プロローグ 笑い声
「―よく見ろ。お前が選んだ事の結末を」
髪を乱暴に掴まれ、顔を無理やり持ち上げられる。
そこにいたのは、まだ幼い子どもだった。
血に染まった地面の上で、ただ――笑っている。
家族の亡骸を背に、泣くことも叫ぶこともなく。
頬を濡らす涙すら見当たらず、口元だけが無邪気に歪んでいた。
その異様な光景に、視線を逸らそうとする。
だが頭を押さえつける力は容赦なく、否応なしに目を開かされる。
笑い声が、耳の奥に焼きついて離れない。
あれは絶望か、狂気か。
それとも――希望を奪われた果ての、ただの空虚なのか。
私は息を詰まらせ、動けなかった。
(私のせいじゃない…!私は、ただ生きたかっただけ!)
そんな心を見透かしたように、少年は問いかける。
「命惜しさに賊の一味に入っただけだから関係ないとでも?…お前がこれからやるはずだった事だぞ?」
少年の声は、淡々としていた。
怒号ではなく、冷たく澱んだ響き。
その分だけ、言葉は胸の奥に重く沈み込んでいく。
「次は何を言い訳にする?冒険者ギルドか?馬車組合か?領主か?王国か?…それでこの家族が納得するとでも?」
髪を掴む手がさらに強く締まる。逃げ場を失った視界には、血に濡れた小さな笑顔しか映らない。
「目を背けるな。これは、お前が背負っていく罪だ」
その言葉と共に、子どもの笑い声が広がった。
甲高く、虚ろで、世界を嘲笑うかのように。
笑いは止まらない。
いつまでも、いつまでも――。
少しでも気に入りましたらブクマ、リアクションよろしくお願いします
感想もお待ちしてますm(_ _)m




