小規模スタンピード後の打ち上げ
帰りはモンスターとの遭遇率が減ってスムーズに走ることが出来た。
「トーカ、コスプレは作れるのか?」
「なに?そんなに見たいの?」
「『千変万化』は色々なコスだろ」
実際はかなり見たい、ゼロははぐらかした。
「いい生地が足りないのと、職が足りないかな、上級職になったらそれなりの性能があるコスが作れるけど、現状だと生地があれば作れるけど戦闘は無理」
今まで趣味だと思っていたが戦闘用だとは思わなかった。
「今、ある素材で何が作れそうだ?」
「う〜ん、スライム皮の水着は作れるけど可愛くないよ」
「俺とかリョウなら機能性を選ぶんだが」
「女の子には可愛さが必要なの、リョウ姐さんなら分かってくれるわよ」
「うっす」
俺の私服は常にジーンズとTシャツなんだが女性のお洒落はいまいち分からん
「今度、買い物に付き合ってよ」
「それくらいなら」
「言質は取ったからね」
森を抜けようとした時、矢が飛んで来たため『掴む』で対抗、次に石が飛んで来たため避けた。
俺とトーカは急いで森を抜けると、全員集まっており、戦闘は終わったようだ。
「おい、コラ、ミーティア」
「リョウ姐さんも危ないじゃない」
「ゼロたちだった」
「あらあらごめんなさいねぇ〜」
「でトーカ、原因は」
「『マーダースレイブファンガス』よ」
サクラは嫌そうな顔をしていた。
「数日は街で泊まって様子見かな」
「ゼロお義兄様、素材はどういたしましょうか?」
「ハンターギルドに押し付けよう」
「あら、ゼロちゃん、悪い顔をしているわ」
「さっさと行動しよう、シャルの見た目がやばい」
シャルは全身血塗れで見ている方がやばい、返り血だけどさ
「シャルはなんで血塗れなんだ?」
「それはですね、解体しようとナイフを刺したら血が飛んできまして」
不器用なのか?
モンスターをアイテムボックスへ収納して街へ帰還、ハンターギルドに行きモンスターの解体と買取を頼んだ、大量過ぎて嫌な顔をされたが小規模スタンピードの話をしたら納得してもらえた。
ゲーム時代は討伐難易度が高いモンスターを倒せばランクが上がったりしたが、どうもハンターのランクと強さが比例していないように感じる。
ハンターギルドを後にした俺たちは適当なお店で打ち上げ、途中からシロウが参加した。
「やっと男爵家から解放された〜」
「シロウはこれからどうすんだ?」
「ゼロ、酔ってないか?サクラと組むかな」
「へへっへ、いいわよ〜トーカの獲物に手を出さないし」
「サクラも酔ってんのか」
「『乙女』他の仲間は?」
「ケンゾーちゃんはいたんだけどね、色々大変だったのよ」
リョウはシロウにケンゾーに会ったことを話した。
「後衛は欲しいな、知らないやつより、知ってるやつの方が信用出来る」
「なら、カプーゼの街ね、奴隷から解放した後どこに行ったか分からないけどあの子のことだから移動はしていないと思うわ」
ゼロ、サクラはすでに酔いつぶれていた。
シロウはサクラを運び、トーカとシャルはゼロを運ぶことにローレルとミーティアはすでに眠そうにしており、リョウは先に宿へ帰した。
1人になったリョウは宿とは反対の方向へ歩き、立ち止まった。
「笑顔のうちに出て来いや」
普段とは違いドスの聞いた声で話すと
「『乙女』だな」
「私の二つ名知ってるってことは転移者ね」
突如現れた男とリョウの話し合いが始まった。