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 敵から逃げていた。

 路地裏へ逃げ込むと、なんか嫌なやつがいた。

 だから背中から包丁を滅多刺しにして殺した。


 この世界がオカシクなったのは安倍総理が4人になってからだと思う。

 総理四天王の一角、『バイオ総理』は既存の生物をメチャクチャに組み合わせた、いわゆるキメラを世に放って世界をメチャクチャにしてしまったのだ。


 そしていま僕を追いかけている敵は、あてのない旅を続ける旅人だ。

 彼は学生時代に相当酷いイジメにあっていたらしく…トラウマ克服のためのカウンセリングを受けたときに怪人へと変貌してしまったらしい。


 そんなのって知ったことではない。


「はいタクシー!!」


 タクシーが歩いていたので乗り込む。

 そう、今の世のかなのタクシーは、客が居ない時は自由に歩き回るようになっているのだ。

 これも『バイオ総理』のせいだ。


 まあ、タクシーが歩き回るほうが車内も温まるし、タクシーの運転手も暇しないのでずっと良い。

 タクシーの運転手、卓志たくしは言った。


「相席になっちゃうけどええかい?」

「相席だろうがなんでも…早く!発進して!」


 今はどんなことよりも敵から逃げることが優先事項だ。

 タクシーは動き出した。


 速く!もっと速く走れ!


 今の世は『祈り』がエネルギー源となっているので祈れば祈るほどスピードは早くなる。

 祈りは無駄ではない…。


 敵が追ってきていないか窓の外を見る。


 右を見れば、塔に貫かれた空が血を流して呻いている。

 左を見れば、巨大なミジンコが手のひらサイズのキリンを襲っている。


 なんだこれ。

 今に始まったことではないが、この世界は狂いきっている。


「大丈夫!もうタクシーに乗ってるんだから問題ないのさ!」


 このドヤ顔で楽観的的なことを言っている存在は私の友達の妄想くんだ。

 妄想くんとは、架空の存在で私の妄想の産物である。


 円から線が複数本生えているという、かなり特徴的な外見がチャームポイントだ。

 カシスの香りとオゾン臭(アナログテレビの匂い)が混ざった匂いをしている。

 食べるとお茶漬けの味がして、舌触りは金属。


 ふと天井を見上げるとたんぽぽが咲いていた。


「セイヨウタンポポが咲いてる!」

「いや、それは偽たんぽぽだよ」


 よくみると、葉の一部がホログラムに、花びらの一部がプラスチックになっていた。

 まるで人工物のようだ。


 しかし、生きていないわけではない。

 電子生命体なだけだ。


 妄想くんの触覚の内の一本が伸び始め、変形して八木アンテナの形になった。

 そのアンテナがクルクルと回り出す。


「この近くに敵がいるみたい…う~ん…!半径50cm!!」


 隣を見ると、路地裏で私が殺したはずのなんか嫌なやつが座っていた。

 右手には包丁、左手にはりんごを持っている。


「り、りんごをもってるよ…」


 妄想くんは言った。

 僕は慌ててタクシーのドアを開け、嫌な奴を蹴り落とした。


 彼女(嫌なやつは女性であった)は驚いた顔をして自由落下し始めた。

 落ちていった。


 タクシーはちょうど建物の上を通っていたから、無事女性は地面に激突してくれた。


「ストライク!」


 卓志はハンドルから手を離して拍手している。

 運転中にハンドルから手を離すと普通に危険で、タクシーは道路の真ん中の線を大きくはみ出してしまっていた。


「おめでとう」


 タクシーの運転手はトロフィーとMonster一年分をプレゼントしてくれた。

 嬉しい。


 しかし、こんなには持ちきれないので、僕はMonsterのうちの何本かを開き、床にぶち撒けた。


 天井の偽たんぽぽが急成長する。

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