プロローグ
ひび割れ崩れそうな建物、周りは火の海、日はさしていないが周りの炎が周囲を照らす。全身黒焦げの人だったもの、胴体の半分がなくなっているもの、胸に大穴が空いたもの、周りはまるで地獄絵図。少し歩きふと上を見上げると六色の光の線がうねりながら通り過ぎて行った。その光を目で追うと一番先には見難かったが紫色の光が赤色の光に当たって赤色が消えた、次は黄色、青、緑、最後に白が消えて少ししたら雲の一部から光が漏れてきた。紫色の光はその漏れたところに向かって消えた。
「てな夢だったんだ〜」
教室で俺と悠斗は机をつけてそんな話をしていた。
俺の名前は本田慎二、高校2年成績は普通、多少赤点が多いが普通ったら普通だ。さっき話したのは昨日の夜に見た夢だった。やけに鮮明に覚えていたものだったから友人でもある修斗に暇つぶしも兼ねて教えた。羽田修斗同じ2年の友人クラス間では「ザ・オタク」なんてあだ名があるがそうでもないと俺は思ってる。確かに眼鏡で髪も長いしバックにはキーホルダーが動くたびにジャラジャラと音を立てるくらい付けてる…うんオタクだ。
「ふむふむ、それは奇妙な夢だな」
うんうんと首を縦に振りながら話を聞いてくれたが信じてはいないだろう。所詮夢だどう転んだって現実に起こるわけがない。非現実的だ。でもやっぱりそんな事が起こって欲しいと思ってる俺がいる。学校で勉強、家に帰ってゲームして寝る人生、夜にカラオケ行ったりコンビニで立ち食い、当然唐突にトラックに轢かれたりも足元に魔法陣が出たりもしないそんな人生。
「はぁ…つまんねぇな〜」
「帰りゲーセン寄る?最近入ったっていう面白いやつがあるんだけどさ、異世界転生した主人公が悪を倒してハッピーエンド系の」
「ハイハイ…気が乗ったらな」
そんな事を思いながら家に帰る。でも今日は違う、近くの本屋に今俺の中で大流行の漫画の最新刊が入荷するのだ。こればかりは逃せない。前もって本屋のおっちゃんに一冊キープして欲しいと頼み込んでおいたんだ。急いで行かなければいかない、早く読みたい早く買って家でゴロゴロしながら読みたい。目の前のT字路の信号を越えれば直ぐだ。走る、どうせこの辺りに車は滅多に走らない。何年もこの道には世話になってるんだ。信号は赤だがどうでもいい。ちょっと良心が痛いが構わないそのまま道路に出る。
その時体に強い衝撃がぶつかった。なんだと思って横を見ようとするが体が思うように動いてくれないそのまま少し浮いたと思ったら直ぐに地面に落ちる。
痛い、痛いなんてレベルじゃない頭がクラクラするなんか視界も安定しない指くらいは動くけどどうにもならない。誰かが何か言ってるけど何も聞こえない。段々寒くなってきた。指も動かない、誰か助けて、怖い、寒い、死ぬ?…俺は死ぬのかここで?こんな所で?ただ信号無視しただけで?ヤダ…死にたくない、俺は悪くない、ヤダ、ヤダヤダヤダ!!
痛い怖い痛い寒い痛い痛い痛い寒い寒い怖い怖い怖い
誰か助けて誰か………しに……た……な…………。
そこで意識は途絶え俺の人生は呆気なく幕を閉じる。そう閉じたはずだった。
先ずは読んでいただきありがとうございました