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11章:知略と執着の夜

 弓弦の部屋は整っていた。モノトーンの家具、余計な装飾のない空間。

 それでいて、なぜか妙に落ち着く。


「コーヒーでいいですか? アルコールは、まだ早いでしょうし」


「“まだ”?……やっぱお前、全部見越してた?」


「あなたが断れない状況も含めて、ですね」


 ふっと笑う顔に、少しだけ恐怖を感じる。

 だけど同時に、心が少し安らいでしまっているのも事実だった。


「……俺、恋愛で痛い目見てんだよ。そう簡単に懐かないからな」


「それも知っています。でも、俺はあなたの“最適解”になるつもりです」


 椅子に座る真琴の背後に立ち、そっとジャケットの肩を整えるように触れてくる。

 背筋が反射的に震えた。


「……だから、俺のことなんか、やめとけよ」


「そう言ってる時点で、もう十分、俺のこと気にしてますよね?」


 耳元で囁かれた声が、真琴の内側に残っていた理性を、少しずつ溶かしていく。

 これが戦略的な囲い込みであることも、全部理解してる。

 それでも、彼の手を振り払えなかった。


 それが、真琴自身の選択だった。

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