第114話 ギャルのパンティーおくれー
俺達はその後もディーネさんから話を聞いていくと、お昼になる。
すると、ディーネさんが出前を取ってくれたので皆で海鮮丼を食べることにした。
「すごいのう……」
「豪華ですね」
観光地だったら数千円は取られそうだ。
「美味しいわね」
「ええ。とっても」
浅井の2人は美味しそうに食べている。
「すごいだろー。ウチは魚介はどこにも負けないって自信があるんだ。面白いもんで魚介じゃない店もあるんだが、そこには地元民しかいない」
まあ、そうだろうね。
わざわざここまで観光に来てて、肉は選ばない。
あっちの世界と違って、来るのも一苦労だし。
「美味しいですよ。奢ってもらってすみません」
「いいの、いいの。私も払ってないし」
ん?
「教会のお金ですか?」
「それも厳密には違う。実はウチの国では巫女って給料は出ないけど、金を出さなくても何でも食べられるんだ。店で会計をしたことがない」
食べ放題か。
すごいな。
「良いっすね」
「だろー? ただやれ握手だ、やれサインだとうるさいけどな。この前なんてガキンチョに能天気お姉さんって言われた。いつもは巫女様って呼んでくれる奴らも裏ではそう呼んでるんだろうよ」
おーっと!
「お天気お姉さんの聞き間違いですよ」
「そうかぁー?」
そうそう!
「ディ、ディーネさん、神殿の方を見たいんですけど、そろそろ大丈夫ですかね?」
ジュリアさんが急に話題を変えてきた。
多分、そういうことだろう。
「じゃあ、午後から行くか。丸一日寝ていることもあるけど、起きているかもしれないしな」
「そうしましょう」
俺達はその後も話をしながら昼食を食べていく。
そして、一息ついた後に湖の神殿に行くことにし、資料室を出た。
「あの並んでいたところですか?」
「あっちは観光客用だな。一度に入れる人数を制限しているんだよ。とはいえ、並ぶのは面倒だし、列に横入りするのも良くないから管理通路を通ろう。こっちだ」
ディーネさんがそう言って歩いていったのでついていく。
すると、ディーネさんが廊下を曲がり、とある扉を開けた。
「ここが管理用の階段」
扉の先は螺旋階段となっており、かなり深く見える。
まあ、50メートルも下だし、仕方がない。
「ジュリアさん、足元に気を付けてね」
ジュリアさんは見た目と違って運動神経抜群だから問題ないと思うが、ここは気遣いだ。
「はい。ありがとうございます」
ジュリアさんが笑顔で頷く。
「タマちゃん、手を繋いでやろうか?」
「嫌よ。あんたがこけたら私も落ちるじゃないの」
「こけんわい」
仲良いなー。
「御二人も気を付けてくださいね」
「じゃあ、行くぞー」
俺達はディーネさんを先頭に螺旋階段を降りていった。
そして、5分くらいでようやく下まで降りてくると、扉の前で一休みする。
「帰りが面倒じゃの」
「仕方がないですよ。泳いで上がります?」
どうやって出るのかは知らない。
「タマちゃん」
「嫌よ。食べられちゃうじゃないの」
その前に水深50メートルって大丈夫なのかな?
まあ、神様だから死なないんだろうけど。
「もういいかー?」
「あ、お願いします」
頷くと、ディーネさんが扉を開ける。
すると、まるで水族館のようにガラスで覆われていた円形状の空間が見えた。
ガラスの向こうは当然、水中であり、水深50メートルもあるのによく見える。
「すごいですね」
「だろう?」
ディーネさんがドヤ顔になった。
「明るいの……灯りか?」
「このガラスから微量な灯りが出ているんだよ。それでちゃんと見えているんだ」
「ほー……」
「よくわかんないわね。魔法かしら?」
俺もわからん。
「魔導帝国産らしい。私も魔法ならともかく、魔道具のことは詳しくない。ましてや、何百年も前にできた施設だからな」
そんな前からこういう魔法技術があるんだな。
魔導帝国ってすごそう。
「へー……」
俺達はガラスの方に近づいていく。
周りには多くの人々がおり、皆、外を見ていた。
「いつもこれくらいのお客さんがいるんですか?」
ディーネさんに聞いてみる。
「そうだな、昼間はこんな感じで色んな人が来る」
「昼間? 夜もやっているんですか?」
「やっているぞ。夜はちょっと暗くなるんだけど、カップルだらけ」
あー、雰囲気はありそうだしな。
「完全にデートスポットですね」
「まあ、そういうところが多いのは事実だな。こことか海とかなー……あ、ここはナンパスポットじゃないから安心してな。夜は逆に独り身は来られないから。1人で来ると、すんごい疎外感が出るんだぞ」
嫌な入場資格があるもんだ。
俺達はガラスまでやってくると、外を見る。
「幻想的だね」
「そうですね……すごいです……」
ジュリアさんは来たがってただけあって、ぼーっと、外を見続けた。
「湖の中にいるみたいじゃの」
「そうねー。良い感じ」
サクヤ様とタマヒメ様も満足そうだ。
「まあ、ゆっくり見ていってくれ」
俺達はどちらが先に動いたかはわからないが、自然と手を繋ぎ、ガラス沿いをゆっくりと歩きながら湖の中を見ていく。
「あ、魚です」
「ホントだねー」
ジュリアさんが本当に楽しそうで嬉しい。
俺達はその後も湖を見続けていたのだが、人だかりが多くなったので足を止めた。
「あー、やっぱり人が多いか。よし、私に任せておけ」
ディーネさんはそう言うと、小走りで中央の階段の方に行き、神父さんと何かを話し始める。
「何を話しているんでしょう?」
「さあ?」
どうした?
何だろうと思っていると、神父さんが一歩前に出た。
「えー、皆さん! これより巫女ディーネ様のサイン会を行います!」
えー……サイン会って……
アイドルじゃないんだから。
「え?」
「あ、ホントだ! 能天……巫女様だ!」
「ほう……巫女か。せっかくだし、もらおうか」
湖を見ていた人が一斉にディーネさん達のところに行き、並び始めた。
「アイドルだったか……」
「人気なんですね」
「この町の人間でない者も良い土産になるんじゃろ」
「御利益はありそうだもんね。ないだろうけど」
俺達は人が中央に集まったことで空いた先を見る。
すると、そこには巨大なヘビみたいな竜がとぐろを巻いて寝ているのが見えた。
「でかい……」
「えーっと、想像以上ですね……」
「どれくらいの長さなんじゃろ?」
「昔、アニメで見たことあるわね」
シェンロ〇だな。
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