040話 森の中
久々の投稿です。
気が付いた人もいるかもしれませんが、旧40話まで削除して39話を一部修正しました。
学業が忙しい上にストーリー展開につまってまったく更新してませんでしたが、思い出したかのように投稿してみました。
これを読む前に前話を読むことをお勧めします。
ユフィは本人も薄々気づいているかもしれないが、有名人だ。
B級魔法使いの称号を持っている上に、実技授業中の試合とはいえ大型新人として名高いC級剣士のアランの斬撃を避けた超人として。
そんな彼女を会場内で知らない人はほぼいない。
そんな有名がバルコニーに出ていくのを気づかないふりして目で追っている人は少なくはない。
そんな有名人の彼女の背後に現れた人物に誰も気が付かないとその人物は思ったのだろうか。
その人物は彼女を背後から奇襲した。会場は一気にパニックになる。
その人物はチラリとわずかにこちらをみた。明らかに私を意識している。
その人物はユフィと一言二言話すと、そのまま魔法で火球を作りその爆発力でユフィを吹き飛ばした。
私はあまりのことに体が動かなかった。
怖いというわけではない、ただ急な出来事だったためだ。
わたしはそう言い聞かせる。
勇者と魔王の戦い、それは私にとって待ち焦がれてた戦いだった。
このファンタジーの世界に転移させられ、導かれるままに行動した結果私は勇者と呼ばれるようになった。
だが、たった一度導かれない行動した結果、少女一人の命を巻き込み、拭きとんだ。
勇者に必要以上に関係を持つということは、魔王に必要以上に警戒させる。ましてや少女には実力がある。魔王としては種のうちに殺しておくに越したことはない。
沢山殺しすぎると軍が魔界を責める、だから沢山は殺さない。だが、魔王がみすみす自分を絶つ可能性のあるものを見逃すはずがない。
私はただ、日本語を知っているという可能性があるという時点で彼女に自己紹介をしてしまった。自己紹介をする、それはすなわち面識をもつ、関係をもつということ。
うかつだった。
私は次々と会場内に侵入する魔物や魔族を次々と討っていく。今のところまだユフィ以外犠牲が出ていない。
実力がある何人かが、私とともに剣をふるっている。
その中にはユフィの姉弟もいる。
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私は意識がもうろうとする中、森をさまよっていた。
腹にはレイピアが刺さっていて、抜こうとしたら血がにじみ出てくるのでうかつに抜くことができない。
それでなくてもレイピアは私の魔力の流れをかき乱し、まともに魔法を使うことができない。
チャイナドレスは私からの魔力供給を断ち切られ、完全にただの服となり果てている。
この状況でも歩き続けるのは、森にはたいてい魔物が存在するからだ。
血を流し、ただでさえ魔物を引き寄せやすい状況。じっとしていては魔物にすぐ見つかってしまう。
魔法が使えない今、魔物に見つかることは即、死を意味する。
二、三分ほど歩くと、なにやら遺跡・・・というよりも崩れた小さな家々が見えてきた。
ここは過去は町だったのだろう。私は一番近くにあった家跡に入り、隠れた。
森の中をうろちょろするよりも、ここにいたほうが良いだろう。
私はじっとして落ちつき、気配を探って誰もいないことを確認した後、一気に腹に刺さったレイピアを抜いた。
「ああああ・・・・。」
あまりの痛みに思わず声が出る。
レイピアが抜けきった瞬間、傷口から血がどぶどぶと出てきて、それと同時に体に見だされていた魔力が元に戻る。魔力をチャイナドレスに通す。そして私はチャイナドレスを変化させて傷口を圧迫し、無理やり血を止める。
レイピアはその場に落ちてカランと音を立てる。
なんとかレイピアを体から抜き取ったが、あまりの出血に気が遠くなっていく。どうやら出血量が限界を突破したみたいだ。
ああ、二度目の人生もそれほど長くはなかった。さて、次は何に転生するのだろう。
こういう時ばかりは神を信じ、ねがってしまう。
私はゆっくりと意識のレベルが低くなっている。
(メッセージ、メッセージ、コアの生命力の低下を確認。生命維持のため強制介入を実行します。)
頭に直接流れてくる言葉を聞きながら私は意識を失った。
これからはなるべくサブタイトルを入れようと思います。