#16 具材たっぷりナポリタン
「あ、お昼ご飯作りますね!」
アネッタとのトレーニングも終わり、風呂に入って汗を流したカスミは、昼食の用意をする事にした。
「カスミは菓子も飯も作れるんだな」
「そうですね。 ここに来てからは作らせてもらってます」
「あんだけ美味いクッキー作れるって思うと、期待しちまうなぁ」
「あはは…… 満足させられるよう頑張ります」
今日の昼食は、昼くらいに戻るというクリスタ、作業中のレネ、寝てるフィオ、そしてアネッタとカスミの5人分作っていく。
ただ、クリスタ達も女性にしてはかなり量を食べるのだが、曰くアネッタはその倍以上は食べるとの事なので、いつも以上にお代わりも沢山作る事にする。
「暇だし見ててもいいか?」
「いいですよ」
この家のキッチンはカウンターが付いているので、アネッタはそこの椅子に座ってカスミの調理風景を見物する事にするようだ。
「なんか見た事ないもの色々あるな?」
「あ、私のスキル、知ってる調味料とか調理器具を出せるんです」
「ほお、生産系のスキルか。 中々いいもん持ってんな」
「他にもこういうスキルあるんですか?」
「見た事あるのだと、何種類かの木の実出せる奴とか、普通の石を鉄鉱石に変えるとか、畑に植えた種を一瞬で育たせる奴とかいたな」
「どれも便利そうですね」
資源不足が叫ばれていた地球にいたら、無から有を作り出すことができる魔法やスキルは、まさに夢のような力だろう。
もちろんこっちの世界でも、スキルを使うのには魔力がいるので、無限に生み出せる訳ではないのだが。
「そういうスキル持ちは割と重宝されるから、あんまり外で言い触らしたりするなよ? 変な奴らに捕まって、ひたすらに何か作らされたりするかもしれないからな」
「わ、分かりました」
「で、何作るんだ?」
「今日はパスタですね。 その中でもナポリタンというものを作ります」
「聞いたことねぇな」
「美味しいですよ」
ここ数日、ライスとパンしか食べていなかったので、カスミ自身が麺を食べたくなった事もあり、今日の昼食はナポリタンを作っていく。
まずは玉ねぎとピーマン、あとオーク肉で作られたソーセージを食べやすいサイズにカットし、バターとオリーブオイルでまずは玉ねぎを炒める。
オリーブオイルは最初この家になかったが、昨日行った市場で売っていたので買っておいた。
それから玉ねぎがしんなりしてきたら、ピーマンとソーセージも加えて、軽く塩胡椒を振って炒めていく。
「おー、手際良いな」
「えへへ…… ありがとうございます」
アネッタの感心するような声に少し照れつつ、カスミは炒めていた玉ねぎ、ピーマン、ソーセージに火が通ったら一度それらを取り出しておく。
そうしたら、今度はフライパンに、ケチャップ、ウスターソース、牛乳、砂糖、そして塩胡椒を合わせたソースを注ぎ入れ、中火で煮立てていく。
この辺でパスタも湯を沸かした鍋で茹でておく。
「なんか色々入れたな」
「美味しくなるので大丈夫ですよ」
「ああ、それはそんな気がする。 美味い匂いがしてきた」
それから程なくしてソースが沸々と泡立ってきたので、ソースの色が少し透明がかった赤色になるまで煮詰めていく。
この状態は焦げる一歩手前なので、焦げないように絶えずかき混ぜないといけない。
そうして煮詰めていたソースが良い感じの色になってきたら、先ほど炒めた具材を戻し、ソースと混ぜ合わせていく。
しっかりそれらが混ざったら火は止めておき、丁度鍋で茹でていたパスタが茹で上がったので、少しの茹で汁を残して湯を切る。
最後に、取っておいた茹で汁と共にパスタをフライパンに入れて、手早く混ぜたらナポリタンの完成だ。
「できました!」
「おお、美味そうだな」
沢山のパスタで作ったので、フライパンにはナポリタンが大きな山になっており、それを取り敢えず一人分ずつに分けて皿に盛り付けていく。
「ただいま、カスミ」
「あ、おかえなさい、クリスタさん!」
すると、丁度良いタイミングでクリスタが帰ってきた。
そんなクリスタは、カウンター席にアネッタが座っているのを確認した。
「アネッタも帰ってきてたのか」
「ああ」
「……カスミに変なことしてないか?」
「してねぇって。 レネにも言われたぞ」
「力加減を間違えて吹っ飛ばしたりするかもと心配してたんだが……」
「俺の事なんだと思ってるんだ」
「前科があるだろう」
「……っち、あの時は色々噛み合いが悪かったんだよ」
カスミは後になって聞いた話だが、どうやらアネッタは過去に、色々と予定が噛み合って2週間ほど戦闘できなかった時があった。
その戦えなくてイライラしていたタイミングで、アネッタの事を知らない無知な低ランクの調子に乗った冒険者に絡まれ、思わず叩いてしまったそう。
冒険者の諍いは割と日常茶飯なので、殴り合いが珍しい訳ではないのだが、それがアネッタになると話は別。
アネッタ的には軽く突き飛ばしたくらいのつもりだったが、イライラしていた事もあって思った以上に力が強くなってしまった結果、絡んできた冒険者は数十m程ぶっ飛ばされ、見るも無惨な状態になってしまった。
幸い命に別状はなく、高ランク冒険者であるアネッタに絡んだ相手側の素行や態度の悪さや、治療費はアネッタが何も言わずとも詫びとして全額支払ったので、ギルドや行政側から特に大きなお咎めは無かった。
が、クリスタ達はアネッタの事を仲間としてちゃんと叱り、以降アネッタは暴力沙汰は一切起こしていない。
とはいえそんな前科もあったため、アネッタが子供であるカスミにイラついたりしないかクリスタ達は少し不安だったのだが、アネッタが割と子供に優しかったことや、カスミがいい子だったおかげで、何事もなく仲を深める事ができていたのは嬉しい誤算だろう。
閑話休題。
それから寝ていたフィオと作業していたレネもリビングにやって来たので、皆んなで揃ってナポリタンを口に運んでいった。
「んんっ!? う、美味ぇな! なんだこれ!」
「ふふ、カスミの料理は凄いだろう?」
早速カスミの料理を食べたアネッタが目をまん丸にしながら驚き、それをクリスタが自分のように喜びながらアネッタにそう言う。
「ああ……! クッキーも凄かったが、普通の料理も凄ぇ美味ぇ! カスミ、お前やるなぁ」
「喜んでもらえて良かったです!」
早くもアネッタもカスミの料理の虜になったようで、凄まじい勢いでナポリタンを食べ進めていった。
「カスミ、おかわりあるんだよな?」
「はい…… って、早いですね?」
結果、アネッタはカスミが半分も食べ終わっていない段階で早くも一人前平らげ、おかわりしに行った。
「アネッタもカスミちゃんのご飯には勝てないね〜……」
「勝てる人なんていないだろう」
そう言うフィオとクリスタのナポリタンも、あともう少しで無くなりそうだった。
「アネッター! 私達もおかわりするんだから取りすぎないでよー!」
「そこまで食い意地張ってねぇよ!」
レネの呼びかけに、アネッタはそんな風に言い返す。
こうしてアネッタの合流により、パーティーハウスはより一層賑やかになって、カスミはとても温かい気持ちになるのであった。
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