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#20 神との話

「それで、カスミちゃん。 こいつどうしたい?」



 チェアリィがそう聞きながら指を指したのは、足下で転がる地球を担当する神、ザンゴン。



「どう、とは?」


「カスミちゃんはこいつのせいで危うく魂が消滅してしまうかもしれなかったの。 魂の消滅は輪廻から外れ、2度とどの世界にも転生できなくなってしまう、大変な事でね」


「そうなんですね……」


「何度転生しても罪を犯したりする汚れた魂くらいしか消滅させる事は許されてなくて、カスミちゃんは神が認めるくらい綺麗な魂を持つのに、こいつは過失でそれを傷付けた。 こっちからすると、神格の剥奪をしても良いくらいなんだけど、被害者であるカスミちゃんに裁量は任せるわ」


「う、うーん……」


(そう言われても、他人を裁くなんて事した事ないしなぁ……)


「ご、ご容赦を…… もう2度とこのような事はしませんからぁ……」



 カスミが悩んでいると、当のザンゴンがカスミに懇願してきた。



「聞かなくて良いわよ、カスミちゃん。 こいつね、最高神の第24子っていう立場があるからこの地位に付けてるだけで、能力も無ければやる気もない。 最高神様は子供を大切にされる方だけど、流石に今回の事は見逃せないって言ってたから、どんな処罰も受け入れるそうよ」


「そ、そうなんですね……」


(親の七光ってやつ、神様の世界にもあるんだぁ……)



 そんな事を思いながら、カスミはどうしようかを考えた。



「うーん…… そうしたら、今回は特にお咎めなしで良いですよ」


「えっ、本当に? 碌でもないやつよ、こいつ?」



 カスミの言葉に、怪訝そうな顔を浮かべるチェアリィ。

 


「誰しもミスはあるものですから。 それに、結果的に私はとても良い出合いに恵まれましたし、ザンゴンさんを恨む気持ちはあんまり無いです」


「あ、ありがとう……!」


「ただし、次に怠慢で何か大きなミスを犯したら、その時はそちらで今回の私の件も含めた厳正な処罰を受けてください。 地球は私の生まれ故郷なので、大切に管理してくださいね」


「わ、分かった……! 約束する……!」



 表情は笑顔だが、なんとも言わせないカスミの圧のある言葉に、ザンゴンはコクコクと必死に頷いた。



「まぁ、カスミちゃんがそれで良いなら良いけど…… ちゃんとやりなさいよ、ザンゴン。 次何かやらかしたら、神格の剥奪は確実だと思いなさい」


「は、はいっ……!」



 チェアリィにも釘を刺されたザンゴンは、中々に体格の良い体を萎ませながら返事をした。



「それじゃあ、この話はこれでおしまいね。 カスミちゃんもそろそろ帰りたいでしょうし」


「そうですね…… 結構時間経っちゃってますし」


「ああ、それは大丈夫。 カスミちゃんが祈りを捧げてから5分くらいの時間に戻してあげるから」


「それは助かりますっ」


「あ、そういえば、カスミちゃん何か新しい力とか欲しくない?」



 チェアリィはおもむろにそんな事を聞いてきた。

 


「新しい力、ですか?」


「そう。 今カスミちゃんが持ってるスキルは、ザンゴンが適当に付けたやつだから使い勝手悪いでしょ?」


「そんな事、ないですよ?」


「魔力とか使わずに何でも出せるようにもできるし、何なら他にも凄い魔法が使える力とかもあげれるわよ?」


「うーん…… 魅力的ですけど、今のままで大丈夫ですっ」



 カスミはチェアリィにそう答える。


 

「本当?」


「あんまり完璧過ぎても、つまらないかなって。 正直、今の調味料とか色々出せる力だけでも貰い過ぎな気もしますから、新しい力とかは大丈夫です」


「カスミちゃんは謙虚ねー。 そうしたら、何か困った事とか、やっぱり新しい力とか欲しくなったら教会に来て、またこうして祈りを捧げてくれればいつでも応えるわ」


「分かりましたっ。 あ、それと、私が異世界出身だって事って言わない方がいいですかね……?」



 これはカスミがずっと悩んでいた事だ。


 命を救ってくれたビフレストの面々に隠し事はしたくなかったのだが、異世界出身と言って、もし気味悪がられたりしたらと思うと、怖くて言い出せなかったのだ。



「んー、あんまり広めるのは良くないけど、信頼できる人になら言っていいわよ」


「本当ですかっ?」


「ええ。 この世界の賢い子は、別世界の存在も観測してたりするし」


「ありがとうございますっ」



 再びカスミはチェアリィに礼を言って、頭を下げた。

 


「別に大した用事が無くても、いつでも来てくれて良いからね。 神界は割と暇だから、話し相手になってくれると嬉しいわ」


「じゃあ、定期的に来させてもらいますっ」


「ええ、楽しみにしてるわ」


「あ、あの、カスミ、ありがとう……! もう2度とこんな事は起こさないから……!」


「はい、ザンゴン様もお元気で」



 そうしてチェアリィとザンゴンに別れの挨拶をし、2人に手を振って見送られると、カスミの意識は徐々に薄れていった。




 *




 カスミが目を開けると、目の前には女神像があり、元々いた教会へと戻ってきた事を察した。



(女神像、こう見ると結構チェアリィ様に似てるな)



 それからカスミは心の中で、この世界に来れて良かったですと、改めてチェアリィに伝え、お辞儀をしてから踵を返した。



「あ、終わったにゃ?」


「はい、お待たせしました」



 カスミが祈っている間、ローニャとアネッタは長椅子に座って見守っていてくれたようだ。


 

「待ってはにゃいけど、5分もよく祈ってられるにゃー」


「随分熱心に祈ってたな?」



 どうやら、チェアリィの言っていた通り、カスミが祈り始めてから5分くらいしか経っていないようだった。



「なに祈ってたにゃ?」


「そうですね…… これからも皆さんと一緒にいたいなって」


「はっ、可愛い事言うじゃねーか」


「わざわざ祈らなくても、ずっと一緒にゃ!」


「ふふ、ありがとうございます」



 そんな会話をしつつ、カスミ達は教会を後にし、仲良く家へと帰るのであった。




 *




「レネさん、ちょっと良いですか?」


「お、どったのー?」



 買い物などを済ませて家へと帰ってきたカスミは、レネに声をかけた。



「ちょっとスキルを使って出したいものがあるんですけど、構造がちょっと複雑なので、見守ってて欲しくて」


「全然良いけど、どんなもの出すの?」


「私の故郷にあった、ライスを炊く道具を出したくて」



 昨日のフルメンバーでの夕食の際、土鍋一つじゃライスが足りなくなってしまった事もあって、カスミは炊飯器が欲しいなと思った。


 なので、スキルを使って出そうと思ったのだが、炊飯器程の大きくて構造が複雑なものは出したことがないため、レネに見守ってもらいながらスキルを使う事にする。



「結構大きかったりするの?」


「そうですね。 大きいし、構造もまぁまぁ複雑です」


「んー、カスミちゃんのスキルって、生み出す時に使う分の魔力がごっそりなくなるから、ちょっと怖いんだよねー」


「確かにそうですね……」



 魔力をちょこちょこ使いながら調節できれば、魔力が無くなりそうでも止めれば良いのだが、カスミのスキル、デメテルは一度発動してしまうと止めようがないのだ。



「あ、そうしたら、一回小さめのやつを出してみます。 それで様子見てみるのはどうでしょう?」


「確かにそれなら良いかもね!」



 炊飯器にも色々あって、家庭用の沢山一度に炊けるものから、一人暮らし用の小型なものだってある。


 何を隠そう、カスミも一人暮らしだったので、小型の炊飯器が家にあった。


 なので、まずはお試しでそれを出してみる事にする。



「いきますっ」



 レネも納得したので、早速カスミは小型炊飯器をデメテルのスキルで出したいと念じてみた。



 ――ポンっ

 


 すると、小気味いい音と共に、テーブルの上に小型の炊飯器が出現した。



「うっ……」


「あっ、カスミちゃん、大丈夫!?」



 だが、それと同時にカスミの体に中々の虚脱感が襲いかかった。



「だ、大丈夫です…… ふぅ…… 一瞬フラッとしましたけど……」


「結構魔力使っちゃった?」


「そうですね…… 大体7割くらい使った気がします」


「小さいのにしてよかったね。 大きいの出してたら、一気に魔力切れ起こしちゃってたかも」


(7割でこれくらいウッってなるなら、無くなっちゃったらかなり危ないんだろうなぁ…… 改めて気をつけないと)



 少し冷や汗もかいたが、とりあえず目的の炊飯器は出せた。


 ただ、このサイズだと、良くて1.5合分のライスが炊けるかどうかなので、正直あんまり戦力にはならないだろうし、何より家電を動かすためのコンセントがこちらの世界にはない。



「出せたのは良いですけど、使えないですね……」


「そうなの?」


「はい。 これを動かすには電力…… あー、雷の力みたいなのが必要で」


「へー、面白いね? んー、じゃあ、使えないなら私がもらっていい?」



 レネは炊飯器をツンツンしながらそう聞いてきた。



「良いですけど、何に使うんですか?」


「見た感じ、そこまで複雑過ぎる訳でもないから、解体して造りを確かめたら、使える形で再現できるかも!」


「本当ですか?」


「うん! だから、使い方教えて?」



 レネにそう言われたカスミは、炊飯器の知ってる限りの構造と使い方をレネに教えた。



「ふんふん、水を入れて効率よくライスに水を吸わせるように、ね…… 分かった! とりあえず同じようなもの作ってみるよ!」


「ありがとうございます、レネさん!」


「いーえー! 見た事ない造りだからバラすのも楽しそうだし、新しい物作れるのも楽しみだし、出来たらカスミちゃんが美味しいもの作ってくれるから、一石三鳥だね!」


「ふふ、そうですね」



 それからレネは、やる気が湧いてきたようで、炊飯器を持って地下の工房へと向かった。


 カスミはそれを見送りつつ、昼食の用意をしていくのであった。

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