合間によぎる 2
「おはようございます。」
出社してデスクにつく。
何やら、騒がしい会社内に、首をかしげてると。
「おい、聞いたか?」
同期がわざわざ、騒ぎの内容を伝えてくる。
「今、来たばかりなんですが、何かありましたか?」
「こないだ中途採用で入った可愛い子いたじゃん?由依ちゃんって子なんだけど。」
朝礼の挨拶の際に、チラッと顔を見た程度で関わらなきゃ覚えてない。
「はぁ、いましたね。」
「その子が朝から出社してこないから、課長が電話したらさ。」
そこまでいって、周囲をうかがいながら、小声で続ける。
「目を覚まさないんだってさ。」
「……………はぁ。」
「なんだよ、反応わりぃな。さては、今噂の話を知らないのか?」
「チラッとしか知りませんが、夢に閉じ込められるってヤツですか?」
なんだ、しってんじゃん!と同期は隣の椅子に座る。
「課長が言うにはな、由依ちゃんの親が出て、精密検査受けるんだってよ。」
「まぁ、脳の病気でもなった、とかは。」
「それじゃ、面白くないだろー。」
そこに面白さを求めるって、アンタ最低だな。
ちょうど電話中だった課長が席を立ったので、同期は慌てて仕事に戻った。
そのまま、話は終わるかと思いきや、同期はボソッと呟いた。
「そういや、由依ちゃんって、神代女子高の出身、って言ってたなぁ。」
「……………何か、関係あるんですか。」
ふと気になるフレーズに、思わず反応する。
「ああ、聞いた話だからアレだけどな。」
「目を覚まさないって噂の子達、神代女子高出身なんだってさ。」