、翌朝は早めに戻って解散すると、家のことをする。

 健診は午後からなので午前中に済ませておかないといけないのだ。


「サクヤ様、それでは行ってきます」


 昼食を食べ終えたので組合に向かうことにした。


「おー。行ってこーい。我もジュリアの健診が終わったら出かけるからの」


 ジュリアさんは健診が終わったら一度家に戻り、サクヤ様とタマヒメ様と共に買い物に出かけるらしい。


「お願いしますね」

「はいよ」


 サクヤ様にお願いし、家を出ると、車で組合に向かった。

 この日はこっちでも雨が降っていたのだが、車なので特に問題ない。

 そして、組合に着くと、2階に行き、受付の山中さんのところに行く。


「こんにちはー」

「あ、ハルト君、こんにちはー。まだジュリアちゃんが健診中なのよ」


 知ってる。


「ええ。わかってます。待ちますよ」

「休みなのにごめんね」


 全然、大丈夫。

 人生の先輩である御三方から色々と話を聞けるから。


「いえいえ。あのー、山中さん、ちょっといいですか?」

「ん? 何?」

「旦那さんと結婚した理由は何ですか?」

「…………長年の付き合いであるあなたからそういうこと聞かれる日が来るとは思ってなかったわ」


 まあ、そんなことを聞いたことはなかったけど……


「えーっと、別に詮索したいわけではなくて……」

「あ、ジュリアちゃんか。そういえば、村田君からハルト君がジュリアちゃんと結婚する意志があるって聞いたわ」


 秋山さんを含めてだが、この3人は本当に仲が良いな。

 おかげで相談内容が筒抜けだよ。


「えーっと、まあ、そうですね」

「ふむふむ。旦那と結婚をした理由だったわね……すんごく夢のない話をすると、打算もあるし、これ以上、他に良い男はいないなって思ったからね」


 本当に夢がない……


「それが理由ですか?」

「もちろん、他にもあるわよ。好きだからとか一緒にいたいと思ったのも大きい。でも、それって結婚しなくても同棲でいいわけ」

「確かにそうですね」


 子供のことを考えなければそれでも幸せだろう。


「最近は晩婚化や結婚しなくなった人も増えてきたじゃない? 私はその気持ちがすごくわかるのよ」

「そうなんですか?」


 結婚してんじゃん。


「楽だもん。でも、それ以上の感情があった」

「何です?」


 俺が聞きたいのはそれ。


「この男を誰にも取られたくないと思ったから。もし、別れて、別の女と結婚したらクソほどムカつくと思ったからね」


 お、おー……


「それが理由ですか?」

「そう。ちょっとケンカして、仲直りした時にそう思ったわけ。ハルト君、想像してごらん。あなたがジュリアちゃんとの縁談を断ったことでジュリアちゃんは別の男性とお見合いをし、結婚するの。どう?」


 うーん……


「脳が破壊されそうです」

「ね? ジュリアちゃんは俺のものって思ったでしょ? 私も旦那は私のものって思った」


 な、なるほどー。


「思いました」

「でしょー? じゃあ、答えは出てるの。いけ! ジュリアちゃんもきっとそう思っているわ!」

「そうですかね?」


 正直、聞きたかったのは向こうがどう思っているかだ。


「大丈夫! もし、ハルト君がジュリアちゃんに結婚を申し込んで断られたらウチも別れるわ!」


 ………………。


「…………旦那さんとケンカしました?」

「うん。昨日」


 自分の考えでいこう。


お読み頂き、ありがとうございます。

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オチで鼻からなんか出た…花粉症でもないのに…
神様なのにニートを自称するとかタマちゃんは自己評価が低い、低すぎる
他人に自分の家庭の行く末を預けないでw
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