第七話:Gの悲劇2 解決編
吉田 「うーん、……あれから少し考えたんだけどよ…」
吉原 「うむ」
吉田 「この事件は、誰かが悪意を持って猫を殺したんじゃなくて」
吉原 「ギク!」
吉田 「事故だったんじゃないかな?」
吉原 「…ホッ」
吉田 「なんだよ、…今の反応は?」
吉原 「いや、なんでもない。……それよりお前の推理を聞かせてもらおうか」
吉田 「いや、推理と呼ぶほどのものでもないんだけど……実はこの事件は、猫と遊んでいた明君が、何らかの原因で誤って猫を死なせてしまったんじゃないかなって」
吉原 「その根拠は何かあるのか?」
吉田 「根拠は無いんだけど、……アリバイが無いのは明君だけだし、一人で遊んでいたというのも気になるんだよな。実は“一人で猫と”遊んでいたんじゃないかなって思って」
吉原 「ふーん、…………まあ、前回の答えよりは半歩前進といったところだな」
吉田 「ぐ、……くそー」
吉原 「それでは、今から全ての謎を解き明かしていこう」
吉田 「くやしー」
吉原 「さて、まずは死んだ“猫田”さんについてだが…」
吉田 「ちょっと待て!!……誰だよそれ!」
吉原 「…………階段からロープで吊り下げられて死んでいた“人”だよ」
吉田 「おま……死んだのは“猫”だって言ってたじゃねえか!!」
吉原 「俺はそんなこと一言も言ってないもーん。 源治さんが猫田さんのことを“猫”と呼んでいただけだもーん」
吉田 「もーん、……じゃねえよ!! そんなの卑怯だろうが!!」
吉原 「卑怯?……何言ってんだよ! お前が、“今回登場するのは全員人間だろうな?” と言ったとき、俺は“そうだ”と答えただろ」
吉田 「ぐむむむ……」
吉原 「それに、もう一つ重要なことを俺に訊いていたな……憶えているか?」
吉田 「…………さ、殺人事件のことか?」
吉原 「そう。お前が、“なんだよ…今回も殺人事件じゃないのか?” と言ったときも、俺は“そうだ”と答えた。すなわち、死んだ人間がロープで吊り下げられていて殺人事件じゃないとなると…………残る可能性は一つだよな」
吉田 「…………首吊り自殺」
吉原 「その通り。……源治さんは猫田さんが死んでいるのを見て、これは殺人事件だと勝手に思い込んでしまったんだろうな。敵が多そうな感じの人だったから」
吉田 「じゃあ……お前はどうして自殺だと分かったんだよ!」
吉原 「猫田さんのポケットから遺書が出てきたから」
吉田 「なんだそりゃ。…………くだらねえ」
吉原 「くだらない?……ふふん、そこまで言うのなら、この事件の真相をズバリ当ててみろよ」
吉田 「真相?…………だから“源治さんから猫と呼ばれていた人間が自殺した”……だろ?」
吉原 「ふっふっふっふっふ。…………五十点」
吉田 「どうしてだよ?」
吉原 「あの日、吉森さん宅に居た八人の中で誰が自殺したのか、……その謎を解く手がかりもすでに提示してある」
吉田 「八人の中の誰か?」
吉原 「そうだ。分かるかな?」
吉田 「……うーん。…………まず源治さんと妻の喜代子さんは違うだろ。……それにお前が屋敷で出会ったメイドと明君も違う。……となると残るは、執事と料理人、それに明君の家庭教師か…」
吉原 「うむ。そしてここで思い出してほしいのが、明君が泣きながら言っていた“G”という言葉だ。実はこの“G”というのは、俺が“ある言葉”を聞き間違えたもので、本当は別の意味があったんだ」
吉田 「G?……別の意味?…………あ、そうか!……“爺”か!」
吉原 「そう。……“G”の本当の意味は“爺”……つまり、明君が自殺した猫田さんの事を、そう呼んでいたということは、…………もう分かっただろ?」
吉田 「ああ。自殺したのは執事の男だな」
吉原 「……………………」
吉田 「なんだよ、……違うのか? 爺といえば普通、執事だろ」
吉原 「執事と家庭教師は“若い男”だと言っただろ」
吉田「あっ、そっか。ってことは…」
吉原 「そう。……つまり今回の事件は、年寄りの“料理人が首吊り自殺をした”が、本当の正解だ。………………これぞまさに、“爺の悲劇”!」
吉田 「そういうオチかよ」




