013話
お調子者は連続投稿します。
調子に乗ってすいません。
温泉会後半です。相変わらずの色気のなさ。
氷でできた帆船のミニチュアを姉に手渡した。
「あなた、魔法水晶は持っている。」
「いいえ持っていません。」
姉は首を傾げる。
「では、杖は持っているの。」
「持っていません。」
「・・・ユフィ、いったいあなたはどうやって魔法を使っているの。」
「へ・・・。」
急にそんなことを言われても。
「いえ、普通に魔力をくみ上げて、体の中で循環させて、魔法に必要な量だけ体外に放出し、魔法をつかってます。」
「ちょっとまって、魔力を汲み上げるって、非活性状態の魔力を活性状態にするってことなの。」
「・・たぶん、汲み上げないと魔法が使えないので。」
「魔法水晶は。」
「・・・そもそも魔法水晶って何のために使うのですか。」
姉は驚きと呆れが混ざった顔をしている。
「はぁ・・・。」
ため息を漏らす姉
「魔法水晶というのは非活性状態の魔力を活性状態させてアイドリング状態に持っていくのに使うわ。魔法水晶は体内から体外へ、活性状態で魔法を放出させる。放出した活性状態の魔力は体の周辺をランダムに周回する、それがアイドリング状態。アイドリング状態の時、活性状態の魔力は著しい速度で活性が落ちていき、何もしなければ消えてなくなるわ。
魔法を使うとき、まず必要な魔力をアイドリング状態にする。そして呪文を唱えて属性を添加し、実行する。それが魔法の手順よ。」
知らなかった。初めて知った。
「では杖は・・・」
「杖には属性の印が刻まれていて、そこにアイドリング状態の魔力を流すことで呪文の詠唱時間を短縮するの。ちなみに魔方陣は複数の魔法使いで行うことができ、より大きな魔力を使うことができるの。」
なるほど、面倒だな。
「そういえば、あなた何の前触れなく魔法を使ったわね。」
「え・・はい。つねに待機状態を保ってますから。」
「待機状態ってもしかして、活性状態の魔力を体内で常に循環させているってことなの。」
「はい、大丈夫です。安心してください。普段は魔力を少しも漏らさないようにすべてコントロールしています。もう暴走は起こしません。」
「コントロールって・・・魔力のコントロールがどれだけ難しいか・・・いや、何でもないわ。もう何でもありね。」
氷でできた帆船の船底に穴が開き、一気にばらける。
「お姉さま、私は先に上がります。」
「そうね、私も上がるとするわ。それにもうひとつ、やりたいことがあるし。」
姉がやりたかったこと、それは私を着せ替え人形にすることだ。私は強制的に姉の服、魔法使いの格好をさせられた。
読んでいただきありがとうございます。
楽しんでいただけたら幸いです。