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#17 オーク肉の角煮

「ただいまにゃ〜!」



 時刻は19時前頃。


 夕食の準備をカスミがしていたタイミングで、ローニャが帰ってきた。


 その表情はやけに明るく、カスミが出迎えると嬉しそうに抱きついてきた。



「カスミ、ただいまにゃー!」


「お、お帰りなさいローニャさん。 ご機嫌ですね?」


「今日は勝ったのにゃ!」


「勝った…… ああ、ギャンブルですか?」


「そうにゃ!」



 どうやらハイテンションの理由は賭場で上手くいったからのようだ。



「へぇ、お前が勝つなんて珍しいな」



 そんなローニャに、アネッタがちょっと馬鹿にしているかのような声色で声をかけた。


 

「お、アネッタにゃ! 帰ってきたのにゃ!」


「ああ」


「むふふー、本当はさらに倍にしようかと思ってたけど、カスミのご飯が食べたくて帰ってきたにゃ!」


「なら勝ったのはカスミのおかげだな。 続きやってたら絶対負けて帰ってきてただろ」


「いーや、今日はツイてたにゃ! もっと勝とうと思えば勝てたにゃ!」


「はっ、どうだかね。 ちなみにお前が食べなかった昼飯、めちゃくちゃ美味かったぞ」


「うっ……!? そ、それは素直に羨ましいにゃ…… でも、晩ご飯は沢山食べるにゃ!」


「ふふ、分かりました。 もう下拵えも済んでるので、もうすぐできますよ」



 そんなカスミの言葉を受けたローニャは、ウキウキな様子で風呂に向かったので、その間にカスミは夕食の仕上げをしていく。


 既にメインの料理はほぼ出来上がっているので、副菜として今日はほうれん草のおひたしを作っていく。


 まずはほうれん草の根本を切って、しっかり水で洗ったら、塩を入れた熱湯でさっと湯がいて火を通す。


 それが済んだら冷水に取り、粗熱が取れたら絞るようにして水を切り、ざっくりと一口サイズに切る。


 さらに切った後にもしっかりと水気を切って、仕上がりが水っぽくならないようにしたら、皿に盛ってスキルで出した白だしを少しかけて完成だ。


 あとは主食としてライスをお椀に盛り、今日はネギを具材にした味噌汁をその横に添える。


 そして、今日のメインである料理を煮込んでいた鍋も開けていく。


 その中には、テラテラと光沢を放つオークのブロック肉とゆで卵が入っていた。


 どちらもしっかりと醤油ベースのタレが染み込んだ見た目をしており、蓋をしていた事で閉じ込められていた良い匂いが辺りに広がっていく。



「おお、美味そうな匂いだ」


「良い匂いするにゃー!」



 その匂いには、カウンター席にいたアネッタと、風呂から上がってまだ髪を湿らせているローニャも反応し、早く食べたいのか盛り付けたものを率先してテーブルに運んでくれた。



「今日のメインはオーク肉の角煮です」



 料理運び終えて住人達が全員席に座ったら、カスミが今日の料理の説明を始めた。

 


「随分前から煮込んでいたみたいだな?」



 クリスタの言う通り、この角煮を作るために、1時間くらい前からブロック肉を煮込んでいた。



「1時間も煮込むにゃ!? そんな料理、貴族とか王族が食べるようなものじゃにゃい?」


「いえいえそんな、大袈裟ですよ。 ほとんど放置してただけですし」



 驚いた様子のローニャに、カスミは苦笑いしながらそう答える。


 カスミからすればブロック肉を切ってゆで卵を作って、それらを醤油ベースの合わせダレで半ば放置して煮込んだだけなので、そこまで大変だと思っていなかったが、他の面々からしたら料理にそんなに時間をかけるというのは、とても凄くてありがたいことらしい。



「それと、この白い粒々はなんにゃ?」


「あ、それはライスですね」


「ライスって、家畜の餌のか?」



 ローニャとアネッタはまだライスを食べた事がなく、不味そうには見えないものの、ほかほかと湯気を立てているライスを不思議そうな目で見つめていた。



「ライス美味しいから大丈夫だよ!」


「そーにゃの?」


「ああ。 このメイン料理と一緒に食べれば合うだろうな」



 そんなローニャとアネッタに、レネとクリスタはこれが美味しいものだと教えてあげていた。

 


「まぁ、とりあえず食ってみようぜ。 良いよなカスミ?」


「もちろんです」



 作り方やライスに驚かれたりもしつつ、アネッタが早く食べたそうだったので、とりあえず皆で一緒に食事をスタートさせた。


 まずは全員、メインであるオークの角煮から箸を付けていく。



「お〜、分厚いお肉なのに箸で切れる〜……」



 すると、フィオの言う通り、しっかり煮込まれたオークの角煮は箸で切れるくらい柔らかくなっていた。


 元々が柔らかめの肉質という事もあるが、これはカスミのしっかりとした下拵えのおかげだろう。


 そんなオークの角煮を、皆がそれぞれ口に運んでいった。



「ん〜〜!! これ、美味すぎるにゃ〜!」


「これ、やばいな! 柔らかいし、味がもう最高に美味い!」



 すると、まずはローニャとアネッタがとてもいい反応を見せてくれた。


 2人とも肉がかなり好きだし、味付けも濃い目の味付けなので、それはもうオークの角煮を気に入ったようだ。



「あ、ライスと一緒に食うんだよな。 ……んっ! 確かにこれ合うな!」


「本当にゃ! 止まらないにゃ〜!」



 さらに、ライスの美味しさにも2人は気付き、それからはもう角煮、ライス、角煮、ライスと凄まじい勢いで口に運んでいった。



「お前達、メインとライスだけじゃなくて、野菜とスープも食べるんだぞ?」



 そんな中、クリスタがローニャとアネッタにそう言うと、2人はピタッと動きを止めた。

 


「う、野菜か……」


「野菜好きじゃないにゃー」



 どうやら、アネッタもローニャも野菜があんまり好きじゃないらしい。


 まぁ、この世界で野菜は生きるために食べなければいけないという認識はあるものの、調理方法が塩をかけるかスープに入れるかぐらいしかないので、嫌いな人は多いそうだ。

 


「まぁそう言わず、食べてみろ。 カスミは野菜も美味しく食べられるようにしてくれてるから」


「そーにゃの? じゃあ…… あむ。 ……ん! 本当だ、美味いにゃ!」


「本当か? ……ん、おお。 確かに普通に美味いな」


「ふふ、良かったです」



 クリスタに言われてほうれん草のおひたしを食べてみローニャとアネッタは、その美味しさにかなり驚いた。


 それもそのはず、塩味の野菜しか知らない2人にとって、カスミが今回使った白だしは大量の食材や調味料が合わさってできたものなので、旨みが段違いだ。



「ちゃんと味がついてると野菜も美味いんだな」


「そうですね。 味付けの種類だって沢山ありますよ」


「やっぱりカスミは凄いにゃ!」


(この反応を見ると、やっぱりこの世界にもっと色んな調味料が広まるべきだなって思うよね……)



 内心カスミはそんな事を思いつつ、とりあえず今は目の前の美味しいご飯を皆で楽しんでいった。


 そんな夕食はもちろんおかわりの分も全て食べ尽くされ、土鍋で炊いたライスは残念ながら全く足りなかったので、明日にでももう一つ土鍋を買いに行こうという話になった。



(ローニャさんもアネッタさんも凄い食べるなぁ…… 昨日結構食料買ったんだけど、割とすぐ無くなっちゃうね)


(あと、ライスに関してはやっぱり炊飯器欲しいなぁ…… スキルで生み出せるかもしれないけど、家電は構造が複雑だから、魔力が足りるかちょっと心配。 ……でもやっぱり欲しいから、明日誰かに見てもらいながらチャレンジしてみようかな)



 そんな夕食も終わり、風呂も済ませ、現在あとは寝るだけというタイミング。



「カスミちゃん、今日は私と寝よ〜……」


「はいっ」



 今日の一緒に寝る相手はフィオのようで、カスミはフィオの部屋に入った。


 そんなフィオの部屋は、魔道具らしきものが色んなところに置いてあって、汚部屋とまではいかないものの、ちょっと散らかっていた。



「色々置いてあるけど気にしないで〜……」


「フィオさん、明日良ければ掃除しましょうか?」


「いいの〜……?」


「はい。 明日は2階を掃除しようと思ってたので」


「じゃあお願いしよっかな〜…… でも、流石に申し訳ないから手伝うね〜……」


「分かりました、一緒にやりましょう」



 とりあえずその部屋は明日掃除することにし、今は2人同じベッドに入って寝転がっていく。



「ん〜……」


「わっ、フィオさんっ……」



 すると、早くもフィオはカスミの事を抱きしめてきた。


 フィオもとても可愛らしい美少女なので、少しドキドキしてしまうカスミだが、なんだかんだで抱きしめられることに慣れてきた自分がいた。



「やっぱりカスミちゃんはあったかいねぇ〜……」


「そ、そうですか?」


「うん〜…… 小さいから抱きしめやすいし〜…… カスミちゃんも抱きついてきて〜……?」


「わ、私もですかっ?」


「抱きしめ合った方があったかいよ〜……」


「えっと…… 分かりました……!」



 フィオに言われた通り、カスミもフィオに、えいっと抱きついてみた。


 そうすると、フィオの温かさがよりダイレクトに伝わってくる。



「いいね〜…… いい夢見れそう〜…… それに、カスミちゃんのご飯のおかげで、凄い気持ちよく眠れるようになったよ〜……」


「それは良かったですっ」


「カスミちゃんがしたい事を叶えてあげられるよう、調味料の作り方まとめとくね〜……」


「ありがとうございます、フィオさん」


「い〜え〜…… ふあ…… ん、眠い〜…… おやすみ、カスミちゃん〜…… また明日〜……」


「はい、おやすみなさいっ」



 フィオは眠気を感じるとすぐに目を閉じ、ひと足先に眠りの世界へと旅立っていった。


 思えば一緒に誰かと寝た時、先に眠られたのは初めてなカスミだったが、フィオの安らかな寝顔を見てると自分もすぐに眠くなってきて、程なくしてカスミも眠りにつくのであった。

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