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第107話 血かな?


「全然、普通な人だったね」

「ですね。良い方でした」

「見た目で人を判断してはいけないもんじゃのう」


 さすがは我らがのじゃロリ神。

 言葉の説得力が違う。


「では、次は魔法ギルドに行きましょうか」

「そうじゃの」


 俺達は対面にある魔法ギルドに入る。

 魔法ギルドの広さ的にはさっきの冒険者ギルドと変わらないし、構造もほとんど同じだった。

 そして、受付に3人いるのも一緒だ。

 ただ、俺達以外にお客さんはいない。


「えーっと、ジェーンさんは……」


 どの人だ?

 3人共、女性だ。


「ハルトさん、チェスターさんの妹さんです」

「あ、そうか」


 受付にいる女性は2人が年配の女性でもう1人の茶髪の女性は若い。

 2人はどう見てもチェスターより年上に見えるし、違うだろう。


 この人だなと思い、茶髪の女性にもとに向かう。


「こんにちはー」

「こんにちはー」


 茶髪の女性がにっこりと笑った。


「あのー、ジェーンさんですか?」

「え? そうだけど、どこかで会った?」


 ジェーンさんが首を傾げる。


「いえ……実は俺達はフロック王国の王都から来たんですけど、魔法ギルドのチェスターさんに妹がいるからよろしくって言われたんですよ」

「あー、兄さんか。なるほどねー。兄さんは元気?」

「ええ、元気ですよ」


 既婚者(偽)にナンパを勧めるくらいには元気。

 何がひどいってすぐ隣にその奥さん(予定)がいたこと。


「そう。なら良かった。最近、会えてなくてねー。相変わらず、軽い?」

「軽いですね」


 あの人はしゃべり方もだが、ちょっと軽い。

 良い言い方をすればフレンドリー。


「変わってないなー」


 ジェーンさんが笑う。


「それでお兄さんから伝言ですけど、たまには家に帰ってこいってご両親がおっしゃっているらしいです」

「いや、まだ小さい子供がいるんだから無理言わないでよ。そっちが来い。海は楽しいし、母さんももう一花咲かせられるわ……って王都に帰ったら伝えてくれる?」


 ナンパされてそのまま結婚したって言ってたし、この人はこの人でちょっと軽いな……


「それ、俺が言うんですか?」

「お願い。ついでに兄さんに早く結婚しろとも伝えて。あんたが結婚しないから親がうるさいんでしょって」

「わかりました。伝えておきます。それで王都の冒険者ギルドから荷物が届いていますね」


 そう言うと、サクヤ様が杖を渡してくれたのでギルドカードと共に提出した。


「あー、冒険者ギルドから連絡があったけど、あなた達だったわけね。早いわねー……ん? んー……」


 しゃべりながら俺のギルドカードを見たジェーンさんがカードを凝視し、俺達を一人一人見ていく。


「どうしました?」

「いえ……優秀な魔法使いって書いてありますです」


 ホントにどうした?


「ジェーンさん?」

「何でもないでーす。とにかく、杖は受け取りました。えーっと、金貨7枚だけど、こんなに早く届けてくれたからボーナスで金貨8枚ね。どうぞ」


 ジェーンさんがカウンターに金貨を置く。


「ありがとうございます」

「こちらこそ。何か仕事する?」

「何があるんです?」


 気になる。


「あなた達にとてもぴったりの仕事があるわね。水の巫女様の家庭教師……という名の逃げないようにする見張り」


 あー……ディーネさん、外注までされてるじゃん。


「いやー、お力になれないかと……」

「そう?」

「逃げ出す手助けをしそうです」


 可哀想だもん。


「あー……そっちかー。じゃあ、しょうがないね」

「魔物退治の仕事をするかもしれませんし、その時は魔石を売りに来ます」

「わかった。あ、フロック王国に帰る際に寄ってくれる? 配達の依頼を出すから」

「冒険者ギルドを通さないんですか?」


 配達は冒険者ギルドの領分だろう。


「兄さんに渡してほしいの。ウチの娘からお爺ちゃん、お婆ちゃんへの手紙。これで帰ってこいとは言わないでしょ」


 まだ幼い孫からの手紙攻撃……

 絶対にこっちに来そうだ。


「わかりました。帰る際には顔を出します」

「お願いねー」


 俺達は用件が済んだのでギルドを出た。


「そっくりじゃったの」

「まあ、兄妹ですから」


 ジュリアさんが苦笑いを浮かべる。


「しゃべり方まで似てたね」


 まんまチェスターさんだったわ。


「心なしか声も似てましたね」

「確かに……まあいいや。ギルドの用件もひとまず済んだし、ゆっくり町を見て回ろうか」

「そうしましょう」


 俺達はさらに北の大通りを歩いていき、山に向かう北門を確認すると、引き返した。

 その後も町を見て回っていく。


「この貝殻、可愛いですね」


 露店を見ていると、ジュリアさんが小さな巻貝の貝殻を手に取る。


「買ってもいいよ。それくらいなら見つかっても誤魔化せると思うし」

「そうじゃの。せっかくじゃし、買ったらどうじゃ?」

「ありがとうございます」


 ジュリアさんが嬉しそうに笑った。


「すみません。これ、いくらです?」

「銅貨5枚だね」


 多分、高い。

 でも、金貨を100枚以上持ってる異世界成金の俺には安い。

 それに何より、ジュリアさんの笑顔はプライスレスなのだ。


「じゃあ、これください」


 そう言って、財布から銅貨5枚を取り出し、渡す。


「まいど」

「ちなみにですけど、刺身が食べられるおすすめの店ってあります?」

「超贅沢とそこそこ贅沢と金をケチりたいのだと、どれだ?」


 金はある。


「超贅沢」

「だったら南の大通りに面している海のほとりって店だ。そこは直で漁師を雇っているから毎日、新鮮な刺身が食べられる。値は張るが、花の舞っていう刺身の盛り合わせは質も量も他を圧倒するって評判だ」


 なんかすげー。


「ありがとうございます」


 礼を言うと、立ち上がり、他の店なんかを見て回る。

 そして、まだ町の半分しか見ていないのだが、夕方になったので別荘に戻ると、ソファーに腰かけ、一休みすることにした。


お読み頂き、ありがとうございます。

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