第1話 入学式
この作品を読みたかった人、間違えて開いてしまった人、とりあえずこのページに来てくれてありがとうごさいます。
もしよろしければ、少しでも見てくれると幸いです。
私立風音高校と言えばおそらく日本中の誰もが知っているだろう。
どういう基準で選ばれているのか分からないが、その学校の生徒になった暁には将来は安泰確定だと言われている。
だが、その裏腹に悪い噂が流れていると聞くが、そんな悪い噂は良い噂によってかき消されていっている。
なんていったって学費なし、全寮制で夏休みや冬休みには家に帰ることが可能、部活動も盛んでほとんどの部活が優秀な成績を取っているという。だが、それ以外の情報はなにもないし、卒業した生徒もその学校について話すのは禁じられている。
だからネットでは頭が良い生徒やスポーツができる生徒が多く集められていて、何か特別な方法で生徒を洗脳しその学校の評価を下げない事もしているというような少し裏がある噂も流れている。
そして、そんな学校に俺......御上常夜は選ばれた。
俺自身頭も特別良くもなく、運動も可もなく不可もなくといった所で、何の取り柄もない人間だ。
そんな普通の人間がなぜ選ばれているのか、自室にある親から譲り受けたノートパソコンを使って調べていたが、何の情報も得られなかった。
このパソコンは古い物で検索結果が遅くて、それに少しイライラしていて余計に学校に行くのが嫌になった。
明日からは入学式だが、気が重くなかなかその日は寝付けることができなかった。
最悪だ......
俺が起床した時間はもう町のゴミ収集車の仕事が終わっているような時間で、入学式が始まる10分前だった。
この家から学校まで電車で行くため電車の時間は決まっているし、今日から学校に行って寮生活なのだから荷物もたくさんあり、色々と準備をしていない事に気がついた。
昨夜ネットで学校について調べていたのが痛かった。まさか寝坊するとは......しかも、入学式に!
入学早々遅刻するとは、不良のレッテルを貼られるかもしれない。ただでさえ、俺はあまり人付き合いが得意な方ではないから、友達作りに失敗したと今から思っても過言ではないだろう。
そんな落ち込んだ気分のまま俺は家から出ようとしたが、少し忘れていたことを思い出した。
仏壇の前に座り小さな声で呟いた。
「母さん...父さん...真里...俺頑張るから」
今は亡き母、父、妹に挨拶をしてから俺は家から飛び出した。
私立風音高校は今までネットの写真でしか見たことがなかったが、予想より何百倍もの大きさがあった。
後者は少し赤と白が混ざった鮮やかな色で、大きさは東京の1番でかいドーム何個分か数え切れないほどの大きさだ。
なぜならこの学校の中にたくさんの店があり、特別な事情がない限り学校から出られないため、何でも揃っている。
そして、俺1人しかこの場にいないが高校生活の第一歩を踏み出した!
学校内に入ると、玄関には1人の少し目つきが怖い女の先生が立っていた。
「おはようござ...」
俺はなるべく真面目な生徒で学校生活をやっていきたいと思っているから、元気よく挨拶をしようとした瞬間俺は頭を叩かれた
「おい、何分遅刻してるんだ!入学式がもう終わるぞ?」
そう言いながら、先生は少し怒ったまま自己紹介を始めた。
この先生は俺のクラス1-5の担任である千丈希と名乗った。
髪は少し赤っぽく染めていて、耳にはピアスをつけていて少し化粧臭い先生で、この学校は少し先生に対して規律が甘いのではないかと疑問に少し思いながら、先生に体育館に連れていかれた。
体育館のドアを開けると、一斉に俺の方へほとんどの人の目線が向けられた。
ものすごくきまずくて、少し頭を下げながら、自分の席であろう椅子に向かった。
「入学早々遅刻とは...あなた中々いい度胸してるのね」
喧嘩売ってんのか?と言いかけるが、何とか堪え隣に座っている人物を見た。
髪は長い黒髪でいかにも清楚という言葉が似合う女性だ。顔も整っていて、ハッキリ言ってタイプなんだが今の言葉から一気に愛情は消えて言った。
初対面の人にこんなこと言うか普通?
「俺は初対面の人にそんな口調で話しかけてくる方が、いい度胸してると思うけどな」
俺がそう嫌味のように呟くと、相手は目を丸くしたようにこちらを見ていた。
「あなた、名前は?」
そうすると、隣の女子が名前を尋ねてきた。
結構おしゃべりしているが、一応入学式の途中ではないのか?
今は生徒会長らしき人が壇上に上がって話をしている。
その生徒会長はメガネをかけていて、遠くからだが少し童顔で優しそうな雰囲気をだしていた。
だが、その優しそうな男の生徒会長は堅苦しい話をしていて、周りを見ていると何人かの生徒が首を呪いの人形のようにコクリコクリと動かしていた。いや、動いていた。
「あなた、聞いてるの?」
隣の女子が俺の首を相手に正面に向くように無理やり手で曲げてきた。
俺の首は今までに聞いたこともない音を出しながらバキバキと言い、ほんの数秒間話せなかった。
「お前、何すんだよ!」
「お前じゃない、私の名前は柊詩乃離よ」
いや、別に名前が聞きたいわけじゃないんだが...そう言いたいのを必死に堪えた。
多分今それを言ったらこいつに殺されるかもしれない。俺の野生の勘がそう言っている。まあ、俺は野生的じゃなく根暗だが。
「それで、なんか用か?」
「あなた忘れたの?私はあなたの名前を聞いたのよ」
あっ......完全に忘れてた。
俺は今来たばかりだから、少しばかり状況判断の時間をくれたっていいじゃないか!と言えない。
「俺の名前は御上常夜だ。まあ、覚えても覚えなくてもいいぞ」
俺は少し無愛想に相手に向かって言った。
すると、相手の目つきが変わっていた。
いや、目つきというより何か様子がおかしいことに気付いた。
俺の方を見たまま体が動いていない、瞬きしていない、腕を握っても抵抗してこない、頭を叩いても反応しない、胸を揉んでも...
「何するのよ、この変態」
胸を揉んだら思いっきりビンタされました。
でも、様子がおかしいのは本当だと思う。
何かこいつ俺のことを知っているのか?
頑なに俺の名前を聞いて来たりしてきたし、まあこいつの考えていることなんか俺にはわからないからどうでもいいか。
そう考えているうちに入学式は終わった