御題一 「あれ? ………俺の名前は?」
お久しぶりの方、お久しぶりです。
初めての方、龍門です。
作者は馬鹿です。言い訳を言うならば、これはアレ、実験的な感じなのよ。
他の作品は戦闘シーンばっかりで進まないから此所で日常を練習しようと思ったのよ!
………はい。スイマセン。
………この物語は有り得ない。そう思われる事が多々あります。
ギャグが殆どなので、ツッコまないで下さい。
はい。では、笑って下されば幸いです。
『私立四方木学園』
全校生徒数8124人。教師47名。
この御時世では大きいと、てか、確実にマンモス校に分類される高校。
何処から生徒を? 何処から教師を?
通称『ヨモ高』。
きっと、名付けた者は和菓子とかが好きだったのだろう。
餅とか。
この高校は人気が高い。その理由としては、
制服の改造自由。
頭髪の自由。
学校内への私物持ち込み自由。
喧嘩? 死なぬ程度に。
恋愛? 溺れぬ程度に。
ロリコン? 手を出さない程度に。
レズ? ゲイ? 迷惑かけない程度に。
などなど。
自由度が強い学校なのだが、偏差値は高い。
理由としては幾つもの説が存在しているが、有力な説は教師が怖い。らしい。
サボりでもしてしまえば、拳と蹴りが襲って来る。
その威力はバイクを盗んで走り出す者でさえも畏縮し、従ってしまう程。
「授業面倒だからサボってゲーセンでも行くか?」などと言う不良は皆無。
此所では、
「昼休みの時間を有意義に図書館で過ごすか?」だ。
………まぁ、嘘だが。
とまぁ、人気なのだ。
因みにだが、この高校でも数少ない「強制」と付く決まりがある。
必ず部活に入る事。
特別特殊な決まりではない。
良くあるモノだ。
更に因みにだが、この高校では部活や同窓会などと言うのが腐る程ある。
お馴染みの野球、サッカー、バスケ、陸上、水泳、吹奏楽、空手、ボクシング………などなど。お馴染みでも挙げれば結構な数だ。
馴染みの無いモノでも、アイスホッケー、フットサル、合気道、テコンドー………一度は聞いた事が在ると思う。
だが、名前を聞いてもそれが球技なのか格闘技なのか、はたまた文系すらも解らない部活や同窓会が存在している。
こんなの誰がやる? なんてものは探せば幾らでも見つかる。
そんな中でも、マイナーを通り越し勝手に造り上げられたモノ。
名前を聞いただけでは「は?」な部活動。いや、倶楽部。………同じか?
その名も、『御題倶楽部』。
………は?
うん。解るよそのリアクション。
実際に皆そんな感じだ。
だが! この倶楽部をそんじょそこらの倶楽部と一緒にしてはいけない。
在校生と教師の間でこの倶楽部を知らない者は存在しないと言っても過言ではない!
さてさて、まずは『御題倶楽部』の説明をしよう。
『御題倶楽部』はその名の通り、出されたお題に「自分らしい答え」又は「皆が共感出来る答え」を出す倶楽部。
お題は何でもアリ。
好きな食べ物は?
好きな異性の服装は?
嫌いな食べ物は?
嫌いな異性の服装は?
何フェチ?
二の腕とうなじどっちが良い?
巨乳派?貧乳派?
一番有名な名言は?
一番有名な拷問器具は?
一番有名な罵倒の仕方は?
住むなら都会?田舎?
温暖化って止める事が出来ると思う?
鯨ってさ、有ったら食べる?
彼氏が出来ません。どうすれば?
彼女が別れを切り出しました。どうすれば?
不良にカツアゲされました。どうすれば?
親が離婚しそうです。どうすれば?
十歳以下の女の子に興奮します。これは病気ですか?
五十歳以上の女の人に興奮します。これって病気ですか?
踏まれたいです。これって病気ですか?
ツンデレとヤンデレ、どっちらも良いですかクーデレも良いですよね。どうですか?
長さですかね? それとも硬さ? それとも太さですか?
大きさですか? 柔らかさですか? 張りですか? 矢張り感度ですか?
などなどだ。
まぁ、後半はかなり偏った感じになってしまったと言うか、完全なお悩みコーナーだ。それはさておき、この挙げた例を見て解る通り、出されるお題、出されたお題に決まりは無い。
この出されたお題に『御題倶楽部』の面々は自分らしさや皆が納得する答えを出す。
ぶっちゃければ自己満足な部活動。
では、何故そんな部が公認され、しかも皆知る部なのか?
それはメンツ、影響力で有名になったのだ。
まずはメンツだ。
それは男。倶楽部内では部長兼情報収集係。
情報収集能力に長け、どんな些細な情報も知る男。
それは女。倶楽部内では副部長兼人員確保係。
容姿端麗才色兼備。やる事なす事全てに成功が纏わり付く女。
それは女。倶楽部内では受付係。
微笑む姿は癒しを運ぶこれまた容姿端麗。平等な精神を持つ女。
それは男。倶楽部内では食料調達係。
巨躯な身体に似合う角刈り。無口で強面な勘違いされ易い食材馬鹿な男。
それは女。倶楽部内ではメイド兼障害処理係。
メイドとは名ばかりの振るうは血塗れモップ。金髪が似合う女。
それは男。倶楽部内では判断係。
運動神経抜群。彼の右に出られるのは歴代の金メダリストぐらいな男。
この六名は、良くも悪くも校内に名を轟かす程に知名度がある。
彼等が何かすれば、それは何かの前触れ。
良く集めたなと感心してしまう程の有名所。
そして次に影響力。
『御題倶楽部』の出した答え。これの影響は凄まじい。
何故ならば、この倶楽部の発言が学校行事に影響するからだ。
倶楽部内で答えが出た。
「旅行はドイツでベルリンの壁だよね」と。
その年の修学旅行はドイツへ。
倶楽部内で答えが出た。
「大掃除はもっとあっても良いと思う」と。
その年は週に一回大掃除があった。
倶楽部内で答えが出た。
「体育祭とかはやっぱり罰が無いと燃えない」と。
その年の体育祭には負けたらハゲとなった。
などなど。
ふと思っただろう。「何故、言った事が実行されるのか?」と。
それは謎だ。何かしらの圧力か? それとも何かしらの思惑が?
と、言ってはみたが理由は理事長の「面白そう」と言う鶴の一声で決まるだけ。
『御題倶楽部』は理事長を味方に付けている。
これだけでも十分に宣伝&脅威。
その為に広まる、広まる。
噂に尾ひれが付くのは良くある事。
だが、この倶楽部だけは付けた様な尾ひれでもそれが事実なのだ。
さて、少し長くなったか?
さてさて、此所からが問題だ。いや、此方からのお題だ。
そんな有名所が集う倶楽部に、特に長所も短所も無く目立たない普通な奴が入ったらどうなる?
どうなると思う?
………きっと皆が納得する答えは、面白くなるだろう。
そう。きっと面白い筈だ。
何故なら彼は、ツッコミが上手いからね!!
「ツッコミだけかよッ!!」
ブラインドの隙間から差す陽の光。
微かに聞こえる車のエンジン音。
おはようございます。
その挨拶が飛び交う時間。つまりは朝だ。
そんな清々しい朝に、起きていきなり叫ぶ青年。
灰色のスエットに身を包み、白と黒でシックに統一された結構良い部屋で寝ている青年。
寝癖か、それとも起きて直ぐの無造作ヘアか。………後者は無いか。そんなボサボサの黒髪。瞳の色が赤とかそんなのはない。普通の黒。
外人が見たらアジア系の人と直ぐ解り、日本人が見れば同じ国の人間だと解る容姿。
イケメンではない。不細工でもない。普通。
ある意味普通って想像出来ないよね。まぁ、見る人によっては格好良くも地味にもなる諸刃の顔を持つ男だよ。
「諸刃の顔って何だよ!! そこは刃だろ!? 産まれてからこの日まで俺はこの顔を誇りに思ってますけどぉぉぉ!!? ………って、俺は何にツッコミを?」
ツッコミに誇りを持っている者が辿り着くと言われる境地! 無我のき―――………これ以上は言ってはダメな気がする。
とまぁ、おふざけはさておき、今起きた彼。
彼がこの物語の主人公。
名前は………いや、此所は出さないで行こう。
オチだし。
起きて直ぐに大声を出せる彼は低血圧ではないだろう。
顔色良し! 喉の調子良し! ツッコミ良し!
今日の彼は絶好調!!
「………今もの凄く嫌な感じがする」
欠伸を一つ。そして枕元に置いてある携帯に手を伸ばす。
黒のスライド式の携帯。良いヤツだね。
「………6時か………寝れな、いな」
朝から独り言の多い子だ。
彼は頭をボリボリと掻き、ベッドから起き上がりまた欠伸を一つ。
間抜けた表情でまずは軽く背筋を伸ばす。ボキッ! と骨が鳴る。
すると、
「ナウッ! ナウッ! ナウッ!!」
扉の向こうから何かの声が聞こえる。
何とも奇妙な声。
カリカリカリカリ、と扉を爪で擦る音。
人………ではなく犬か猫だろう。
だが、犬と猫は「ナウ」と鳴くか?
「ナウイィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!」
雄叫びを上げる扉の向こうに居るであろう未確認生命体。
ナウイって………。
青年は頭を掻き、扉のドアノブを握り扉を引いた。
そしてそのまま目線を下に。
「ケルベロス………その鳴き声はどうにかならないか?」
扉の向こうに居たのは犬。
パグだろう。白と黒のブッサイクな犬。だがそこが可愛らしい。
のだが、
「ヘヘヘッ!! ナウッ! ナウッ!! フウッフゥゥゥゥッッ!!!」
涎塗れの口で嬉しそうにその場をクルクル回るケルベロス。
………ブッサイクだ。
てか、フウッフゥゥゥゥッッ!!! って………。
「………お前は本当に犬から逸脱してるな」
青年はケルベロスを抱き上げようとするが、涎塗れの口を見て止める。
「………クゥ~ン」
何とも切ない声。
どうやらケルベロスは抱き上げられるのをご所望の様で。
だが、抱き上げれば舐められる。涎塗れになる。臭い。
「無理!!」
「ナウイィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!」
何が?
「シンポ! タンポ! インポ!! インポォォォォォ!!!」
何処からともなく下ネタを叫ぶ声が。
そしてバサバサと何かが風を切る音。
「インポ言うなインポ!! それは禁止だって言っただろ!!」
「ヌスミマシタ………アナタノココロデス」
三世を追い続ける警部の名台詞。
その声の主はケルベロスの背中の上に止まった。
青色の鳥。多分だがインコだろう。
「………ジャターユ。とっつぁんの台詞を中途半端に言うのは止めなさい」
ジャターユと呼ばれたインコは首を傾げる。
「オマエノモノハオレノモノ。オレノモノハダレノモノ?」
「音痴なガキ大将の名台詞を中途半端に間違えないの」
溜息を一つ。
既に疲れたのか少し重い足取りで階段へ向かう。
その後ろで。
「ナウイィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!」
「チョベリバ! チョベリバ! チョベリバ!!」
「古いんだよッッ!!!」
彼の1日はこうして始まる。
とまぁ、言ってはみたが視点は変わらない。
「オイッ! 何だよその思わせぶり!?」
椅子に座り、トースト片手に天井へ向かって叫ぶ彼。
「ナウッ! ナウッ!」
自分の尻尾を追いかけてクルクル回るケルベロス。
「ワラエバイイト………オモウヨ?」
ソファーの上で羽を広げるジャターユ。某使徒戦う少年の名台詞。何故この鳥はこんなにアニメの名台詞を知っている?
「何で疑問形? そこはハッキリ言おうよ」
トーストにマーガリンを塗りながらも律儀に鳥にツッコミを入れる彼は、きっとツッコミ星の王子かなんかなんだろう。きっと。
「ツッコミ星って何!? 王子じゃねぇしッ! 俺を捏造するなよッ!!」
………今日彼は喉を潰すつもりなのか?
まだ1日は始まったばっかりだぞ!
「ニチジョウヲタノシミタマエ」
「ウザイぞッ!! 俺はそれをお前に読ませた事ないぞッ! 何で知っている!? 折原の台詞を何故知っている!?」
「セイロンハヒトヲキズツケル。ケル?」
「中途半端ッ!! 最後まで言おうよ! 「ケル」に何が引っかかる!? てか、そこだけだったら誰の台詞か解らないだろ!?」
先程からインコの枠を超え、言語が豊富。
誰が仕込んだのか。そして、どうしてそんなに覚える事が出来るのか。
「ウグゥゥゥゥ………」
テーブルの下で餌が盛られていた皿を咥え、首を振り、まるで今から投げますよ。みたいな体勢を取るケルベロス。
「イカナルトキモ、ヨソウガイノコトハオコルモノ」
「………何が言いたい?」
「グフンッ! グフンッ!!」
鼻から空気を凄まじく噴き出し、何を狙っているのか何度も振っている。
「………インポッ! インポッ!! ×××××××××××ッッ!!!」
「オォォイ!! 自主規制になっちまってるよッ!! 誰!? コイツに自主規制しちゃう程の言葉を教えたの誰ッ!!」
「………」
ケルベロスは投げる体勢を保ったまま、視線だけをジャターユに向けている。
その視線を受け、これまた器用に頷くジャターユ。
「………ネダルナ、カチトレ、サスレバアタエラレン」
「………何を言いたいんだ?」
トーストを口に含め、マグカップを持ち、首を傾げる。
端から見れば鳥と会話する変人なのだが。不思議と会話と言うか、言葉が飛び交うのだから何とも言えない。
「………×××××××××××ッッ!!!」
「またかよッ!! 二度目はねぇぞッ!」
ジャターユを捕まえようと勢い良く立ち上がり、それと同時に椅子が後ろへ倒れて行く。
そして、テーブルの下では首を振りかぶり若干血走った眼で、投げるモーションに入っていた。
まるでスローモーション。
彼が立ち上がり、ジャターユは羽をばたつかせ、ケルベロスの口から皿が離れた。
「誰だ!? お前にそんな下を教えた奴は!! 姉さんかッ!? それとも並木かッ!?」
「タタカッテイルノハ、キミヒトリジャナイ」
「ナウッ! ナウィィィィィィィィィッッ!!」
皿はゆっくりと回転し、弧を描くかの如く綺麗に飛ぶ。
当然その後は、
パリィィィィィィィンッ!!!
「!!?」
「インポッ!! インポッ!!!」
「ナウッィィィィィィィィィッッ!!!」
綺麗に飛んだ皿は食器棚に当たり、綺麗に割れ、音が響く。
割れる音と同時に、二匹は喜びを分かち合うかの様にその場で叫び合っている。
「なっ!? 何やらかしてるの!? てか、どうやって飛ばした!?」
割れた皿を見て、直ぐさま二匹を睨み付けようと首を回すが、
「ナウィィィィィィィィィッッ!!」
「セイケイ、タイケイ、ホウケイッッ!!」
既にリビングに姿は無く、二階から声が響くだけ。
「………待てゴラァ!」
犬と鳥に振り回されている彼が、この作品の主人公です。
ナウィィィィィィィィィッッ!!
ナウッ!ナウッ!ナウィィィィィィィィィッッ!!
かなり登場漫画、アニメ台詞達。
作者本人も元を忘れると言うまさか。
インコはこんなに喋るのかな?解らない。鳥、嫌いだから。
まだ学園行ってないよね。
説明はしたけど。てか、主人公の名前すら出ていない。
まぁ、ゆっくり更新していくので、また笑ってくれたら嬉しいです
ナウィィィィィィィィィッッ!!