ある休日 中編
先生が家で暇そうにする中、先生の初めての原稿を持って主人公は出版社に持ち込みに向かう。
「ありがとうございました、いただいた原稿はコピーを取った後保管しておきます。早速ですがカバーイラストなどはどうしますか」
……これは考えていなかったな、と思い返答に詰まる。先生からリクエストはなかったし自分もイラストレーターの知り合いはいない。
「あ、特にはないのでお任せします」
「そうですか、わかりました本が出来上がり次第ご連絡します。いやそれにしても驚きましたよ、今までどこの雑誌に載ったことがないなんて、期待の新人作家としてウチもプッシュさしてもらいます」
持ち込みは編集に原稿を見せるとすぐ打ち合わせに変わり打ち合わせは終始相手のペースで進んだ、興奮した様子で先生の作品が褒められるのは自分としても誇らしかったし、暗いことを考えもしたがあの人の元で頑張ろうと改めて思えた。今日は初めての持ち込みを記念してちょっといいものを食べたいという先生の注文もある、帰りにデパートにでも行こうかな。そんなことをビルの前で考えていた。
「あの、すみません私の小説を読んでもらってもいいですか」
突然後ろから声をかけられる、振り返るとそこには制服姿の女の子がいた。渡された封筒を受け取ると女の子もう歩き出していた。
「こんなところでなんですからどこかお店に入りましょう、よく行くところが近くにあるんです」
「ちょっと、未だいいとも言ってないんだけど。ていうか君誰」
「深草玲華15歳です、よろしくお願いします。では行きましょう」
なんとなく先生に似ているからなのか放って置けなかったのだと思う足早に歩く彼女に置いていかれないように、少し走った。
本当は前後編で終わる予定だったのですが、中編を入れる運びになりました、後編もできるだけ早く投稿するつもりです