始まりの終わり
初めて書きました。
駄文雑文ですがよろしくお願いします。
序盤バトル少なめで退屈ですが、後半も対してありません。
(あぁ、死んだ)
死を感じた。
自分ができる事なんてこの世界でもなにもなかった。
その現実を叩きつけられた。
既に左腕は動かず、防ぐための盾もない。
立ち上がるための足もぐちゃぐちゃ。
剣は…手の届かない場所にある。
少し先の、棍棒に叩き潰される未来を受け入れてしまった。
(ごめんなさい…ラクト…セアラ…ゼアス、ナリア…)
この世界の父と母に、兄と妹に詫びた。
望まなかった2度目の生で、家族との仲を良いものにすることは…できなかった。
無理矢理この体に入れられて、家族を奪った事が、申し訳なくて。
(ごめんアイオン…)
どんな人間かもわからない、この身体の元の持ち主に詫びる。
棍棒の汚い染みのひとつになるくらいなら、病気で家族に見送られ、土の中で眠る方が何倍もよかったはずなのに…。
あのクソ女神のせいで、俺のような、からっぽな人間が入り込んでしまった。
この森の中では死体を捜索される事はないだろう。
それどころか目の前の豚に食われるだけで、死体が残る事もない。
自分がいたという痕跡も残らない。
それは…"前の俺"が望んでいた事なのに。
その諦めは永遠に近い一瞬を生んでいた。
そして思い出が溢れ出す。
この2度目の生の中で確かにあった、味わった家族という温もりを。
誰かとの触れ合いを。
それを受け止められずに逃げ続けた自分を…。
その永遠は、思い出させた。
…自分がなぜここにいたのかを。
(あぁ…それでも…)
もはや感覚のない、砕けた足でも立ち上がろうと力を入れる。
(あの薬草だけは…)
望みを、叶えるために。
(…届けなきゃ)
アイオンと同じ病にかかり、死が迫る妹のために。
(…生きなくちゃ…。)
どれだけ拒絶しても歩み寄ってきた、家族のために。
そして思い出す…。
この世界に来る前の最後の言葉。
「お前が望む時に私は"今のお前"が最も望まない力を授けよう。」
あの空間で確かに言われた意味不明な言葉。
今でも理解できない言葉。
それでも…この瞬間を覆せるなら…
「…さっさと寄越せ！クソ女神！！」
獲物の最後の大声になんの意味もない事を理解している豚は嘲笑う。
そして棍棒を大きく振り被り…
「ブォォォオオッ！！」
力の限り叩きつけた。
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