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第116話 夏だなー


 教会をあとにした俺達は来る時にピックアップしておいた店で食材を見ていく。

 そして、ちょっと多めに食材を購入すると、別荘に戻った。


「あ、おかえり」


 別荘のソファーのところには膝を抱えたまま横になっているタマヒメ様がいた。


「ただいま。用事は済んだか?」


 珍しく空気を読んだサクヤ様が聞く。


「うん、済んだ」

「そうかい。バーベキュー用の食材を買ってきたぞ」

「ちゃんと貝も買ってきた?」


 タマヒメ様は貝類が好きなのだ。


「買ってきたぞ」

「タマヒメ様、下ごしらえをするので部屋まで送ってくださいませんか?」


 ジュリアさんがタマヒメ様にお願いする。


「あー、なるほど。いいわよ」


 タマヒメ様が頷くと、2人は転移で消えてしまった。


「我らは準備をするか」

「そうですね。でも、その前にスーパーに行って、お酒を買いませんか? せっかくですし、飲みましょうよ」

「ええの。リア充じゃ」


 サクヤ様の言っているうぇーい系のリア充ではない気がするが、間違いなく、リア充を名乗ってもいいだろう。


「じゃあ、行きましょうか」

「うむ」


 俺達は転移で部屋に戻ると、服を着替え、車でスーパーに向かった。

 そして、お酒をカゴに入れていく。


「魚介ばっかりじゃが、他のも買った方が良くないか?」


 それもそうだな。


「ちょっとジュリアさんに電話してみます」

「うむ」


 カゴを置くと、スマホを取り出し、電話をかける。

 すると、数コールで呼び出し音がやんだ。


『もしもし、ハルトー? 今、ジュリアは手が離せないのよー』


 この声はタマヒメ様だ。


「下ごしらえ中ですもんね。実は俺達、お酒を買いにスーパーに来てるんですけど、他に買う食材ってあります? 魚介だけなのもあれなんで」

『あー、なるほどー……ジュリアー、スーパーにいるらしいんだけど、魚介の他に食べたいものあるかってー』


 スピーカーモードにしてくれれば早いんだけどな……


『お野菜を適当に買ってきてくださいって伝えてもらえますか? それで持ってきてくださいとも』

『わかったー……えーっと、ビールと酎ハイをお願い』


 おい……


「あと、適当なお野菜を買って、持っていけばいいんですね?」

『そそ。よろしくー』


 タマヒメ様がそう言うと、電話が切れた。


「野菜ですって」

「じゃあ、適当に買うかの」

「ええ」


 俺達は野菜コーナーに行き、適当に野菜をカゴに入れていく。

 余っても得意の野菜炒めにすればいいので量は気にせずに種類を多めにした。

 そして、レジに行き、会計を済ませると、家に戻る。


「ノルン様、バーベキューをするんですけど、一緒に食べませんか?」


 部屋でゲームをしているノルン様を誘う。

 実はさっきもいた。


「せっかくですが、遠慮しておきます。ちょっと今日がピークなんですよ」


 ゲームね。


「そうですか……」

「そちらはそちらで楽しんでください。あ、またいつぞやのように適当に摘まめるものを送ってくださると喜びます」

「わかりました。コーラも買ってきましたんで好きに飲んでください」


 ノルン様はお酒は好まれず、コーラをよく飲んでいる。


「ありがとうございます。そちらはそちらで夏を楽しんでください」


 まあ、エアコンが効いた部屋でコーラを飲みながらゲームをするのも夏っぽいか。


「わかりました」


 冷蔵庫に酒とコーラを入れると、ジュリアさんの部屋に転移する。

 すると、キッチンに立って下ごしらえをするジュリアさんとそれを見ているタマヒメ様がいた。

 2人はまだ異世界の服を着ており、その姿でキッチンに立つジュリアさんはちょっと違和感がある。


「あ、来た」

「わざわざすみません」


 2人が俺達に気付いた。


「ううん。本当に適当に買ってきたけど、これでいい?」


 ジュリアさんのところに行き、買い物袋の中を見せる。


「ええ。そこに置いておいてください」

「わかった。下ごしらえの方はどう?」


 買い物袋を置くと、ジュリアさんの手元を見ながら確認する。


「大丈夫です。知らない食材ばかりですけど、基本的にはこちらの世界の魚介類と変わりませんから」


 そうなのか……

 まあ、魚は魚だし、貝は貝か。


「じゃあ、あとはお願いするよ。俺はあっちに戻って、道具の準備をする」

「ええ。お願いします」


 ジュリアさんが笑顔で頷く。


「うん。あ、それともう外には行かないし、着替えてもいいと思うよ」

「それもそうですね。着替えてから行きます」

「じゃあ、あとはお願いね」

「はい。そちらもお願いします」


 野菜を渡したので俺とサクヤ様は別荘に戻った。

 そして、倉庫からバーベキューセットを取り出し、テラスに設置していく。


「火は何じゃ?」


 椅子なんかを設置してくれているサクヤ様が聞いてくる。


「木炭ですね……あれ? ライターがない」

「魔法を使えばいいじゃろ」


 あ、それもそうか。


「魔法が使える良い世界でしたね」

「そうじゃのー」


 俺達は準備を終えたので椅子に座り、海を見ながらジュリアさんを待つことにした。


「ええのー……夏じゃのー」


 サクヤ様はすでにビールを飲んでいる。


「山登りとかクルージングも良いかもしれませんね」

「山登りはええが、クルージングはパスじゃな。我、船酔いするんじゃ」


 神様なのに?


「いつ、船に乗ったんですか?」

「大昔じゃな」


 いつだよ……


「いや、その時の船とは違いません? 立派な帆船が並んでましたよ」


 東の大通りから見て、反対側に港があるのだが、かなりの数の船が並んでいたのだ。


「苦手意識ってやつじゃな。車酔いはせんが、船はどうしても苦手なんじゃ」


 ふーん……


「まあ、海に出るかはわかりませんが、その時はジュリアさんと行きますよ」

「遭難するなよ?」

「その時はノルン様に言って、助けにきてください」


 あの人ならどうにかしてくれるだろう。


「それもそうじゃの。まあ、クルージングは後にせい。それよりも先に泳ぎじゃな」

「それもそうですね。明日、水着を買いに行くんですっけ?」


 そう聞いている。


「そうじゃの。3人で行ってくる。ちなみに我の可愛い子のために聞いてやるが、ジュリアの水着は期待しておるか?」


 可愛い子っていう枕詞いるか?


「それは当然ですね」

「そうか……では、我とタマちゃんで良い感じの買うように勧めておこう」

「悪ノリはしないでくださいよ。神様2人に囲まれたらジュリアさんが困っちゃうでしょ」


 ただでさえ、遠慮がちな性格なんだから。


「わかっておる。常識の範囲内じゃ」

「ったく……お願いしますね」


 あざーす。


お読み頂き、ありがとうございます。

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