Dランクダンジョン4
少し時を遡って
「パパ」
「どうした、息子よ」
ブルーチー領ではミーティアにより屋敷を追い出されたブルーチー侯爵の息子は父親に助けを求めていた。
「孤児の娘をメイドとして引き取って教育していただけで屋敷をエルフに乗っ取られたんだ」
王都のブルーチー侯爵の屋敷には裏帳簿や裏との関係、不正証拠、隠し財産を隠していた。
「よし、取り戻そう お前は何も悪くないぞ 悪いのは全て亜人だ。」
ブルーチー侯爵はベルを鳴らして執事を呼ぶ
「いかがされましたか、旦那様」
「王都の屋敷を取り戻す、優秀なハンターや我が領の騎士団を集めよ」
「旦那様、少し前に子飼いにしていたハンターが消息を絶ちましたが」
「Cランクハンターなんぞ、腐る程いる 金を見せつければ従うだろ」
「そういえば、この領地に巨人族のハンターが滞在していますが」
「亜人だと、その者にも手伝わせろ 肉壁くらいの仕事にはなるだろう」
「仰せのままに」
ブルーチー侯爵は人族至上主義者であり、この国の膿に当たる主義者の一角であった。
12階層で一夜を過ごしたゼロたちだったが
「暑苦しい、狭い」
ゼロが起きると残りの4人が同じテントで寝ていた。全員、シースルーのネグリジェで目の保養にはいいが時と場所をわきまえて欲しい
朝食後、軽めのミーティング
「今日は20階層を攻略して帰るぞ」
「ゼロ、機嫌が悪い?」
「誰のせいだ、お前ら自分のテントで寝ろや」
「昨日は肌寒かったし」
「お義兄様が1人で寂しいかと思いまして、ですよねお姉様」
「本当は寝袋の中に入って密着したかったですわ」
さっさと終わらして帰るか
「ミーティア、12階層は素通りでいいか?」
「ゼロ、正気で言ってる?ロイヤルハニークイーンビーの巣があるのがここだよ」
ロイヤルハニークイーンビーの巣から採取できる極上ロイヤルハニーは希少食材だ、ロイヤルハニークイーンビーはBランク、巣を守るロイヤルハニーはDランク上位くらいの力はある。
「ゼロさん、ぜひ手に入れましょう。極上ロイヤルハニーは肌に塗るといつまでも若々しい姿を保てると言われている伝説的な蜂蜜ですのよ、綺麗な妻がいると嬉しいですよね」
「シャルはいつから妻になったんだ。」
「私も塗ってみたい」
「錬金素材にもなるから私も欲しい」
助けを求めてローレルを見るが・・・助けはないようだ
「分かったよ、片付けてすぐに行くぞ」
4対1は折れるしかない、ミーティアの道案内でロイヤルハニークイーンビーの巣の元へ
「ゼロは極上ロイヤルハニーを使ったことある?」
「ないな、蜂蜜ならホットケーキに掛けるだろ」
「紅茶に入れても美味しいけど」
「パンに掛けるのもありだね」
「ミーティアは道案内をしっかりしろ」
12階層内にある1番大きくて太い木に到着、見上げるととてつもないデカくて丸い直径20mはある巣のような物が木に寄生していた。
「さっさと終わらして進むぞ『投擲』」
投げた石は木と巣の接続面を破壊して巣が落下した。
「よし」
「よし、じゃない」
「トーカ、構えろよ 来るぞ」
巣の中からロイヤルハニービーが現れた。大きさは160cmくらいでミーティアよりも大きい
「今、私よりも大きいとか考えたでしょ」
「お前、NTか?」
「ゼロが考えそうじゃん」
ミーティアは弓で飛んでいるロイヤルハニービーを撃ち落とし、トーカ、ローレルは短刀で確実に仕留めていく
「どんだけ、いんだよ 30匹は越えたぞ」
「きりがないですわ」
「この規模ならそろそろ、ロイヤルハニークイーンビーが出てきそう」
40匹目を仕留めると巣の中から巨大なロイヤルハニービーが出て来た。
「あれがロイヤルハニークイーンビーか」
ロイヤルハニービーとは細かい部分が違い、図体が15mくらいあり頭にティアラが付いている。
「トーカ、行けるか?」
「『インセクトキラー』があればいいんだけど」
トーカの『千変万化』の二つ名は相手によって最適な装備を変え、着ている服や髪型まで変える。戦う相手について事前に下調べしてから戦うプレイスタイルだった。こっちに来てからは普通に戦っているが
「注意を引き付けるから仕留めてくれ」
「了解」
「『投擲』」
ロイヤルハニークイーンビーに石を投げつけると腹に命中するが貫通出来なかった。お返しに針を飛ばして来た。針には緑の液体が付いており多分毒だろうな
「ミーティア、畳み掛けろ ローレルは『投擲』、シャルは治癒の準備」
俺、ミーティア、ローレルの攻撃でロイヤルハニークイーンビーを釘付けに成功、そして背後からトーカによる無慈悲な一撃でロイヤルハニークイーンビーの首が宙を舞った。
「極上ロイヤルハニーの採取よ〜」
俺はロイヤルハニービーやロイヤルハニークイーンビーのドロップ品を確保していた。
「極上ロイヤルハニーゲット」
「早速、塗ってみない?」
「塗りたい」
「私も」
女子4人は極上ロイヤルハニーを顔に塗り合った。
「そろそろ、いいか?」
「ゼロ、どう?」
「トーカ、何も変わらんぞ」
「時間が惜しいから行くぞ〜」
弾丸で20階層に着いた、15階層を越えてからオークが出現するようになり、いいお肉が大量に手に入ったのは大きい
「20階層はオーク10体だったかな」
「女性ハンターはとくに狙われますわね」
「ってことでゼロは私たちを守るのよ、帰ったらいいことしてあげるから」
「お義兄様、頑張ってください」
20階層のボス部屋に入り、オークとの戦闘に入った。
「『挑発』『シャープエッジ』」
「『ディフェンスアップ』」
シャルから防御力が上がる補助魔法を掛けてもらった
ゼロはオークの攻撃を盾で受け止め、『シャープエッジ』で切れ味を上げた剣で応戦
ミーティアは弓でオークの目を撃ち抜き、ローレルは『投擲』でオークの足を狙い動きを鈍らせる
トーカとシャルは鈍ったオークを確実に仕留めてゼロの負担を減らした。
「10体ならこんな感じね」
「俺の負担が多かったけど」
「ギルドに寄って帰ろう」
「お義兄様、格好良かったです。」
「ローレルもゼロさん狙い?」
「お姉様と対立しませんよ」
Dランクダンジョンの転移陣から地上へ転移した。