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第100話 いえーい


 翌日、朝風呂に入り、朝食を食べると、準備をする。


「タマヒメ様はどうされるんです?」


 下の脱衣所で着替え終え、上がってくると、タマヒメ様が窓の外を眺めていたので聞いてみる。


「今日はあっちの世界でノルンとお出かけ。なんか買い物に行くんだって。その後、ゲーム」


 ノルン様は相変わらず、満喫してるなー。

 最近は本棚から漫画やラノベが減ることがなくなったが、代わりに知らないゲームが置かれていることがよくある。


「そうですか。我々は水の国に行ってきますので」

「うん。気を付けてね」


 タマヒメ様が頷くと、寝室の扉が開き、異世界の服に着替えたジュリアさんが出てきた。


「お待たせしました」

「よし、では行くかの。飛ぶぞー」


 サクヤ様がそう言うと、視界が変わり、街道に飛んだ。

 この前は雨が降っていたが、今日は晴れている。


「天気も良いですし、傘はいらなそうですね」


 ジュリアさんが空を見る。


「うん、道も濡れてないし、問題なさそう」

「あそこですよね?」


 空を見上げていたジュリアさんが今度は正面を見た。

 フロック王国の王都ほどの高さはないが、塀に囲まれた町がある。

 さらには町の奥の方と左の方には山があり、町は山の麓にあるようだ。

 距離的には1キロもなく、この前は暗さと雨でわからなかったが、相当、近づいていたようだ。


「そうだね。あれが水の国の聖都だと思う」


 間違いないだろう。


「よし、行くかの」


 俺達は街道を進み、正面の聖都を目指す。

 どんどんと近づいていくと、右の方に海が見えてきた。


「海ですね」

「地図を見ると、海岸線が湾曲してて、三日月になってるね」

「へー、ちょっと歩いてみたいです」

「良いかもね」


 俺達がそのまま街道を進んでいくと、門が見えてきた。

 門は開いており、左右に兵士が1人ずつ立っている。


「通っていいんですよね?」

「まあ、開いておるしの」


 大丈夫かなーと思いながら門に近づいていくと、兵士が俺達をめちゃくちゃ見ていた。


「……俺達、怪しくないですよね?」

「……女子供連れの旅人にしか見えんはずじゃぞ」


 むしろ、それが怪しいのかもしれない。

 国境の砦の兵士さんも普通は馬車を使うって言ってたし、女子供を連れて、徒歩の旅は変なんじゃないだろうか?


「失礼。ちょっといいかな?」


 兵士さんが声をかけてきた。


「何でしょう?」


 やっぱり怪しかった?


「もしやハルト殿ではないだろうか?」


 ん?


「ええ。私はハルトですけど……」

「おー! やはりですか! 実は巫女様より客が来るという話を聞いていたのです。少々、お待ちいただけるでしょうか?」


 あー、ノルン様が言ったのか。

 サラさんパターンだな。


「わかりました」

「では」


 兵士さんが走って、町の中に入っていった。


「なんか悪いなー」

「ですよね」

「良いじゃないか。またガイドをしてくれるんじゃろ」


 まあねー。


 俺達がその場で10分くらい待っていると、正面から豪華な馬車がやってくる。

 そして、俺達の前に停まると、中から青みがかった黒髪の若い女性が降りてきた。

 ちょっとノルン様に似ているし、多分、巫女さんだろう。


「ハルトさん、ジュリアさん、サクヤヒメ様ですか?」


 巫女さんらしき女性が微笑みながら聞いてくる。

 おっとりとした優しいお姉さんって感じだ。


「はい。私がハルトです。巫女様でしょうか?」

「そうです。女神ノルン様にお仕えする水の巫女であるディーネと申します」


 ディーネさんは微笑みながら深々と頭を下げる。


「ど、どうも」


 この人、よく見るとすごい美人だ。

 あ、ジュリアさんの方が美人です。

 あ、ノルン様が最上です。


「早速ですが、馬車にお乗り下さい。火の巫女からも紹介状を受け取っていますし、ノルン様から案内する様に言われております。町を回りながらご説明させていただきます」

「ありがとうございます」


 やっぱりなんか悪いなー。


「では、どうぞ」


 ディーネさんに勧められたので馬車に乗り込む。

 馬車の中はサクヤ様、俺、ジュリアさんと並んで座っても十分にスペースがあるくらいに広かった。

 そして、ディーネさんが乗り込んできて正面に座ったのだが、さっきまでの微笑みは消え、足を組んで頬づえをついた。


「だるっ……でもまあ、サボれて良かったって思うかー」


 なんかディーネさんの雰囲気が明らかに変わっている。


「あれ?」

「さっきの人は……?」

「誰じゃ、こいつ?」


 あれれ?


「あのー、ディーネさんですよね?」

「そう自己紹介したな……あー、さっきのは信者の兵士がいたからだ。表向きはちゃんとするように言われているんだが、本来はこっちなんだよ。私、魔力が高かったから巫女なんてやってるけど、教会で修行してこいって家を叩き出されたただの勘当娘なんだ」


 えー……

 巫女って教会に所属している魔力が高い者がなるとは聞いていたけど、素行面は無視なのか。


「何したんです?」

「貴族なんだけど、勉強嫌い、作法嫌い、習い事嫌い。遊んでばっか」


 な、なるほど。


「へ、へー……」

「まあ、私のことはいいだろ。さっきも言ったけど、サラの奴がウチはこんなに接待しましたって挑発してきたし、ノルン様の客だから歓迎する」


 サラさんが挑発したの?

 ホントに?


「ありがとうございます」

「まあ、気楽に楽しんでくれ。ウチも観光地だし、リゾート地でもあるんだ。この時期の海なんか最高だぞー。というわけで海行くか? 砂浜でお城を作ろうぜ」


 悪い人ではない気がする……


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

本作品ですが、誠に勝手ながら今後は週2日更新となります。

具体的には月曜日と木曜日になります。

よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
サラマンダーのサラだったのか
ハルト「……サラさん……」 ※ディーネの豹変よりサラのマウント取りに唖然 しかし、それを気にするディーネもかわいい。 ノルン様も彼女たち侍らしてゲームすればいいのに。
駄巫女降臨w ディーネさんを海でひん剥いて日本の際どい水着を着せて・・・ ん・・・何やら気配がw
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