#21 二階掃除と炊飯器
昼食を食べ終えたカスミは、昨日約束していた事もあり、フィオと一緒に部屋掃除を行なっていた。
フィオの部屋には何に使うか分からない魔道具が沢山あって、とりあえずそれを要るものと要らないものに分別していく。
「フィオさん、これ要ります?」
「ん〜……」
だが、フィオは割と優柔不断で、もしかしたら要るかもなと一つ一つ悩むので、中々作業が進まなかった。
「ちなみに、これなんですか?」
「真ん中にあるボタン押してみて〜……」
「はい…… わっ!?」
カスミが手に持っていた小さな箱の上部にあるボタンを押すと、びよーんと中から箱のサイズと釣り合っていない、かなり大きなぬいぐるみのようなものが飛び出してきた。
「異次元びっくり箱〜……」
「び、びっくりしました……」
「面白いでしょ〜……」
「面白い…… ですけど、要りますかこれ……?」
「ん〜、カスミちゃんを驚かせられたし、もう使わないかも〜……」
「じゃあ、こっちですね」
魔道具を大して触った事がないカスミは、どの魔道具も触ってて面白かったが、先程のびっくり箱のように必要なさそうなものも結構あった。
なので、それらは要らないもの袋に分別しておく。
なお、一応魔道具に使われた機構を再利用できるものもあるので、即ゴミ箱行きはしない。
それでも、その辺に散らばっていた魔道具をひとまとめにするだけで、部屋はかなり綺麗に見えるようになった。
「お〜、綺麗になった〜……」
「あとは掃除機かけて雑巾掛けですね」
「そこまでやってくれるの〜……?」
「折角ですからね」
「カスミちゃんは偉いね〜…… じゃあ、掃除機やってくれれば良いよ〜…… 拭き掃除は私がするから〜……」
フィオにそう言われたので、カスミは掃除機をかけて魔道具の細かい破片などを吸い込んでいく。
すると、その後ろをついていくように、濡れ雑巾と乾いた雑巾がひとりでに床を掃除し始めた。
「ちゃんと拭かないとね〜……」
「わぁ、すごいですねっ」
もちろんそれをやっているのはフィオだ。
「どうやってやってるんですか、それ?」
「魔力を手の形に固めて動かす感じ〜……」
「難しそうですね……」
「カスミちゃんも練習すれば5年後くらいにはできるよ〜……」
魔法を少し学んだカスミなので、フィオがかなり凄い事をやっているんだなという事くらいは理解できた。
自分ではできる気がしないが。
「こんな事もできるよ〜……」
「わぁっ……!?」
それからフィオは、魔力で出来た手を可視化できるように薄紫色にしつつ、カスミの事を掴んで宙に浮かせた。
「たかいたか〜い〜……」
「お、降ろしてくださいぃ〜!」
「高いところ苦手〜……?」
「に、苦手って程でもないですけど、そわそわしますぅ……」
「そっか〜……」
そんな風にわちゃわちゃしたりしつつ、カスミとフィオは掃除を続け、ついでに他のメンバー達の部屋も掃除していった。
他のメンバー達の部屋は割と綺麗というか、あんまり物が置いてなかったので、そこまで掃除に時間はかからなかった。
(娯楽…… テレビとかパソコンとかないから、部屋にあんまり置くものも無いんだろうな)
カスミは内心でそんな事を思いつつ、掃除が終わったらフィオと一緒にリビングのソファで、今朝約束していたお昼寝をするのであった。
*
「カースーミーちゃんっ!」
フィオと2時間くらいお昼寝をし、魔法の練習や調味料の作り方をまとめたりなどしていたら、あっという間に時間は経ち、そろそろ夕食作りを始めようかというタイミング。
そんな時に、レネが何か大きなものを抱えてカスミのところにやってきた。
「はいこれ! 炊飯器、だっけ? 作ってきたよ!」
「えっ、もうですかっ?」
なんと、今日の午前中くらいに話していた炊飯器をもう完成させたらしい。
形状はカスミの前世で言うところの業務用炊飯器のような、ちょっとゴツい形と大きさしており、かなり重そうだがレネは楽々それをキッチンの空きスペースに運んでくれた。
「ライスちょっともらって試してみたけど、ちゃんとできてると思う!」
「こんなに早く作れるなんて、凄いですね?」
「ふふん、ドワーフは物作りにおいては誰にも負けないからねっ!」
「ありがとうございます、レネさん。 とっても嬉しいです」
「その嬉しそうな顔が見れただけで、作った甲斐があるよー!」
レネはそう言いながら、嬉しそうにカスミの事を抱きしめてきた。
それからしばし、レネに抱きしめられながら感謝を沢山伝えた後、カスミは早速炊飯器にライスを10合くらい入れ、その量に合った水を注いでから、炊飯開始のスイッチを入れた。
「あ、カスミちゃん、こっちも押してみて!」
「えっと、これですね。 分かりました」
カスミがレネに言われた通り、炊飯開始のスイッチの横にあった別のスイッチを押すと、炊飯器の排気口から一気に湯気が大量に出てきた。
「わっ、すごいっ」
「フィオに協力してもらって、中の時間が大体10倍くらいの速さで進む機能を付けてみたよ!」
「それはすごく便利ですっ!」
昨今の地球にあった炊飯器も、早炊きモードみたいなものがあったが、それでも大体3〜40分くらい炊飯にはかかってしまうものだ。
しかし、なんとこの炊飯器は5分くらいでライスを炊くことができるとのこと。
これで炊飯器の唯一と言っていいくらいのデメリットであった、時間がかかるという問題も解決されてしまった。
「でもまぁ、この機能はフィオレベルの魔法使いがいないと付けれないから、もしライスの需要が上がって、炊飯器を売ろうってなったら、この機能は無しかな。 貴族とかに売るための最高級品として付けるくらい?」
「ライス、この世界の皆さんにも広まると良いんですけどね」
「カスミちゃんの料理が広まれば絶対広まるよ! だから、炊飯器の設計図も商業ギルドに登録しないとね」
「そういえば、クリスタさんが前に言っていた商人の方が、明後日くらいに来るそうです」
「お、流石にできる商人は話が早いね」
カスミの料理を商業ギルドに登録するにあたって、既に色々とクリスタに相談をしたのだが、まずクリスタが紹介してくれる商人に、登録しようと思っているものを一通り見せてみるという話になっている。
というのも、商業ギルドも一枚岩ではなく、信頼できるギルドだったり、担当者だったりと当たれるかは普通の窓口を通すと運次第な所もあるらしい。
そのため、先に商業ギルドにも顔が利く大商人だというクリスタの知り合いの商人に後ろ盾になってもらい、その商人を通して商業ギルドに登録すれば、考案者であるカスミを表に出さずに、確実に登録ができるという寸法だ。
カスミも、変に目立ち過ぎたりしてしまうと、自分もそうだしクリスタ達の平穏も脅かしてしまいかねないのは、自分の料理を食べたクリスタ達の反応からして理解していた。
(クリスタさん達曰く、私の料理は貴族でも食べられないくらい美味しいから、貴族、果ては王族に目をつけられるのは確実らしい……)
(貴族や王族からの呼び出しは高位の冒険者であるクリスタさん達でも断りにくいものもあるから、もう一つくらい後ろ盾が欲しいって感じで腕の良い商人さんを紹介してもらうことになったけど…… なんか、思ってたより話大きくなってきたなぁ……)
ただ、カスミもこの世界の食文化を発達させるためには、貴族や王族との関わりが必要不可欠である事は何となく理解しているので、変な偉い人に目をつけられませんようにと、心の中で願うのであった。
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