018話
今回は少グロイかもしれません。苦手な方は注意してください。
また今日も連続投稿です。
事故は突然に起きる。
それは前世でも経験した。
目の前見た、車同士が正面衝突瞬間は転生した今でも鮮明に思い出すことができる。
そして事件も突然に起こる、誰にも予想はできない。
私は高速帆船での旅を終え、使用人が船から荷物をおろし、荷馬車に積み込むのを待っていた。
日は半分が地平線に沈み、海が赤く染まる。
「きれいな夕焼けだな。」
弟の顔は夕焼けに照らされて赤いが、その表情は引き締まっている。
弟の師の口癖は「油断大敵」それが故、弟はいつでも気を抜かない。
「そうね、確かにきれいだわ。」
姉は大きく深呼吸をする。顔色が悪いのは船酔いしたからだろう。
私は目を閉じて、風を読む。
今は意識を集中しなければ風を読めないが、いずれは無意識にでも読めるようになりたいものだ。
自分を中心にして半径五メートルほど。
これが私が感じることができる範囲だ。あのじいさんは一体何メートル先まで読んでいたのだろう。
こんな平和は続くものではない。事件は突然に起こった。
風が何かに押された。その形は何か鋭いもの。
私はとっさに身を翻した。私の首があった位置に左腕腕が通る。右手には片手剣。
私はおそらく人質にされかけたのだろう。
そう認識した瞬間には地面から生えた何本もの鋼鉄のつららが襲ってきた者を串刺しにし、私は息を切らした。
魔法を使って息を切らしてのではない。
普段人間の体はある程度筋肉にリミッターをかけている。しかし、こういった生命の危機にはリミッターが外れ、不可能なほどの力を出すことができる。
私はそのおかげで人質にならずに済んだ。だが、それと代償に酸欠状態になったのだ。
私を襲ったのはどうやら強盗らしい。私が殺した強盗と同じ格好をした男がもうひとり、大きな袋をもって立ちすくんでる。
おそらく目の前で仲間が瞬殺されて、硬直状態なのだろう。
姉と弟はそのもうひとりの盗賊を拘束した。
衛兵がすぐに駆けつけた。どうやら盗賊二人はこの衛兵たちに見つかって逃げていたようだ。
そんなとき、子ども三人が目の前にいた。
姉は魔法使い、弟は剣士、私はチャイナ服。
誰を人質にとるかは明白。普通は非力な人間を人質にとりたがる。
わたしも、あの時風を読んでいなければ、あっさり捕まっただろう。
つまり、運が良かったのだ。
「これをやったのは君たちか。」
十三人の衛兵が駆けつけ、その中の一人が声をかけてきた。
「はい、そうです。」
姉は答える。
衛兵たちは言葉を失う。
夕焼けに照らされてさらに赤く見える串刺しの死体。そして恐怖で全身を震わせて地面にうずくまる男。
男の傍の大きな袋からは、大量に金貨や財宝がこぼれ落ちている。
血のにおいが立ち込めて、衛兵の一人が吐く。
衛兵は姉に名前と身分を聞く。
「事情は明日聞こう、今日はもう帰りなさい。」
私たちは馬車にもどる。
ちょうど荷馬車に荷物を積み終えた頃だった
ここから歩いて一時間ほどで引っ越し先の家だ。私たちは馬車にのり、目的地へと向かう。
読んでいただきありがとうございます。
あまりにも弟の出番が少ない、そこで少しだけ弟に出番をあげました。
ちなみに弟の名前はまだ決めていません。